第6話一週間を書け。一週間だけを書け
物語には緩急が必要とも言われるかと思います。ですが、それは自家発電用の物語の場合の話です。
SciFiには緩急の緩は不要です。急、急、急、急。危機、危機、危機、危機。破滅、破滅、破滅、破滅。絶望、絶望、絶望、絶望、絶望、絶望、絶望、絶望、絶望、絶望、絶望、絶望、絶望、絶望、絶望、絶望と畳み掛けます。緩などと生温いものは不要ですし、入る余地がそもそもありません。
先に「絶望こそがSciFiである」と書きました。絶望に緩が必要ですか? 必要かどうかという話だけではありません。緩が入る余地があるなら、それは絶望ではないということです。「まだ余裕あるじゃん」というように。
そして、絶望は、どのような終り方をするにせよ長く続くものではありません。一週間が目途でしょう。その一週間に何もかもを詰め込みます。
長く続くものではないと書きましたが、では、一週間を超える絶望があるでしょうか。例えば一ヶ月として考えてみましょう。一ヶ月続くなら、それは日常にすらなるでしょう。日常であるならば、SciFiが書く対象ではありません。仮に一ヶ月の絶望があったとしても、SciFiが書くのは、その絶望の中におけるさらなる絶望そのものである一週間でなければなりません。
さらに言うなら、物語にはカタルシスが必要という話もあるかもしれません。自家発電用の物語はそうでしょう。ですが、SciFiにはカタルシスは不要です。絶望こそがSciFiなのです。そのどこにカタルシスが入ってくる余地があるでしょうか。そんな余地はありません。
緩急もカタルシスも、楽しみのために必要とされるものかもしれません。しかし、楽しく読みたい / 書きたいと思うのでしたら、SF(それが何かは知りませんが)や、他のジャンルで自家発電していてください。SciFiは知性と知識、思想、そしてストレスとも言えるものをもって、作者と読者が対峙する文学です。
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