第4話 エルフさん、髪の毛はありますか?
アレク君は、今日もエルフさんの年齢が知りたくてたまりません。
いつものように、アレク君が「う~ん・・・」と唸っていると、アレク君のお姉さんアリサちゃん(12才)が、言いました。
「もう!アレクったら!そんなに悩んでばかりいると、頭の髪の毛がうすくなっちゃうわよ!お母さんが言ってたんだから!」
髪の毛が薄くなる。
アレク君は「ハッ」としました。
そういえば、お父さんの髪の毛が最近、薄くなってきた気がする。
そういえば、お祖父さんの髪の毛は、凄く薄い。
ひょっとすると、髪の毛の薄さで年を知ることができるのでは・・・?
アレク君は、自分をてんさいだと思いました。
好奇心の強いアレク君は、街中で別のエルフさんを探すことにしました。
このあいだ、優しくしてくれたレゴラさんは見つかりませんでした。
だれかいないかな。
すると、道の向こうから、いかにも威厳のありそうなエルフさんの男性が歩いてきました。
アレク君は元気よく、でも礼儀正しく話しかけました。
アレク君は王宮学者の息子さんなので、礼儀の躾をきちんとされていたからです。
「こんにちは!あなたはエルフさんですか?」
威厳のある男性は、頷いて答えました。
「小さな人の子よ、たしかに私はエルフのエルロン・・である。何か用かね?」
少し、名前の最後が聞こえにくかったのですが、アレク君は気にしません。
アレク君は、すこしためらいましたが、思い切って頼むことにしました。
「エルロンさんですね!あのう・・・髪の毛を測らせてください!」
エルロン・・さんは、ギョッとしました。
エルフにとって、髪の毛とは魔力の源であり、決して安易に人に譲るようなものではなかったからです。
「小さな人の子よ、なぜ髪の毛に関心があるのだね。エルフにとって、髪の毛は非常に大事なものなのだ。安易に触らせるわけにはいかぬのだよ」
アレク君は、またも「ハッ」としました。
そういえば、お姉さんのアリサちゃんが言っていたことを思いだしたからです。
「いい、アレク?お父さんの髪の毛が薄い、って言ったり、引っ張ったりしちゃだめよ!お母さんが言ってたんだから!でりけーとな問題なんだから!」
アレク君は、深く反省しました。
危うく、大きな間違いを犯すところだったからです。
「ごめんなさい!そんな、でりけーとな問題だとは知らなかったのです!」
そう謝って、走って帰りました。
エルフさんの年齢を知るために髪の毛を測る方法は、でりけーとな問題なのでダメみたいです。
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