第5話 エルフさん、小じわはありますか?
アレク君は、エルフさんの年齢を知りたい、という好奇心は、ますます強くなっています。
最近は、ねてもさめてもエルフさんの年齢を、どうやって調べたらいいのか、そればかりが頭をよぎるのです。
アレク君は、お父さんに相談しても、らちが明かなかったので、お母さんに相談しようと思いました。
お父さんは、お母さんの言うことをいつも聞くのを見ていたので、アレク君は、お母さんなら詳しく教えてくれると思ったのです。
アレク君がお母さんの部屋へ行くと、お母さんは鏡の前でお化粧をさせているところでした。
アレク君の家は王宮学者の家なので、専門の美容師さんがお母さんの髪型やお化粧を整えてくれるのです。
「あーあ。いやねえ。本当に年をとってきて」お母さんは溜息をついていました。
「奥様、まだまだお若いですよ」若い美容師さんが、お母さんにお世辞を言っています。アレク君は賢いので、お世辞という言葉を知っています。意味はよくわかりませんが、ほめているのでしょう。
「もうほんと、小じわが増えてきて・・・」
「いえいえ、奥様・・・」
アレク君は「ハッ」として、その先の会話を聞かずに部屋を飛び出しました。
なるほど、小じわを数えれば、エルフさんの年齢が測れるかもしれない。
ぼくって、てんさいじゃないだろうか。
アレク君は、自分の思いつきに興奮しました。
早速、アレク君は誰かの小じわを数えようと思いましたが、エルフさんはなかなか見つかりません。
すると、道の向こうから金色の髪をした威厳のある美しい女性のエルフさんが歩いてくるのを見かけました。
「エルフさん、こんにちは!」アレク君は礼儀正しく、ご挨拶をしました。
「あら、小さな人間さん、こんにちは」
威厳のある美しいエルフさんの名前はガラドリ何とかさん、といいました。
アレク君は、エルフ語がよくわからなかったので、最後の方は聞き取れませんでしたが、思い切って、お願いすることにしました。。
「ガラドリさん、実はお願いがあるんです」
「なあに?小さな人間さん」
ガラドリさんは、優しい微笑みを称えて少年に聞きました。
「あの!目の小じわを数えさせてください!!」
その瞬間、ガラドリさんの顔は、優し気な微笑みを称えた顔から、世界を滅ぼす威厳を持った冷たい女王の顔に変わりました。
「な ん で す っ て ?」
アレク君は、これは大失敗をしたと悟りました。
なぜなら、体がブルブルと知らないうちに震えていたからです。
「ご、ごめんなさい!許してください!」
アレク君は、走って逃げ出しました。
あまりに怖ろしかったので、走って走って走って、息の続く限り走って、ようやくお家に帰りました。
目の小じわを数えるという方法は、ダメそうです。
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