続、ドドンッ!と登場!クロバ様とゆかいな仲間たち!
まあそんなわけで……
……マ……テ
マ……エエ……て……ッ!
「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
「あああああああああ~ん?!!!」
「「「ああああ~ん?!!!」」」
どどどどどどどどどどどどど……っっっっ!!!
ただいま激走中なオレ様たちなのであった!
するとオレ様の隣に追いついてきた親分がピッコーン! と、突然何かをひらめいたような顔をこちらに向けてくる。
「そうだ! クロバ! お前んち悪魔とか祓うスゲー力もった家なんだろ?!
そのスゲー力でズババババアーンとやって来いよ! あ~ん?」
「ああ?! なんでてめえらを守るために、オレ様が犠牲になんなきゃなんねえんだよ!」
「「「お願いしますよ、兄貴ィ~」」」
「そんでお前らもちょっと新しい言葉覚えてんじゃねえよ! 兄貴って呼ぶな!」
(ずううううううん……ずううううううん……!)
俺たちがギャーギャー騒いでいる間にも化物は追いついてくる。スピードは大したことないが一歩一歩が大きい。
ぜはあ……! ぜっはあ……!
ちくしょお! さすがにそんなことも言ってらんなくなってきたか……!
「くっそ……! なんで金にもならねえ仕事にオレ様が精を出さにゃあならねえんだ!ちくしょおおおがぁ!」
ザザアァァッ……!
すううう……ふううううううううう……っ!
そこでオレ様は仕方なしに敵に向き直り呼吸を整える。
お前ら知ってるか?昔々「桃太郎」っていう正義感満載の男がいたことを。桃から生まれて何を好き好んでか、鬼ヶ島とかいうヤバいところへ行って悪鬼どもをバッタバッタとなぎ倒し世界に平和を取り戻した英雄様だ。
「あ~ん?! 何立ち止まってんだぁぁ?! あんなの冗談に決まってんだろ! 食われちまうぞ!」
「「「あ~ん?!」」」
なんでもすげえ力があったんだと。剛力ってぇ意味じゃねえぞ? 特殊能力ってやつだな。どんな武器でも使いこなし不思議な力を注入することで、普通じゃ切れないようなものもスパッと切っちまったらしい。
確かにそうでもなけりゃ鬼なんかのあんな固ってぇ皮膚なんか切れるはずもねえやな。触ったことあるか? 実際に殴ってみるとダイヤモンドみたいな感触なんだぜ。
後ろでまとめた赤髪を風で揺らしながら、意識を集中し距離を測りながら定評のある目つきの悪さで相手をにらみつける。
(ずううううううん……ずううううううん……ッ!)
マッ……テ……ッテ……クダ
……イ……バ……
なんでそんなに詳しいかって?そりゃあ……
ついに化物が、待ち構えるオレ様の間合いに入る。
腰を後ろへと十分にひねり、中二病の病の証ともいえる炎のイラストの入った革の手袋をつけたこぶしを握り締める……っ!
「オレ様が……その大っ嫌いな桃太郎様の……っ」
化物も咆哮をあげながら最後の力を振り絞りオレ様の胸に飛び込んでくる……っ!
オレ様はそれに合わせ、ひねった腰の反動を利用し相手をぶち抜くイメージで溜めたこぶしを開放せんと一気に振りぬくっ!
「子孫さまだから……だ?」
かっこいいキメのシーンで何か違和感を覚えたオレ様は一瞬こぶしを振るう手を止めちまった。
……ん?
なんか今文章がおかしくなかったか?
「ついに化物が、待ち構えるオレ様の間合いに入った・・・!」
うん、ここは大丈夫だな。
「化物も咆哮をあげながら最後の力を振り絞り」
ここもいい。
「オレ様の胸に飛び込んでくる・・・っ!」
「ここだあっ!!!!!」
オレ様はまるで腕輪が反応したことで観察力がぐーんと上がった某裁判ゲームの少年のごとくツッコんだ!
胸に飛び込んでくるなんて女のコにしか使わないような言葉。しかもこの状況の説明には全くふさわしくない! おい! 構成作家! どうなっ・・・
「ッテ……助けて! 待ってくださいってばあああああああああ!」
どおおおおおおおおおおおおおおおんっ!
「うぐぉっ!」
「~~~~~っ! てえなっ……くっそ……っ!」
全然「飛び込んでくる」なんて生易しいものじゃねえじゃねえかっ!
「ご、ごめんなさい!」
が、一応かわいいおなごの声が聞こえたので、仕方なく即座に可及的速やかに体を起こしたところで胸のところに突っ込んできた少女? と目が……合わなかった。芸能人よろしくサングラスをかけてマスクをしていたからだ。
それでもまだ違うな。マツリダワッショイのごとく必死に走っていたからだろうか。マスクが額までズレており、小さくてかわいらしいピンク色の口元だけがこちらを向いていた。
ああ、でも眼鏡とマスクを外したらかわいいタイプだわ、コレ。
「バカ野郎ッ! クロバっ! 後ろだ! 後ろ後ろっ!」
「「「兄貴いいいいいいいっ!」」」
人がせっかくいい雰囲気だっていうのに、昔のコントみたいな声かけやがって……っ!
とか思っていたオレ様だったわけだがハッ!と、化物の存在を思い出した!
「あ、あの……あっ……///」
咄嗟に、顔もわからないが勝手にかわいいと確信した少女の頭を胸元に抱え込み身構
ぷちっ!
ずずうううううううううううううううん!
のちに親分と子分たちは語る。
悔しいが最後に聞こえた少女の声はヒーローに救出された姫君のようで
それはとてもとても可愛いかったそうな・・・
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