第20話 魔王、一つ目族の居住区を案内される。
我が、クリアに探らせている間、我は案内されていた。
「昨日はそれぞれの居住区の簡単な案内だったから、今回はちゃんとした中の案内をさせてもらうぜ。」
「ふむ、レヴィが今回いないということは一つ目族のほうの居住区の案内と言うわけだな。」
「あぁ、一つ目族の居住区だ。魔王様も初めてかな?」
「うむ、初めてだな」
「そうか……それじゃぁ案内するぜ!」
グライはそう言って、我の前に立ち案内を開始した。
まず、我が案内された場所は一つ目の居住区でも一番でかい建物だった。
その建物は他の建物よりも一回り……いや二回り以上大きかった。
「ここが、この居住区で一番でかい屋敷だ。まぁ、族長の別宅って言ったほうが早いけどな。魔王様は少しここで待っててくれ。」
グライはそう言って、その建物の中に入って行った。
我は、建物に入っていくグライを後ろから眺めながら、先ほどから感じる鋭い視線の主を探していた。
と言っても、我がこの一つ目族の居住区に入ってからここに住んでいる一つ目族からずっと視線を向けられていた。
けれど、その普通の視線以上に鋭く我を見ているものがいた。
「……ふむ?先ほどから我を必要以上に見ているものがいるか……」
我はそう呟き、グライが戻ってくるまで周りを見回していた。
□□□
我が、グライを待ち始めてから数分たったころ、グライは一人の一つ目族を連れてその建物から出てきた。
「魔王様、お待たせしましたよっと……この人は、この一つ目族の次期族長候補の一人のブルー様だ。」
「……」
グライがその人物の説明をし、その人物……ブルーは我の前に立つと我を観察し始めた。
そして我は、ブルーのその我を見る目が、先ほどまで感じていた鋭い視線の主だと言うことに気がついた。
(ふむ……なるほどな、先ほどまでの視線の意味はおそらくだが……)
「どうも……グライの説明どおり俺はブルー、次期族長候補のうちの一人だ。」
「うむ……さて、ブルーよここに来るまで、我を見ていたな」
「……気がついていましたか。」
「うむ、あれほど鋭く視線を感じていたからな。」
「……そうですか。ですが、安心しました。貴方のような人で」
「そうか」
やはり、我が思ったとおりであった。
ブルーが我を見ていた理由は我を見定めることであった。
おそらく、我がブルーの眼に適わなかったならばここに出ないつもりであったのだろう。
次期族長候補とは言っていたが、族長としての素質はあるなと我は思った。
「……さて、俺の紹介が終わったのなら俺は戻る、まだやることがあるからな」
「忙しいところすまなかったな」
「……いえ、魔王様にあうことも仕事だからな」
「そうか、では。」
「はい……」
そう言って、ブルーは建物の中へと戻っていった。
「では、案内を続けますよ。」
グライはブルーが戻っていくのを確認してからまた、我の案内を再会した。
□□□
そして、あのブルーと出会ってから我は一つ目族のいろいろな場所へと案内された。
一つ一つ、一つ目族にあうように作られた建物であったが、それでも利便性を考えると最初に見た、三つ目族の居住区と比べるとそんなに変わらなかった。
「それでは……これで、案内を終わるぜ。」
「うむ、ご苦労であった。」
「あぁ、魔王様とそれなりに会話できたからな……弟達にも話せるぜ。」
「そうか、それはよかったな。」
「では、俺はこれで」
そう言って、グライは我を我が使っている屋敷まで案内すると、自分の住む場所へと帰っていった。
「……ふむ、今のところおかしいと感じることは無いか……」
我は、今日周った居住区になにかあるかということを探ってもいたが、特にこれといったものは無かった。
「後は……クリア達の情報待ちといったところか……」
我は一人呟きながら、屋敷の中へと入って行った。
□□□
我が、屋敷に入り、借りている自室へと入るといいタイミングでクリアが現れた。
「魔王様、……分かったことが一つ」
「なんだ。」
我はいつも通りに、防音魔法を部屋一帯にかけ、クリアから集めてきた情報を聞いた。
「……なるほどな、ふむ……とすると、我が思っていたのとは違う可能性があるか……」
クリアが我に話した内容により、我が、最初に考えていた犯人がそうではないという可能性が浮上した。
「……もう少し、詳しく集めろ」
「はっ……では、私はこれで」
「あぁ」
そして、クリアはその場から消えた。
「……そうか、ということはあやつの可能性もあるということか……ふぅむ……」
我は、クリアから話された内容を一つ一つ組み合わせながらいろいろな可能性を模索していた。
「……ふぅむ、まだ分からぬか」
そして、結論で言えばまだ分からなかった。
「我がここに滞在するのが後3日……さて、何が出るか、それとも何も出ぬか……出るのならば……」
我は一人呟き、魔王としてやることを考えた。
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