意外な純情と不可解な言動
「ちょっとあんた! ボクの優多に何してくれてんのよ! 」
いつもより掠れたセクシーヴォイス。
「……邪魔をするな」
ゆらりと菖蒲さんに向き直った相良先生。……既に口は裂けていた。助かった……んだろうか。あれ、菖蒲さんがこっち見て動かない。視線を目で追う……。それは露になった俺のイチモツが覗いたまま……。だからって、俺にはどうにも出来ない。は、恥ずかしい……。弛緩剤で足は上手く動かせないし。
「ゆ、優多! な、な、なんでそんな格好なのよ! 」
……あれ? 平気で触る痴女の菖蒲さんが何で真っ赤なんだよ?
「……見たこともないのか? 可哀想にな。この獲物は俺の物だ。諦めろ、女」
避けた口を開き、不気味に笑う。
「……煩いわね、このゲスが。んなこた、あんたに関係ないってのよ」
ふわりと、俺の前に後ろ向きで立つ。相良先生と真正面から対峙した。菖蒲さんは、こっちをみようとしない。後ろからでもわかる。耳が真っ赤だ。
「口の悪い女だな。……そんな憎まれ口、叩いたことを後悔させてやる」
「はぁ? 礼儀を弁えるべきはそっちじゃない。バカなの? 死ぬの? 何? あんた、そういう趣味? 変態ね」
「口の減らない女だな。"同族"が聞いて呆れる」
「誰が"同族"よ? あんたみたいなのと一緒にしないでくれる? ヘドが出るわ」
二人の話は今一わからない。何の話をしてるんだよ。"同族"って──何?
「お楽しみを邪魔しないでほしかったな。綺麗な顔で恐怖を与えながら犯してやるつもりだったのに」
……は? 俺のハジメテが男とか最悪過ぎるだろ! こんなヤツに奪われたくねぇよ!
菖蒲さんがまた、俺を見ないように後退した。
「……あんた、死にたいらしいわね」
菖蒲さんの声にただならぬ怒気が含まれる。俺は身震いした。"知らない"菖蒲さんがいる。
……ガチャン!
不意に手錠が落ちる。慌てて俺は、脱がされかかったものを引き上げる。菖蒲さんが、片手だけで手錠を壊したようだった。
「……エド! 優多を安全な場所へ! 」
菖蒲さんがエドガーさんを呼んだ瞬間、天井がビキッと割れ始めた。そのまま勢いよくひび割れが広がり、割れた。そこから銀色の何かが飛び降りてくる。
『御意。我が主』
いつもとちょっと違うけど、この声はエドガーさんだ。
「……使役か。仕方ないな、女、相手をしてやる」
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