第9話 中等部2-5ーてつじん【野球部】


 井上智香が中等部の貯水タンクを破壊したことにより、学校はパニックに陥っていた


「今の音はなんなの!?」

「なんだってんだよ! 水が………屋上の水槽が壊れちまったのか!?」

「今、この学校で、何が起きているんだ!」

「知るかよ!! 携帯も通じないし外は草原だしウサギは人肉を食いやがるし、もう嫌だ!!」



 皆が皆取り乱し、パニックを起こして周りに当たり散らす


「落ち着けェ――――――――ッ!!!」



 バガァアン!!



 教卓に思い切り手を振りおろし、クラスメイトの注目を集める。

 その轟音に、クラスメイトは口を閉ざし、轟音を立てた人物をいぶかしげに睨みつける


「みんな、一度落ち着くんだ。ここで泣こうが喚こうが騒ごうが、状況が変わるわけじゃない。今は先生や警察の人たちが現状を把握するために動いてくださっている!

 訳が分からないのはみんな同じだ! それを周囲に当たってどうする! どうにもならないんだ! ならば、今できる最善の事をさがすんだ! 俺たちにできることはもう、それしかない!!」


 轟音を立てた人物は、中等部2年5組、月野守つきのまもる。井上智香のクラスメイトであり、クラス委員だ。

 彼は持ち前の精神力と正義感で、場の空気を変えさせた


「でもでも、今できることって言ったってよぅ、何ができるんだよ………わかんねぇよ」


 教室の後方で頭を抱えていた坊主頭の少年、山中やまなか鉄人がポツリと呟いたのが、クラス中に響き渡った


「てつじん。小さなことでもできることはきっとある。それを探すんだ」

鉄人てつひとだ! 具体的には、どうするってんだ」


 剣道部主将として人望の厚い月野守と、野球部のエースで4番という山中鉄人の漫才を適当にスルーし、守はわずかに逡巡した後、最善策と思われることを口にする



「まずは、出席確認だ。この教室に誰が居て誰が居ないのかを把握する必要があると思う。

 すまないがみんな! 名前を呼ばれたら返事をしてくれ!! 朝比奈ひかり!」


 守は教卓の中から名簿を取り出すと、あ行から生徒の点呼を始める


「いるよー!」


 教室の最奥で他の生徒たちと一緒に恐怖を和らげるために集まっていた活発げなポニーテールの女生徒が手を挙げた



「よし、井上智香!」



 そして、いない生徒を呼びあげた


「………チカちゃん、いないね」

「どこにいったのかしら………」


「うそだろ、そんな………井上さん…‥…」



 絶望の表情になる鉄人。彼は智香のことが好きだ。

 彼女の身長は低い。胸もぺったんこ。しかし、ややジト目だがかわいらしい顔立ちをしていた。

 道を歩けば10人中12人は振り返るであろう容姿をしているのだ。


 井上智香は、本人は孤独と思っているが、意外なことに人望があった。寡黙でありながらも聞き上手で、その透き通った声を聞いた日には、彼の心は鷲掴みにされていた。

 そんな彼女がこの教室にいない。

 それは耐えがたい苦痛でもあった。


 たしか彼女は終業式をバックレていたはず。

 運が良ければ、この奇妙な異世界転移に巻き込まれていないかもしれない。


 運が悪ければ………消防の忠告を無視して草原へと向かってしまった高等部の生徒の末路を思い出し、鉄人は頭を振ってそんなことないと自らを鼓舞した


 守は智香のことはいったん放置し、つぎの生徒を呼ぶ。



 結局、教室に居なかったのは井上智香だけだった。



「彼女を最後に見たのは誰だ?」

「………たぶん、俺だ。井上さんは俺に『………終業式、ふける。よろしく』って言ってから学校の裏の方に歩いて行ってた。」

「いや、止めろよ。てつじん、おまえはバカか」

「だけど、せっかく井上さんから頼まれたし………」


