『NightShade』

今夜は

なんだかどこかに

穴があいているようで

どうしても淋しくて仕方ないから


二股の命綱を

耳栓のようにしっかりと捩込んで

NightShade 注ぎ始める


ぼんやりとした瞼の奥から

鼓膜を叩く 挨拶がわりの12滴

  それは厚さの無い硝子の箔

  大粒の 鋭い結晶


間もなく

固体のような液体が溢れ出し

一気に脳髄は形を失い

消化器は押し流されて

NightShade 爪先から溜まり始める


油がマシンを溶かすように

膝の関節を役立たずにし

腿の動脈も融解して

血と骨が肉に染み

寒気と痺れが

背から胸へ

伝播する


  心の綻びがよく見える


皮膚の内側を充たした NightShade

小さな隙間から

不吉なカケラになって

零れ散っていくのだ



  知らないうちに中身が

  なくなってしまうのが

  怖かっただけなんだよ


  穴を塞げば

  もう淋しくない



いつか

この世のすべてがあなたの手で

音楽にされる日が来たなら

私はこうやって

世界に融解できるだろう


でも

in NightShade 今はこの夜闇に

感謝して

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