第三話 桔梗と体育祭
プロローグ『桔梗一輪』
──お姉ちゃん、どこに行っちゃったの?
「あれ? 菖蒲さん? 」
菖蒲さんと背格好や髪型のよく似た女性が目の前を通り過ぎた。菖蒲さんなら、視界の端に俺を捉えたら飛んでくるはず。……雰囲気と髪色、ライトフェミニン系の部分以外はそっくりだったんだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「……どう思うよ? 」
通学中に見た一切を親友に話す。
「なん……だと……菖蒲さんにクリソツ美少女?! この世にあんな二次元から飛び出したような完璧美少女がもう1人?! ……神様ありがとう! 生きててよかった! 」
想像は出来たはずだった。こいつがこういう性格だと。
「聞き方を間違ったな。菖蒲さんからは家族の話は聞いていない。だけど、話題にしていないだけでいる可能性はある。ドッペルゲンガーとかなら瓜二つだろうし、菖蒲さんに姉か妹がいてもおかしくないだろ? 」
我が親友はニヤニヤ頷く。こいつはどこまで聞いているかわからない。聞いていないと思うと、意外に要点をうまく拾っていたりする。
「う~ん、いたらいたらで……おまえが大変×2だなぁ」
愉しそうに笑ってやがる。そうだよ、二倍面倒なんだよ。もしかしたら、二乗や倍々で厄介かもしれない。それじゃなくとも厄介な連中が軒並み増えてるってのに……。
この時の俺は、いつもの状況にどれだけ麻痺させられているかに気がついていなかった。そう、日常化している。当たり前になって、日常化したらマンネリ化だと思うだろ? だが、俺の不運の星はそんなの許しちゃくれないんだよ……。それをまざまざ知ることになるまでに時間はいらなかった。
だって……、紫ふんわり系菖蒲さん似との全面対決はカウントダウンを始めていたのだから。
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