第12話 勇者、仲間と朝食を取る

「ふぁぁ……昨日の疲れが残ってるのかなぁ……」


私はそんなことを呟きながら、リビングへ続く廊下を目を擦りながら歩いていた。

それから、しばらくして私はリビングの部屋の前までやってきた。


「よし、着いたなぁっと……あっ」


私が扉を開けようとドアノブに手を伸ばした時、ようやく自分がまだネグリジェ姿だという事に気がついたのであった。

いつも、この姿で朝食を取っているため着替えるということをすっかり忘れていたのである。


「……ここまで着たけど、この服じゃなぁ……あいつらの前に立てないかな……戻るか」


私はそう思い、自分の部屋へと戻ろうと後ろを向き歩こうとした。

けれど、それは出来なかったなぜならば……


「あ、義姉様!一緒に入りましょう!」


魔王の妹……レンが私を見つけると私のところまで走ってきたからだ。

そして、私はレンに手を引かれその扉の中に入って行った。


□□□


その部屋の中にはすでにミーナとラーサが来ていた。けれど、アッシュはいなかった。

私はなぜいないのだろうと思ったが、その思考はすぐに消えた。

なぜなら……


「きゃー!!かわいい!!なにこれ?」


ミーナが私に抱きついてきたからだ。

ミーナが私を抱きしめると、私の頭を撫でたり服を見てほぉほぉといったりといろいろとされた。

それを見ていた、ラーサはまたかという感じで呆れていたが、すぐにまぁいいかと無視していた。

それと、横にいたレンは頭の上に?を浮かべ顔を傾けていた。

私は、とりあえずミーナにされるがままにされていた。

けれど、だんだん鬱陶しくなったので払いのけた。


「さすがに……鬱陶しくなってきたからやめて」

「あ、うん」


ミーナは払いのけられると元いた自分の席へと戻っていた。

私も、空いている席へと座りに行った。

そして、レンも椅子に座ると魔王の母がやって来た。


「さてさて、みんな集まったみたいだから朝食用意するわね」

「全員……?アッシュは」


魔王の母は、みんな集まったと言ったが私はアッシュのことについて魔王の母に聞いた。

すると、魔王の母は笑顔でこう言った。


「アッシュさん?さぁ、どこに行ったのかしらね?」


その笑顔はこれ以上聞くなという、感じがしたため、私は言葉に詰まり、聞くことをやめた。


「そ、そうですか」

「じゃぁ、用意するわね。」


そう言って、魔王の母はメイドや執事達に朝食を用意するように言った。

少ししてから、朝食を持って、メイド達がやってきて、私達の前にそれぞれの朝食を置いていった。

今日の朝食は、いつも通りの卵焼きにご飯、そしてお味噌汁だった。


「へぇ……これが魔国の朝食」

「なるほど、あの食材がこうなるのか……ふむ」


ミーナは置かれた、朝食を見て感嘆していた。

ラーサは朝食に使われている、食材を見ながらいろいろと考えていた。


「さて、食べましょうか。口に合うか分かりませんけど」

「はい」


魔王の母が、そう言い私達は朝食を食べ始めた。


「ずず……このスープ何か深いですね」

「こっちの料理は卵使ってるんですね……それにこの調味料はこれと合ってますね。」

「うん、おいしい」


私達はそれぞれに料理の感想を述べながら食べていた。

朝食を食べながら少しずつ、今日どこに案内をするかをミーナ達と話していた。


「それで、今日はどこを案内してくれるのかな?」

「今日は、こことここらへんの店でも案内しようかなと思ってる。」

「ふむ、どんな店があるのかは教えてくれないのか?」

「それは、着いてからのお楽しみということで。」

「そっかぁ……ま、そっちの方が楽しいか!」


そして、朝食を食べ終わり、ようやく、自室へと戻れるようになった。

けれど……


「まだ、その姿でいいじゃん」


ミーナが私を止めていた。


「さすがに、これ以上この服装でいることに私の気分がよくない。」

「えぇー……」

「……」

「……分かった。まぁ、着てくる服が楽しみだからそっちを期待することにする。」

「……はぁ……」


結果的に、ミーナと話し私は離され自室へと戻っていった。




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