第1話 勇者と魔王、勇者パーティと再会する
次の日になった。
私は、魔王城から魔王の家へと戻っていた。
「魔王様からのご報告です。薫様のパーティメンバーだった方々は明後日にはこちらへいらっしゃるようです。」
「ふむ、あいつらがここに来るのは明後日か」
私は、セバスからアッシュ達が来る日を聞いていた。
そして、明後日にあいつらが来るまでにいろいろと準備をすることにした。
まず、この城下町のいろいろな場所を把握する必要があった。
私はいろいろな区があるのを教えてもらっていたが場所は覚えていなかったからだ。
そのため、メイド長にこの街の地図を見せてもらった。
「こちらになります。」
メイド長が持ってきた地図には城を中心に広がる街がしっかりと書かれていた。
「ふむふむ……えーとこの屋敷があるのが……」
「ここですね」
「あぁ、なるほど……となると……」
その地図を見ながら私は、明後日に向けていろいろとメイド長と一緒に考えていった。
「ほんとに楽しそうですね。薫様」
「あぁ、楽しいぞ。ここ最近私は部屋でボーっとしてるかレンと遊んでるかぐらいしかしてなかったからな……まぁ、レンと遊ぶのも楽しかったと言えば楽しかったがな……」
「ふふ、そうですか。」
私はメイド長にレンとの遊びを少しずつ語っていた。
そのかたわらでメイド長は微笑みながら私を見ていた。
(やはり……この方はかわいらしい……ふふ)
内心で何を思っているのかは、私にも分からないけれど……
そして、私はまだ知らない、その日に用意される衣服のことを……
☆☆☆
薫に薫のパーティメンバーがやってくる日を伝えてから、二日たった。
つまるところ薫のパーティメンバーがやってくる日だ。
そして、我の前にはその、パーティメンバーがいた。
「よく来たな」
「はい、今回は招いていただきありがとうございます。」
「よいよい、薫の友人なのだろう、招くのは当たり前だ。それに薫にも息抜きは必要だろう……」
我はそう言った。
そして、我は薫のパーティメンバー達といろいろ話をした。
「なるほどな……あいつもこの数週間でいろいろとあったのか」
「ふむ、目族は現在、襲ってきてはいないと……」
その会話は双方にとって有益なものでもあった。
「まっ、からかえる話は増えるに越したことはないな!」
「そうですねー」
そして、それからも我はアッシュ達との会話を続けた。
気づいた時には、数十分たっていた。
「あぁーっと……待ち合わせ時間までもう少しか。」
「うむ?……あぁ確かに、我も話しすぎたな。」
「いや、いろいろと楽しい会話だったぜ。」
「ふむ、そうか、それはよかったぞ。」
アッシュはそう言い笑っていた。
そして、ミーナと名乗っていた女性は、我に言った。
「じゃぁ、私達はこれで待ち合わせ場所まで行きますね」
「あぁ、分かった。」
そうして、アッシュ達は我の間から出て行った。
「さてさて……息抜きになってくれるといいんだがな……」
我は薫の息抜きになることを信じてつぶやいた。
そして、ちょっと時間がたった時、ふと我は思い出していた。
「うむ……そういえば、薫が女になっていると言うことを……言ってないぞ……しまったな。」
☆☆☆
そして、ようやくまちに待った日がやってきた。
そう、アッシュ達がやってくる日だ。
魔王はアッシュ達を今、迎えている最中らしいので私は集合場所に先に言っておくことにした。
そして、数分歩き集合場所に着いた。
その、集合場所とは……まぁ、魔王城の門前なわけだが……
「さて……どれくらいで出てくるかな……」
私は一人つぶやいた。
そして、今まさに着ている衣服のことを考えていた。
「というかやっぱり、さすがに……これは無いだろうと思ったけど着せられたしなぁ……」
私が今着ている、ゴシックなドレス……まぁ、普通にゴシックドレスなわけだが……
それにこのドレス地味に高性能であり、私の立場的に一番合っているからと無理やり着せられた。
例えばこの生地、生半可な魔法、物理攻撃じゃ傷一つつかない。
実際に私の目の前で、メイド長が火の魔法をぶつけたり、魔王城の兵士達が斬ったりしてもまったく傷つかなかった。その時、私は驚いたことを覚えている。
材質を聞いたところ、昔に入手した竜の鱗だと答えられた。
竜の鱗はとても硬く、魔法耐性が高い代物だ。それをこのドレスにするのは至難の業だったとも言っていた。
このドレスが作られた経緯はいろいろあったらしい。まぁ、私には関係なかったので割合するけどね。
「……ハァ、それにしても……私、女性の服を着るということに抵抗まったくなくなったなぁ……」
俺のつぶやきの通り、魔王の家に住み始めてから女性物の服ばかり着ている。まぁ……実際は、魔王城のときからだが
それにここ最近、メイド長が張り切りすぎていると言うのもあり、ひらひらとしたものまで着せられている。
そのため、満更でもなくなっていく感覚もあり、もういいかと思っていた。
それから、数分の時間がたった時、魔王城からアッシュ達が出てきていた。
私は、それに気づきアッシュ達の声をかけた。
「ようやく来たか。待ってたぞ」
だが、アッシュ達は私のほうを見ながら、立ち止まっていた。
そして、私にとって衝撃の一言をアッシュは発していた。
「えーっと……どちらさまでしょうか?」
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