第6話笑顔は大事

ぼくの名前は星野天使。

その名の通り本物の天使です。それ以外の何者でもありません。

天使の仕事は人を助けることです。


「『天使にとって大切なものその1、外見』」

今日は仕事を休んで天使の学校で習ったことを教科書を読んで復習しています。

天使にとって大切なものの1つ目は外見だそうですが、ぼくの場合はどうなのでしょうか。全身鏡の前に立ち、自分の外見をチェックします。

「よくもなく、悪くもない外見ですね」

誰も評価してくれる人がいないので、自分で評価するしかありません。

ですが、それでは自分に甘く採点を付けているかもしれませんので、仔猫に訊いてみましょう。

「きみはぼくの容姿を見て、どう思いますか?」

「ニャー」

「そうですか」

本当は猫ちゃんがなんと言ったのか意味は分かりませんでしたが、「ニャー」と言ったことだけは確かです。

取りあえず、容姿はクリアということにしておきましょう。

「『2番目に大切なもの、笑顔』」

鏡を見て、にっこりと微笑もうとしますが、

「笑えませんね……」

いつまで経っても変わらない表情を見るのに耐えられなくなったぼくは、こう結論づけました。

「面白くないのに、笑える訳ありませんね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る