第2話 エルフさん、あなたは何歳ですか?
アレク君は思いました。いったいなにがいけなかったんだろう?
泥だらけになって、すっかりしょげて帰ってきたアレク君は、メイドの人に聞きました。
「あのね、ぼく、今日ふられちゃったんだ」
「あら、ぼっちゃん、それはそれは」
メイドの人は、もう貫禄のでてきた中年の女性でしたが、アレク君を本当に息子のように可愛がっていたので、お話を聞いてあげることにしました。
「まあ、ぼっちゃん、そのエルフの女性に年齢を聞いたのですか?」
「うん。だって、ぼくが大人になったときに、お姉さんが何才か知りたかったんだもん」
メイドの人は、きちんとアレク君に教えてあげました。
「ぼっちゃん、女の人に年齢を聞いてはいけませんよ」
なるほど。エルフの人に年齢を聞いてはいけないのか。
アレク君は、小さな胸にしっかりと教訓を刻みこみました。
もう失敗しないぞ。
アレク君は、とても好奇心旺盛な性格だったので、お父さんに聞いてみることにしました。お父さんはエルフではないから、聞いてもいいはずです。
「お父さん、エルフの人って何才ぐらいなの?」
お父さんは王宮学者だったので、子供の質問にいい加減な答えを返したりはしません。正確でない事実は答えたくなかったのです。
「正確にはわかっておらん。200年程度という説もあれば、永遠という説もある。何しろエルフは大陸全土に散らばっておるのでな、調査もままならんのじゃ」
「永遠!えいえん、ってずっと、ってこと?」
「そう。太陽が燃え尽き、神々の恩恵がこの大地から消えるまで、ずっと、だ」
アレク君は衝撃を受けました。
あのアルお姉さんも、きっと父上よりもお祖母上よりも、ずっと、ずっと年上だといいうことが小さな頭でもわかったからです。
もう二度と、こんな思いをするものか。
アレク君は、小さな胸に大きな決意を固めるのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます