3 殺害予告状
『
俺達はロビーの談話スペースで、そう書かれた予告状を前にしていた。
深刻な雰囲気を振り払うように浦野が言う。
「こんなのいたずらだろ?……ははあ、ひねり、おまえだな? 探偵の真似事してんの、学園でも有名だぞ」
「ち、違います!」
「……もし冗談じゃなかったら?」
アキがぽつりと言う。
周囲が静まり返った。
「けど、こんな事する人なんて……」
ユイが言葉を切る。
全員の、視線なき疑いの眼差しが一人に向けられる。……もちろんこの俺に。
「おいおい、俺がやったって証拠は?」
「いや、別におまえとは……」
浦野が言葉をにごす。
「合宿は中止にした方が……」
ひねりがおずおずと切り出した。
「……ううん」
アキがきっぱりと言う。
「いいわ、気にしないで。やっぱり単なる冗談だと思うわ」
「でも――」
「紙切れ一枚きたからって騒ぐほどのことじゃないわよ」
食い下がろうとするひねりにアキが微笑みかけた。
「……でも、もしそれで私が死ぬっていうのなら――」
全員を見回す。
「――受け入れるわ」
みんな息をのむ。
「あはは、冗談。このお遊びに乗っただけ」
予告状を指ではじく。
「……それじゃ、夕食の準備しましょ。ユイちゃん、ひねりちゃん、手伝って」
ひとり台所に行く。
――テーブルの上に、惨劇の招待状だけを残して。
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