 つんつんと指を合わせる鉄人に、周囲のみんなも呆れたため息を漏らす。



「でもでも、井上さんが居ないとなると、どうするんだ? 探すか?」


 顔をあげた鉄人が心配げにそう提案するが………


「………いや、それはたぶん悪手だろう。探しても見つかるとは限らない。

 それに、今は消防がウサギを食い止めてくれているけど、いつ侵入してくるかはわからない。

 智香ちゃんには悪いけど、探しに行けば、もっと事態は悪くなると思う。

 この教室に戻ってきてくれればいいけど………。

 それに、なんだか嫌な予感がする………。

 一人を探すためにバラバラになって動くのは得策ではないよ」



 悪い予感。

 それはいつでも的中してしまうものである。

 周囲を納得せしめる提案をして、見事に場を落ち着かせた守であったが、すぐにその空気も無情にも破壊されてしまうことになる



『キャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』




「なんだ、何事だ!?」


「1階………一年の教室だな」



 悲鳴だ。

 一年生の教室から悲鳴が聞こえてきていたのだ


「お、おいおい! 校門の方に待機してた消防が!」


 さらに、鉄人の報告により、守は窓に駆け寄り、校門の方を向くと―――



「うっ!―――」



 鉈を振り上げた緑色の大きな生物が、消防隊の頭を砕いていた

 さらには、校門を抜けたのか、小柄で緑色の生き物が棍や刃物を振り回しながら、校舎の方へと向かってきているのが確認できた


『うわああああ!』

『人が、頭が! いやあああああ!!』


 さらに、他の教室でも外の光景を目撃している人が居たのだろう、校舎の至る所から悲鳴が上がり、教室がその音量に振動する



「や、やばくないか………あれ………」


「校舎に入ってきている! なにアレ、ゴブリン!?」


「どうなっちまっているんだよ! この学校は!!」


 その中でも、このクラスだけは意外と落ち着けていた。

 場を落ち着かせた守の努力の賜物だ。

 体を震わせ、なんとか悲鳴を堪えようとしているが、頬を伝っているのは果たして汗なのか涙なのか。



「落ち着け!! まずはこの教室で防備を固めるんだ! まずは教室のドアを締めろ、鍵も掛けるんだ!」


 しかし、守はその名に恥じぬ堅実な守りを築くことでクラスメートを危機から守ろうとしている

 状況に流されて教室に侵入されて殺されてしまいましたでは笑えないのだ


「う、うん!! わかった!!」


 クラスメイトもすぐに気持ちを持ち直して守の指示に従う。


「よし! 次は机をドアの方に寄せるんだ! 決して破られないように! 机を重ねてドア側に寄せろ! ドアだけじゃなくてすりガラスのほうにも警戒しろ! 割られたらおしまいだぞ!!」


 テキパキと指示を出し、机や椅子が積み上げられ、教室の窓側には大きなスペースが空き、全員がへたり込む。

 何人かの生徒は緊張感を持って窓から顔をだし、外の様子を確認する。

 野球部である鉄人は、自分の棚から金属バットを取り出し、ついでに守の棚から竹刀を抜き、守に投げ渡した


「助かる!」

「おいおい当然だろ。丸腰でどうする。みんな! 部活動している奴らは武器を持て! 朝比奈! たしか弓道部だろう!? 弓矢を準備! 」

「う、うん!」

「北村はフェンシング部だろう!? 剣は無いのか!?」

「あれは柔らかいから使えないよ!」


 各々が終業式の為、己の部活道具を教室に持ち込んでいることが幸いして、武器にはいくらかの余裕がある


「ほな、ワイはタオルがあれば充分や。向かってきおったらグローブなしで迎撃してもかまへんのやろ?」


 カッターシャツを脱ぎ捨ててシャドーを始めるのは、ボクシング部のホープ。『鬼人』の異名を持つ村上信彦(むらかみのぶひこ)

