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城下町は海に面していて港がある。港からやや離れた所に知る人ぞ知る静かな海岸があって、二人は城下町の買い物を終えるといつもそこのブロックに座って海を見つめている。ジョーが何か思いつめいてるようなのでケーリーは買い物袋を置いてジョーに近寄って話しかけた。
「なあ、ジョー。どうしたんだい。」
「・・・兄さんは何とも思わないのかい。」
「何を?」
「植人。」
「植人がどうしたんだい?」
「罪のある人だからといって、あんな、なんか、人形にするなんてよくないよ。」
「なんで?」
「なんか、残酷。」
「ジョーは相変わらず純粋だねえ。」
「純粋って何だよ!」ジョーは激しくかぶりを振る。「あれじゃなんか、可哀想だよ。」
「でもまあそれしかなかったんだよ。」
「本当に?」
「うーん、他の手段があるのかはわからないけど」
ケーリーもゆっくりかぶりを振った。
「でも植人の制度なかったとして、例えばあまりに悪い事した人が、僕らの町にいられないとか、いることをとてもじゃないけど許されないってなったら、その人の人生どうなるのかなあ、て考えると、うん、植人として働き直すのはむしろ王の寛大さだよ。」
「人形として働くより、いっそ死んだ方がマシとでも思うんじゃないかしら。」
「そんなことをいっちゃいけないよ、ジョー。」
「なんでさ。」
ケーリーはジョーをまっすぐ見る。
「人の生き死にを、勝手に判断してはいけないから。」
「・・・うん。」ジョーはしぶしぶ頷いた。
「それにね。」
「それに?」
ケーリーは周りを見渡してニコリと微笑む。
「続きは秘密基地で話そうよ。一端買い物を家においてさ。」
「お、わかった。じゃあ秘密基地で続きお願いね。」
二人は立ち上がって、海を後にする。海岸の上の廃品として捨てられたブロックたちが、夕日で物悲しく照らされている。
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