第5話子守りは大変

ぼくの名前は星野天使。

その名の通り本物の天使です。それ以外の何者でもありません。

天使の仕事は人を助けること。

困った人を助けるため、今日もぼくは空を飛んでいます。


マンションのベランダで、何やら悲しげな様子の女の人を発見しました。

「すみません、なにかお困りですか?」

ぼくが訊ねますと、彼女は少し驚いた後目を吊り上げて、

「悪いけどセールスマンはお断りなの」

「ぼくは天使です」

「そう、失礼したわね」

「もしお困りでしたら、ぼくが願いを叶えてあげますよ」

その言葉に、女性の顔がパッと明るくなります。

「まあ嬉しい!それじゃあ少しの間だけでいいけど――」

それから一時間後、

「ばぶー!」

「はいはい、いい子ですね」

ぼくは女性が買い物から帰ってくるまでの間、赤ちゃんの子守りをしています。

赤ちゃんは大変凶暴でぼくの髪の毛を引っ張ったり、頬をつねって伸ばしたりしています。

「傍から見ると可愛い赤ちゃんですが、育てる母親の方は結構大変なんですね……」

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