 彼は中等部でありながら、高等部のボクシング部にて上級生と混じり練習をする期待の生徒だ。

 素行はやや悪いが、中学二年生という年齢も手伝い、状況に少し酔っていた。


 彼の拳は、すでに凶器である。保護するように両手にタオルを巻いて、一度シャドーを取りやめた

 思い切り殴ることができる。そう思った信彦は一度深呼吸をする。

 制限を解かれた拳に砕けるものは無いとばかりに再び元気にシャドーを繰り返し


「構わん! だけど、そうならない事を祈るぞ」

「せやな。ワイかて、さすがにこの状況や。武者震いやのうて普通に震えてまうわ」


 村上は両膝にドン!と拳を打ちつけて震えを払った。


「みんな! カバンや荷物はドアの方に投げろ! 障害物を重くして少しでも教室に入ってこさせるような可能性は下げるんだ!」


「「「 おう! 」」」



 一致団結し、ほとんどの男子はラケットだろうが箒だろうが椅子だろうが、何かしらの長物を握り締めて、女子たちも戦える者は立ち上がり、非力な者は教室の隅に寄り、窓から外の状況を観察する


 隣のクラスの生徒はパニックを起こし、次々と廊下を飛び出して屋上へと向かって走り出した

 だが、守のクラスメイトだけは頑として教室から出なかった。


 冷静になればわかる。

 屋上に出ても逃げ場はない。


 それどころか、おそらく貯水タンクを破壊した得体のしれない化け物が居る可能性すらある。


 むやみに移動するより、堅実に守りを固めた方が生存確率は高いのだ






 中等部のなかで、このクラスだけが全員生き残ることができたのは、偶然ではない。




                  ☆




―――バリィィン!!



 ガラスが粉砕される音が響く。

 それは、この世の終わりを示すかのような不吉な音色。

 自分の命を刈り取ることを目的とした暴力の権化が、侵入してくる音だ。


『ひっ! いや、イヤアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

『だれか、助けてぇええええええええええええええ!!!』



「っ………! もう隣のクラスにまできやがった!」


 守はジワリとにじむ手汗と冷や汗をズボンで拭いながら床に立てた竹刀を右手に持って握り直す

 他のクラスメイトも緊張の色を隠せない。


 自らの命の危機にさらされているのだ。落ち着くという方が無理な話だ

 みな同様に足が震えている。


 喉がカラカラに渇く。

 緊張のし過ぎで乾ききった唇を舌で潤すが効果を見せない

 隣のクラスの安否確認など、するだけ無駄だ。

 できれば助けたいところだが、こちらも精一杯なのだ。それをできる余裕が存在しない。



―――ガンガン! ガゴォオオオン!!



「ひ!」

「きた!」


「狼狽えるな! 突破されたわけじゃない! 突破されても落ち着いて対処すれば大丈夫だ! 見た限りじゃ相手は意外と背が低い! 上から叩きつけるように攻撃すれば問題ない!」

「ほな、ワイは渾身のアッパーをかましたるわ」

「おいこら、村上。月野が言ってる日本語が正しく認識できているのか?」

「アホね。」



 月野守、村上信彦、山中鉄人、朝比奈光のやり取りを見て緊張をほぐした面々



―――バリィィン!!!



