第2話 勇者、賢者に当てられる
「えーっと……どちらさまでしょうか?」
私はその言葉に固まっていた。
「あっと……えっと……」
そして、私は、そういえば私が女になっているといったこと伝えていないと言う事に気がついたのである。
どうしよう……か、そうだよなあいつ等からしたらいきなり見ず知らずの女に話しかけられたようなものだよな……
そうして私は、思考の迷路にはまっていた。
私がアッシュの方を見て固まっていると、ラーサが私に向かって話しかけてきた。
「えぇっと、薫の使いですか?」
「あー……そうです。」
そういうことにした。
……ってちがーう、何でこうなった……
あぁ、伝え忘れ……悔やむぞ、私からしても久しぶりなんだぞ……
しょうがないので、私は薫の使い……まぁ、自分の使いだが、になることにした。
自分のことを伝えるタイミングをいつになるのかを考えながら、とりあえず今考え付いたことをラーサ達に話した。
「えぇっと、薫様からの伝言でまだ準備がかかるとのことで私が少し案内することになりました。」
「ふむ、そうか……真っ先にに会えると思ったがまぁしょうがない。遅れたことは私達でいびることにしよう」
「そ、そうですかぁ……」
私はただただ、肯くぐらいしかできなかった。目の前にいるものねいびる対象の人が……
「じゃぁ、行きましょうか」
「そうだな、薫からの伝言もあるのなら大丈夫だろう…っと、そういえば君の名前を聞いてなかったな。」
「わ、私ですか」
ど、どうしようか……偽名……偽名、えぇい安直でいいや。
「か、カールといいます。」
「カールさんですか、ではよろしくお願いますね。」
アッシュが私にそう言い私は、案内を開始した。
そして、前日に決めていたルートを辿るように歩いていった。
□□□
「しかし、君みたいな子がアイツについてるのか……」
「えぇ、まぁ」
「で、アイツはどうしてるよ?」
「元気ですよ。それはもう」
「そうか……あいつあっちのケでもあったのかね……」
私は歩きながらアッシュと会話をしていた。
アッシュは私に私がどうしているかと聞いてきたので答えたが、最後に呟いたセリフは聞き逃せなかった。
ねぇよ……あっちのケはねぇよ……そりゃ、若干助けられてから感覚がおかしくなったりするけれども……
今の私は女だしおかしくないはず……うん
私はぶつぶつ言いながら案内を続けた。
それから、少しして第一の目的地に到達した。
「わぁ、いいじゃないですか!」
それは、本屋だった。
この本屋はあの王都にある本屋よりかは小さいがそれなりの量があり、ミーナが本好きだったことを覚えていたのでここにした。
「私ちょっと、奥の方見てきますね!あっ、カールちゃんも一緒に行きましょう!」
「えっ、ちょっと待っ……」
私はミーナに引きづられ連れ去られていった。
それを見ていたアッシュとラーサは苦笑いをしながら私達を見送っていた。
□□□
「……さて、アッシュ達から離れたしもういいよね」
「えっと……どういうことでしょう?」
「フフフ、隠さなくてもいいよカールちゃん……いいえ、薫」
「!?」
私は、驚きを隠せなかった。
アッシュやラーサでさ、私のことが分からなかったためミーナも分かっていないと思っていたからだ。
そして、ミーナはなぜ分かったかを話していた。
「だって、魔力の波動がまったく一緒なんだものカールちゃんと薫って、魔力の波動がまったく一緒な人っていないんだよ。」
「はぁ……なるほどな。お前、魔力の波動をサーチすることを初対面の人にすること多かったな……」
「うん!それにしても、薫がこんな……」
「どうした?」
ミーナは一旦言葉を止めるとぷるぷると震えだした。
「ど、どうした、そんなに震えて」
「あぁ、もう駄目ぇ!えいっ」
「ぎゃっ」
思いっきり抱きしめられた。
「あぁ、いいいいこの感じ、ウフフフフ」
「ミ、ミーナ……くるしぃ」
「ウフフフ」
それから、私はミーナが堪能するまで抱きしめられていた。
その際、頭を撫でられたり、いろんなところを触られたりといろいろされた。いろいろされた。
解放された私は、その場に座り込んでいた。
「うぅぅ……何か……何か失った気分」
「はぁ、すっきり。可愛い者を愛でる……これいいわぁ」
ミーナは恍惚な表情を浮かべながら座り込んでいる俺を見ていた。
私は、その視線から逃れるように後ろの方へ下がっていった。
「はぁぁ……っといけないいけない、本題を聞かなきゃいけないんだった。」
「本……題?」
ミーナが、突然素に戻り私に問いかけてきた。
「そう、本題なんで薫、女の子になってるの?」
「あ、あぁこれは……」
私は、ミーナにこれまであったあれやこれやのことを話した。
「ふぅん……なるほどねぇ、まっそりゃ薫からしたら嫌かぁ…(私からしたら良かったんだけど)」
ミーナは納得したのかうんうんと肯いていた。
ただ……最後の方で何か呟いていたような気がしたが、まぁいいかと思い流すことにした。
「まぁ、仕方ないものは仕方ない。じゃっ、戻りましょうか」
「あぁ……」
私はミーナの後ろにつくように歩いていった。
その際、ミーナはいいと思った本を片っ端から手に取っていた。
「わぁぁ、これがこんなところに!あっちにはなかったのに!いいわいいわぁ掘り出し物がいっぱい、ウフフフ」
「ほどほどにしろよ……」
「分かってる分かってる。」
それから、数十分の間私はミーナに振り回されていた。
私達がアッシュ達の元についたのはそれから1時間もあとだった。
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