2−13
「二人は行ってしまったかあ。」
ジョーは言った。
「まあ何とか上手くやるでしょう。」
趣味のアーチェリーの弓をビィン、ビィンと弾きながらタルヒは言う。
「それでさあ、君は弓という武器があるじゃない。」
ジョーはタルヒに言う。
「ここまでくるとやがて王国との戦争になると思うんだ。だから僕達も武器が必要だよね。」
「えー、弓って言っても趣味程度でドングリ当てた程度だぜ。」
「まじかよ。」
「やってみるよ。」
タルヒは窓の外の小枝を取って弓で窓の外にぶら下がる木の実に狙いを定める。ジョーとメラマがゴクリとつばを飲む。小枝の矢は放たれ、一瞬の間に、木の実が根元から取れて地上へと落ちるのがかすかに見えた。
「十分じゃないか。むしろもっとそのスキル伸ばせよタルヒ。」
「無理言うなあ。」
「わたしは何の武器がいい?」
メラマがジョーに尋ねる。
「そうだねえ、メラマちゃんは、剣とかどうかしら。」
ジョーが言うとメラマは「わかった、がんばる!」と言って立ち上がりどこかに言ってしまった。
「どこにいったんだアイツ。」
とタルヒが訊くとジョーは言った。
「多分図書室でしょう。」
レリビディウムのアジトには誰かが好意で沢山本を贈呈したらしく、図書室に近い部屋が存在する。とはいえあまり整理されておらず、探すのには一苦労みたいだ。
「そんでゲルマは?」
タルヒはまた訊く。
「トイレだとさ。」
「あいつビビってちびっちゃってんのかね。」
「ふふふ。腹でも壊したんじゃないの。」
「ははは。」
「しかし、戦争かあ。」
「結局”処刑人”って実在するの?」
「今さっき帰ってきた組織長のランバーが言ってたよ。」
「そうなんだ。何者なんだろう。」
「恐ろしく強そうな相手だからって今会議してる。」
ジョーが顎で指した先でランバー・トールスキンが組織の幹部達と込み入った会議をしていた。その脇の扉から剣術の本を持ってメラマが戻ってくるのが見えた。
「ジョーは武器どうするの?」
メラマがジョーに訊ねる。
「そうだなあ、俺は、うーん、じゃあメラマちゃんと一緒に剣の勉強でもする。」
「本当!わあい、嬉しい!」
楽しそうな風景にタルヒは引いているのかちょっと一二歩ぐらい距離を開けて窓の外を眺めた。彼らは上手くいっているのだろうか。月が大きい。
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