 しかし、廊下のすりガラスを破られた音に、再び身を固くした

 ドアには鍵がかけられ、相手は蹴破ろうにも机が邪魔をして蹴破れず



 結局、すりガラスを割るしか方法がないのだ



「ギギィ、グヘッ」

「グギュググギヒィ!!」

「ゲゲゲッゲヒッ!」



 侵入してきた影は三つ。

 皆一様に緑色の体をしていた

 手には血に汚れたナイフや棍棒、石と枝でできた槍を持っていた


「ゴブリンだな。」

「ふむふむ。異世界っぽい典型だな。」

「ほな、本格的に地球ではないことが証明されたわけや。」

「MMOでは定番よね。」


 軽口を言いつつも、額に浮かぶ汗玉を拭って背中を不気味な冷や汗が伝う。

 いくら防御を固めていても、いざ目の前に敵が現れたらやはり身が固くなってしまう



 ゴブリン達は窓を破壊しても障害物があることに少し戸惑っているようだ

 机の隙間を縫うようによちよちと這って来る姿は、少しシュールである


 ゴブリンの一匹は、敷き詰められた机の隙間に槍が引っかかってしまい身動きが取れなくなっていた。


 手を離せばいいだけなのだが、そんな知力は無いようで積み上げられた机の重量を考えずに槍を引っ張り続けていた



「おい、たいしたことなさそうじゃんか」

「こらこら月野。お前が油断してどうする。他の奴は来てる………ぞ!」


 鉄人は机の隙間から顔を出したゴブリンの頭に金属バットを思い切り振り下ろす


 ぐじゅっ! という頭蓋と脳みそをぶちまける音を残して、一匹目のゴブリンが息絶えた



「うぐっ………おぇえええ!!」



 あまりにもショッキングな映像に、15禁すら解禁されていない13歳の少年少女たちは窓際に駆け寄り、胃の中のものをすべてぶちまけた

 窓に間に合わなかった者は、我慢できるはずもなく、その場に吐瀉物をぶちまけ


 実際に手を下した鉄人も例外ではなく、自らの足元にしゃがみこみ、その場に吐瀉物をぶちまけた。


 教室中に異臭が広がるも、もはやそれを咎めるものは誰も居ない。


「なんやてつじん。覚悟しとったんちゃうんか?」

「てつじん言うな! てつひとだ! なんで村上は平気なんだよ!」

「言うほど平気ちゃうねんけど、ワイはスプラッタ系のゲームは大好物や、で!!」


 村上信彦は、その辺の椅子を掴んで棍棒を持ったゴブリンに叩きつけた。

 先ほどのゴブリンと同じように、机のジャングルジムから抜け出すために姿勢を低くして、実に狙いやすい位置に存在したため、一撃でその命を刈り取ることができた

 そして、死にようも同じく、脳漿をぶちまけるという結果になるのは当然のことだった



「おいおい、拳は使わないのかよ………」

「いや、きっちゃないやん」

「なるほど。」



 さっきまでシャドーをしていたのはなんだったのかと言いたくなるほど豪快に椅子を振り回してゴブリンを粉砕する姿はまさに鬼人


 ボクサーという自らのアイデンティティを崩すことに何のためらいもしない事に、一同は戦慄した。

 しかし、椅子を振り上げ、振り下ろす。

 その動作をしただけにもかかわらず、信彦の息は上がっていた。


 意外と恐怖心は精神とスタミナを消耗してしまうモノであったようだ。


 鉄人は込み上げてくる胃液と格闘しながら荒い息を吐いていると、ポケットの中で違和感を感じた。


「ん? なんや、ワイのスマホが呼んどる。」

「ぺっ、村上もか? 月野。あとはいったん任せたぞ」



 スマホで家族にも連絡が付かないことはすでに確認済みだ。

 だから、ポケットでスマホが振動するなど、あってはならない事なのだ。


 それなのに、現実に振動している。

 なにかが起こる前兆か。それとも―――


 鉄人は口の中に残るすっぱいものを吐きだし、スマホを取り出した



「おいおい、なんだ、これ!?」

「なんや? 『DCQアカウント取得のお知らせ』………?」



 メールが来ていた。


 内容は、こうだ。



『一定の基準をクリアしました。山中鉄人様のアカウント取得を承認します

 DCQアプリを取得後、【天職】とステータスの確認をしてください

 操作方法―――【DCQアプリ】をタップ

 【ステータス】をタップ

