第22話悪魔を侮ることなかれ
ぼくの名前は星野天使。
その名の通り本物の天使です。それ以外の何者でもありません。
天使の仕事は人を助けること。
生活は大変ですが、なんとかがんばっています。
ぼくの目の前に置かれたのは、肉汁がジュージューと美味しそうな音を立てている高級ハンバーグ。それを見つめているのは、宿敵である目黒さん。
「食えよ」
「あなたがぼくに対決を挑まずに奢ってくれるなんて、何かありますね?」
「何もねぇよ。この前助けられた礼だ」
「悪魔でも義理はあるんですか?」
「知るか。だが、借りは返さなきゃ気が済まない性分でな。さっさと食え」
この日、敵であるはずの彼から電話がかかり、ぼくをレストランに誘ってくれたのです。悪魔である彼のことですから、うまいことを言ってきっとぼくを騙すに違いないのですが……久しぶりのまともな食事、しかもそれが高級ハンバーグとあっては食べない手はありません。取りあえず、ここは彼を警戒しながら頂くとしますか。フォークで一口サイズに切りそれを口に運びます。
そのあまりの美味しさに、ぼくの目から涙がこぼれました。
「美味しいです」
「それはよかったな。じゃあ俺はちょっとトイレに行ってくるからな」
「どうぞ行ってきてください」
その時、ぼくは彼が店から出ていったということに気づきませんでした。
「……やはり悪魔は侮るなかれですね……」
天使の仕事と悪魔の仕事 モンブラン博士 @maronn777
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