第21話目黒VS星野 2
俺は目黒怨。
種族は悪魔で職業は殺し屋。
怨みのある奴俺が代わりに晴らしてやろう。
金は一銭もいらんが、代わりに怨みをいただくぜ。
「行くぜ、星野天使ィ!」
「いつでもかかってきてください、目黒さん」
とある広場。俺はここで、星野に対決を挑む。
今度こそ、積年の怨みを晴らし、お前に食いもんを奢ってもらうぜ。
かつて銃をぶら下げていた俺のホルダーは、鞘に変わっていた。
「星野、今までの俺と思ったら大間違いだぜ。なぜなら、この俺は新しい武器を手に入れたからな!」
颯爽と剣を鞘から引き抜き、高々と頭上に掲げる。
太陽の光を浴びて光輝く愛剣には、確かな俺の勝利の色が写っているようだった。
「カァーッ」
まだ昼間というのにも関わらず、不吉の象徴である鴉が頭上を円を描きながら飛んでいる。悪魔にとって不吉は幸運と同等。すなわち、俺にも運が向いてきたと言う訳だ。
「今回ばかりはさずがに分が悪いようだな、星野天使」
奴は無言で口を利こうともしない。おそらく、恐怖のあまり何も言えなくなってしまっているに違いない。
「覚悟するがいいっ」
剣を構え奴に突進したその刹那、
ベチャッ
何かが頭上から俺の頭に降り注がれた。
一体何が落ちたんだ……?
「鴉のフンですね」
「何ィ!?」
なんということだ。鴉が俺にフンをするなどと……
「怨めしい、怨めしいぞ星野天使!」
「なんでぼくに怨みをぶつけるんですか」
「それはなぁ、お前が怨めしいからだ!」
剣を振り下ろすが、僅かな心の隙を突かれ簡単に受け止められ、弾き返されたところにアッパーを受け、またしても敗北した。敗因は、鴉のフンだ。それさえなければ勝てたのに……
だが、奴を少しは怯ませたことは確かだ。つまり、勝利への道に一歩近づいたというわけだ。
「今日学んだこと、闘っているときに他のものに気を取られ過ぎるのはよくない」
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