 確認していただければ、今度はオプションメニューより【設定】をタップしてください

 そこでジョブスキルポイントの振り分けを行うことができ―――――』




「なんやこれ。意味わからん」

「さぁなぁ………とりあえず………従ってみるか」



 スマホに視線を落としたまま教室の隅に移動し、油断なく警戒をしながら操作を開始する


 気づけばスマホの画面の中に【DCQアプリ】なるものが存在していた。


「えっと………ステータスを………あ」




名前:【てつじん】

種族:異邦人ストレンジャー

性別:男

天職:【野球部】 Lv.1

HP: 110/110

MP: 105/105

攻撃:  12

防御:  15

素早さ: 15

知力:  7

器用:  10

ジョブスキル:‐‐

獲得可能職業スキル:【投擲(1)】【スマッシュ(1)】【カーブ(1)】【スライダー(1)】【俊足(1)】【ヘッドバット(1)】

獲得可能スキル:‐‐

ジョブスキルポイント:5



「ちょいちょーい! これ戦闘職じゃねぇじゃん!! しかもヘッドバットってバットだけど野球じゃねえよ!! あとてつじんじゃない! 鉄人てつひとだあああああ!!!」



 鉄人のツッコミに対し、周りのクラスメイトがなんだなんだ、どないしたん、と詰め寄って鉄人のスマホを強奪して確認して回していく。

 鉄人は項垂れて地面に手を付き、さめざめと泣き始めた



「なんだこれ。ゴブリンを倒せばステータス情報が手に入るみたいだぞ」

「マジで?」

「ちょっとキツイけど、やってみる価値はあると思うぞ」

「おれのすてーたすぅ………」



 項垂れる鉄人はよそに、クラスメイトの男子たちはよりやる気をだし、女子たちも希望に目を煌かせた




名前:【村上信彦むらかみのぶひこ

種族:異邦人ストレンジャー

性別:男

天職:【拳士】 Lv.1

HP: 111/111

MP: 100/100

攻撃:  17

防御:  17

素早さ: 12

知力:  10

器用:  5

ジョブスキル:‐‐

獲得可能職業スキル:【突き(1)】【ストレート(1)】【フック(1)】【コークスクリュー(1)】【ステップ(1)】【ヘッドバット(1)】【スマッシュ(1)】

獲得可能スキル:‐‐

ジョブスキルポイント:5





「なんやこれ。ワイはボクサーちゃうんか。ほれ、お前らも確認しぃ」



 隠す意味もないとばかりに村上信彦はスマホをクラスメイトに放った

 情報を集めて少しでも生存率を高めようと思ったわけではない。


 彼はそれほど頭がよろしくないのだ。


 ただ、みんなも自分のステータスが気になっているであろうと思い、渡してやったに過ぎない



「―――ぜあああああああああああああ!!」


 ザシュゥ! という音に驚いて振り返ると、守が杖を持ったゴブリンの腹を竹刀で裂いていたところであった


「おいおい、竹刀って切れるんだったか?」

「そんなもんちゃうん?」

「いやいや、無いでしょさすがに。」



 こちらがスマホを片手にどんちゃんやっている間に、教室に新たな侵入者が入ってきていたらしい。


 槍を持ったゴブリンは、いまだに机に挟まった槍と悪戦苦闘しているようだ。

 さすが。バカである。



「あ………俺もスマホが鳴りだした。一旦誰か変わってくれ! くれぐれも注意するように! おそらくだが、各自一匹は倒した方がいいと思う! 女子たちも、気持ちが悪いと思うがやってくれ! 生きるためだ! 男子はサポートを! できるだけ三人一組くらいで行動するのが望ましいと思う!」


「わかった!」

「まかせろ!」


「手が空いている者は、死体を窓から放り投げるのを手伝ってくれ! 汚いと思うかもしれないが、どうせすぐに血で汚れる! できれば一度スマホが鳴った人の方がいいだろう。そいつらの方が余裕がある!」


 守は切り捨てたゴブリンを掴んで引きずり、窓から放り捨てる。


 クラスメイト達は協力的で、自分の身に起きていることを正しく認識していた。

 【ステータス】という画面が示す通り、ゲームのような世界に迷い込んでしまっているということを。


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