『神の手は竪琴の弦を操るか』

完璧に設計されていたモノが

崩れ去りゆくのを感じながら

追悼の意を込めて古い曲を選び

目を閉じてボリュームを上げる


そう遠くないところで

悲しみと苦しみが満ちている

そう遠くないところで

思いやれない大馬鹿者がいる


 音のない声でつぶやきたい

 完璧に設計されて

 揺るがないものはあるよ


 腹の足しにもならないし

 暖をとる役にも立たないけれど


 音のない声でつぶやきたい

 完璧に設計されて

 揺るがないものはあるよ


 神が全てを覆せるなんて

 おめでたい思考の入る隙はない


そう遠くないところだから

胸を打つ寒波がある

そう遠くないところだから

青黒い空気が見える

 

 それでも


焦げ臭い朝陽の金気を吸って

マフラーを忘れたと毒づいて

これは揺るぐことのない短調だなどと

今更ながらに偉そうに感心したりする






2011.03.16

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