4−10
バウエ山。ふとジョーは思い出す事があった。廊下でケーリーと歩きながら話しかける。
『なあ。』
「なんだい。」
『ベルーイってもう死んじまった友達から聞いたんだけど。』
「うん。」
『洞窟のオバケが植人にされたの本当か?』
「ああ。」
『やっぱり。』
「でも誰かは分からないや。少なくともバウエ山出身ではないらしい。何らかの理由でバウエ山に追いやられたか、産み捨てられたか、どちらかだ。」
『そうなのか。』
「うん。」
『・・・あとそうだ。』
「なんだい。」
『ウーラム先生は、復帰したのかい。』
「・・・・・・・・。」ケーリーは何も言わない。
『ケーリー?』
「よし。ちょっと辛いものを見るかもしれないけどいいかい。」
『・・・・ケーリー?』
ケーリーは踵を返して先先歩くのでジョーは慌ててひょこひょこ走る。そしてフルネスのいたのとは違う別の部屋の扉を開ける。
「ここが、ウーラム先生だった人の部屋だ。」
ジョーが中に入ると薄青色のウーラムの顔した人形がベッドに腰掛けてひたすら右手を上下に振ってい た。ジョーは思わず立ち止まる。
「あまりに調教を長くされ、それに慣れてしまったので、自分が金槌を振る植人であるという認識から抜けられないみたいなんだ。ウーラムの名前さえ想いだせない。」
『ウーラム先生・・・』
ジョーはベッドに腰掛ける人形を見上げながらボソリと呟く。
『思い出してください。ジョーです。ジョーですよ。俺が辛くなった時にいつも相談してくれたじゃありませんか。』
ウーラム先生はひたすら右手を振っている。
『ウーラム先生・・・。』
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