第3話 魔王、新たな一日
我は魔国の王レイン、いわゆる魔王と言われている者だ。
そして、先日一つの王国と不可侵条約とそれに伴い、友好条約を結んだ。
現在、その王国の王と水晶越しに話しをしている最中である。
「して、そちらに攻め入った魔族の特徴を教えていただけるか。」
『うむ、一つ目や、三つ目の魔族が大半だった』
「ふむ……だとするとあの部族か……ありがたい」
『何、こちらも攻め入ってくるもの達だからの。して、話しは変わるが現在、勇者はどうしておる?』
「変わりなくすごしているぞ。」
『そうか……それはよかった、いかんせん勝手に召喚して勝手に婚約させてしまったゆえな……。
それでは、今回の話はこれにて』
「あい、分かった。ではな」
我はそういうと水晶の魔力を切った。
ふむ……王国の王との会話で分かったことは、古参の目族達だということか……。
ちなみにだ、我ら魔族にもそれぞれ種類がいる。例えば、今先ほどでた目族、これは一つ眼又は三つ眼をもつ種族だ。
一つ眼は巨体であり人族からサイクロプスやギガンティスなどと呼ばれている。
そして三つ眼は千里先まで見通せる三つ目の眼を持った種族だ。
目族以外にもまだいろいろあるが今はいいだろう……。
さて、討伐もとい殲滅する対象は分かった、これは後でセバスや兵士長に通しておくとして……
「さて、薫のところに行くとするか!」
☆☆☆
「というわけで来たぞ!嫁よ。」
「なぁにが、というわけでだ……ハァ」
我が来るなり、我が嫁の薫はため息をついた。
うむ、いつ見てもよい……やはり我の見る目は間違いなかったな。
さて、なぜ我が嫁もとい薫のところまで来たかというとだ、後数日後には我と薫の結婚式を行うためだからだ。
それに、我は嫁のことを初めてあった時から愛しているからな。一言で一目ぼれというやつだ。
だが、薫はあってすぐの我のことはなんとも思っていないだろうから、我自信のことを知ってもらおうと結婚式までの数日、こうやって会いに来ているわけだ。
「ふむ、見るところによると今は……何をしているんだ、サレン?」
我は何かをしている、メイド長のサレンへ問うた。
「今ですか?見て分かる通り薫様に、女性としての振舞い方を身につけてもらっています。」
「なるほど。」
そういえば、そうであった。元々薫は『男』であったな。
魔族と人族では恋愛の価値観が違うという感じなことを薫が言っていた、だから薫を『女』にしたわけだが……ふむ、そうか。
「そうか……ならばまた後で来るとしよう」
我はそう言い、薫がいる部屋から出て行った。
☆☆☆
「さて、残っている仕事は何かあるか……」
我が、自室へ戻るまで思考していると前方から、一人の魔族が歩いてきた。
「これはこれは、魔王様!」
「うむ?……あぁ、ファランドールか。」
歩いてきていた魔族は、よくこの城に出入りをしているカーレン家の一人娘であった。
「それで、我に何かあるのか?」
「いいえ、魔王様が歩いてきてらっしゃったので挨拶をと思いまして。
それと、最近セバス様やサレン様が何かいろいろとやっていらっしゃるのを見ることが多いのですが、何かあるのですか?」
「なるほどな……」
ふむ、特に隠しているわけでもないから言ってもかまわぬかな……
我は、数秒考えた後に言った。
「数日後に我の結婚式をやるのでな」
「け、結婚式ですか!?」
ファランドールは我が理由を言うとひどく驚き、我を問いただしてきた。
「だ、誰とですか!私が知っている人ですか!」
「少し落ち着くがよい、ファランドールよ。そんなに慌てなくとも」
「……そ、そうですね。」
ファランドールを落ち着かせ聞いてきたことについて我は話した。
「ファランドールは知らぬ相手だ、いや、知っているかもしれんか」
「だ、誰なんです?」
「勇者だ。」
我が、そういうとファランドールは固まった。
そして、数秒もしないうちに顔が見る見ると変わっていき、
何かをぶつぶつ言いながら我から離れていった。
「ゆ、勇者ですって……あの、勇者!?」
「お、おいファランドール!いきなりどこへ行く。」
我の言葉も聞こえてないようで、そのまま我の視界からファランドールは消えていった。
「一体……なんだったんだ?」
考えても分からなかったので、我はそのまま自室へと行くのであった。
☆☆☆
そして数日が過ぎ結婚式当日。
「セバスよ準備はどうなっている?」
「魔王様のご命令どおりに進めております。」
「そうか……ふむ、では後は薫が来るのを待つだけだな。」
我が、薫を待っていると一人の魔族が飛んできた。
「ほ、報告します!嫁様が……何者かにさらわれました!」
「なに!?」
我はただ、報告してきた魔族を見て唖然としていた。
□□□
何処か暗い部屋で一人の女性がある人物の絵を見ながら呟いていた。
「……フフフ、私の魔王様……あぁ、魔王様……あなたに勇者なんて似合いませんわ
……だから私が貴方を解放して差し上げます……フフフフフフフフフ」
その女性は、ただひたすらにその人物の名を言っていた……
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