第13話 戦士、受難
「あぁ……体が痛い。」
俺は現在、どことも知らぬ場所にいた。
その場所は暗く、周りにいろいろなものが置かれていた。
昨日の魔王の母に連れられ、いろいろとされた後、ここに入れられた。その際、俺は目隠しされていたのでまったくどこなのか見当もついていない。
えっされたこと?怖くて思い出したくもない……
「さて……今は何時なのだろうか?」
俺は周りを見回した。その部屋はさっきも言ったはずだが、暗いそして窓がない。ただ、部屋のスキマから光が漏れていた。
「……うーん。」
俺がどこなのかと考えていると下のほうから声がした。
「おや、目覚めましたか」
俺がその声に反応して下を見ると、そこには一匹の青く発光したネズミがいた。
「しゃべるネズミ!?」
「おや、驚かれますか。まぁ、そうでしょう私のようにしゃべることができるネズミはいないですからね。ですが、今はそれはいいです。貴方様が目を覚まされたので、主様から、案内を頼まれています」
「……そ、そう」
「私の後についてきてください」
俺はそのネズミの言葉に一応、従うことにした。
□□□
「どこまで行くんだ?」
「もう少しです。」
俺が、そのネズミの後に着いていって数十分の時間がたった。
まだ、俺は俺がいた部屋からは出ていなかった。
「それにしても、この部屋……結構でかいんだなぁ」
「物置ですからね。」
「物置か……だから、こんなにものが置かれているのか。」
「えぇ、そうですね。むやみに触らないでくださいね。主様が集めたものの中には危険なものも混じっていますので。」
「あぁ……」
そして、俺はネズミと会話をしながら歩いていた。
「そろそろ扉が見えてきますよ。」
ネズミがそう言うと、本当に扉が見えてきていた。
「あの扉から出ると、屋敷の裏側に出ますので、そこからお戻りください。私はこの物置からは出られないのでここまでです。では」
そう言って、ネズミは俺の目の前から消えていった。
「ほんとに謎のネズミだったな……まぁいいか出られるから。」
俺はそう呟き、その物置の扉を開けた。
その扉を開けると、外から光が入ってきた。
「ほぁ……外だ。明るいなぁ」
俺は物置から出て、日の光を浴びていた。
俺は、少し腕を上に伸ばしてから、屋敷に向けて歩いていった。
□□□
「さて……また、ここはどこだ?」
屋敷に向けて歩いていたが、俺は迷っていた。目の前に屋敷自体は見えているのだが近づけど近づけど距離感が変わらなかった。
そして、なにより今俺がいるのこの場所が迷路だからだ。
なぜ入ったかと言うとだ、この迷路に入る前に俺はいろいろな道を歩いていたのだが、どこをどういってもこの迷路前に移動させられた。
だから、俺はこの迷路に入った。
そして、迷った。
「……屋敷に近づけないぞ……どうしようか。」
俺が迷っていると、壁に生えている花から一匹の羽が生えた生物が俺の前にふらふらと近寄ってきた。
「どうしたのぉ?どうしたのぉ?迷ってるのぉ?迷ってるのぉ?」
その生物は俺の周りをぐるぐると回りながら同じことを繰り返しながら俺に聞いてきた。
「な、なんだこの生き物!?」
「私?私?私はメイズ!私はメイズ!迷路の妖精!迷路の妖精!」
「そ、そうか……んで、さっきの答えだが迷っている。」
「そうなの?そうなの?私うれしい!私うれしい!」
「そうか……出口の行き方は知らないか?」
「出口の行き方?出口の行き方?おしえなーい。おしえなーい」
その妖精はそう答えると、キャハハと笑いながら迷路の奥へとふよふよと漂っていった。
「一体……なんだったんだ。とりあえず追いかけてみるか?」
俺は、少し考え、ふよふよと漂って奥に行く妖精を追いかけることにした。
□□□
「見失ったか。けど、追ったのは正解だったか……若干屋敷が近づいた。」
俺は妖精を追いかけているうちに妖精を見失った。あの妖精は壁をすり抜けていたからいつか見失うと思っていたけれど、そんなに早く見失わなくて助かった。
「さて……どれを選ぶか……」
そして、俺の目の前には謎の扉が3つあった。
右の扉は赤い色をしていて、左の扉は青い色そして、真ん中の扉は黄色になっていた。
そして、その3つの扉の横に謎の看板が設置されていた。
その看板にはこう書かれていた。
「えーっと、『この内一つは正解への道、この内一つは不正解への道、この内一つは始まりへの道』か……最後の始まりへの道ってなんだろうか……まぁいいか3択なんだよなぁ。」
俺は、扉の周りをぐるぐると回りながらどれにするかを考えていた。
「うーん……ヒントもなしだからなぁ。しょうがない、直感で選ぶか。」
俺は意を決して3つの扉を見た。そして……
「俺はせっかくだから、赤い扉を選ぶぜ!行くぞ。」
赤い扉を選び開けその中へと入って行った。その時、少しだけだがあの妖精の笑い声が聞こえた。
□□□
赤い扉を選んだ俺を待ち受けていたのは……迷路の入り口だった。
「……始まりへの扉ってこういう意味かァァァ!!!」
俺は一人叫び、その場に座り込んだ。
「はぁ、最初から……か」
俺はまた、その迷路を再度歩き始めた。
俺がその迷路から出たのは……数時間も後であった。
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