第18話

宇宙暦SE四五一二年十月二十三日 標準時間一一時二五分


<アルビオン軍ブルーベル34号搭載艇アウル1・操縦室内>


 一一二五

 アルビオン軍スループ艦ブルーベル34号搭載艇アウル1の操縦室では、敵拠点潜入部隊の次席指揮官ナディア・ニコール中尉と二人の候補生、サミュエル・ラングフォードとクリフォード・コリングウッドが、敵に向かっていくスループ艦を見つめていた。

 彼らは敵通商破壊艦の死角に入るよう、小惑星AZ-258877に張り付くように隠れている。

 クリフォードはブルーベルの状況を見ながら、この先の行動について考えていた。


(ブルーベルが敵艦を沈められれば問題は無い。敵艦を沈めそこなったときにどうするかだろうな。敵にどの程度ダメージを与えられたかが判らない状況では動くに動けない。今の状況だと、アウルのステルス機能を全開にしても見つかることは間違いないし、最大加速でも逃げ切れない。どうすればいいんだろう……)


 他の二人も同じように考え込んでいるようで誰も口を利かない。

 クリフォードは沈黙が支配する操縦室の中で、ふと、敵ベースのことを思い出す。


(ドックは結構破壊したけど、整備を目的にしないなら充分に機能は残っている。もし敵艦を破壊したら、あのベースはどうするつもりなんだろう? 証拠を消すためリアクターを暴走オーバーロードさせるかもしれない……)


 ここまで考えたとき、彼はブルッと震えがきた。


(あのベースのパワープラントPPはかなり大きな物だった。機関長チーフは民生用だと言っていたけど、当然暴走できるように改造してあるんだろう。もし、あのPPが暴走したら……この小惑星の半分は吹き飛ぶんじゃないのか? それに暴走の時の放射線量はかなりの量だったはず。この小さなアウルで耐えられるんだろうか?……)


 彼はその可能性を思いつき、ニコール中尉らに説明し始めた。


「敵ベースについて懸念があります」といった後、今考えていたことを説明していく。


 それに対し、ニコール中尉は、「充分考えられるわね」と頷く。


「敵艦を沈められなければどの道、我々は全滅するわ。だけど敵艦を沈めても生き残れないのは癪ね。サミュエル、クリフォード、何かいい考えはある?」


 サミュエルがクリフォードの顔を見てから、意見を述べ始めた。


「PPの位置は判っています。暴走時にこの小惑星がどう壊れるかは判りませんが、少しでも距離を取っておくべきではないでしょうか。今の敵艦の位置なら最初にアウルを隠した位置に行くことも可能です」


 ニコール中尉は少し考えた後、「サミュエル、操縦を任せるわ」と言ってから、後部にいる部下たちのところに向かった。



 一一三〇

 アウル1は最初に着地した敵ベースとは反対側に到着していた。

 そして、できるだけ見付からないようにと小惑星表面に着地しようと微調整を行っている。周囲の情報を確認していたクリフォードは急速に大きくなる巨大なエネルギーに気付いた。すぐに敵ベースの対消滅炉の暴走と判断し、「ベースのリアクター暴走! 衝撃波、来ます!」と叫ぶ。

 操縦席のサミュエルは一瞬躊躇うが、すぐに着地を断念し、現状を維持することに切り替える。

 数秒後、アウルは真っ白な世界に包まれた。

 空気が無いはずの宇宙空間であるにも関わらず、強力なエネルギー波により、大型艇ランチは大きく揺さぶられていく。

 サミュエルは自動姿勢制御と自らの勘を頼りに小惑星表面への激突を防ぐことに全神経を集中させる。操縦室ではガンガンという衝撃が何度も襲い、緊迫した声に調整されたAIのメッセージが流れていく。


「多数の岩石飛来中。回避不能。艇外ガンマ線線量急増」


 何秒間続いたのかは判らないが、気が付くと衝撃は小さくなり、艇外のガンマ線も下がっていた。小惑星AZ-258877はゆっくりと移動し、サミュエルはその相対距離を保つのに苦労していた。

 クリフォードは安堵しながらも、頭には多くの疑問が生まれていた。


(いきなり自爆したのか? しかし、ここにいてよかった。小惑星が遮へいにならなければ、衝撃か放射線で死んでいただろう……しかし、なぜこのタイミングで? まだブルーベルが攻撃する前だったはずなんだが……)


 疑問の答えを探すより、今は後部貨物室にいる味方の状況を確認する方が先だと思い直し、二コール中尉に連絡を入れる。


「ニコール中尉、ご無事ですか! フォックス、ジェンキンズ、無事な者は連絡を入れてくれ!」


 しばらくすると、ニコール中尉の声が聞こえてきた。


「こちらニコール。後ろは全員無事よ。二人とも無事よね。状況を報告しなさい」


 ニコール中尉が無事だという事実にホッとしたクリフォードは、


了解しました、中尉アイ・アイ・マム! アウルは今のところ問題ありません。外部のセンサー類が多数破損したようですが、主機、操縦系に異常ありません」


「了解。そちらに行くわ」


 ニコール中尉はそういうとすぐに操縦室に戻ってきた。


「何が起こったの? ベースのリアクターが暴走したって聞こえたけど」


「敵ベースの対消滅炉が自爆したようです。なぜこのタイミングなのかは判りませんが、ガンマ線の観測データから対消滅炉の暴走に間違いありません」


 彼女は頷くと、「それにしても早めに移動しておいて良かったわね」といつもの表情に戻っていた。そして、少し難しい顔をしながら、「ブルーベルと敵艦状況が知りたいわ。何とかならないかしら」と呟く。


「センサー類がかなりやられましたから、難しいと思います。時間的にブルーベルは敵艦を通り過ぎているはずです。確認するためにここを出ると敵に見付かる可能性があります」


 ここでサミュエルが一つの提案をした。


「このデブリに乗って離脱してはどうでしょう? 今なら敵も混乱しているはずです。ステルス機能をフルに生かせば欺瞞が成功する可能性は高いと思いますが」


 ニコール中尉は頷き、二人に命令を出していく。


「サミュエル、クリフォード、適当なデブリに張り付く形でここを脱出します。最適なデブリを見つけたらすぐに発進しなさい」


「「了解しました、中尉アイ・アイ・マム!」」


 クリフォードはこの案に全面的に賛成だった。


(いい案だ。今なら強力なガンマ線の影響と新たなデブリのおかげで敵のセンサーを騙せる。うまくすれば敵艦から離れられるかもしれない)


 彼らは手ごろなデブリを見つけると静かにその場を離れていった。




<アルビオン軍スループ艦ブルーベル34号・戦闘指揮所内>


 一一三五

 アルビオン軍スループ艦ブルーベル34号は敵ベースのあった宙域をゆっくりと通り過ぎていく。

 僅か百mの小さな艦体ベッセルは大きく傷付き、艦首付近には肉食獣に食い千切られたようなギザギザの巨大な穴が開いている。


 戦闘指揮所CICで指揮を執るエルマー・マイヤーズ艦長は、敵通商破壊艦に最後の攻撃を掛けるべく、唯一残った武器である主砲、一テラワット級荷電粒子加速砲の発射を命じようとしていた。

 敵との距離は既に五光秒を超え、主砲の冷却系を修理できたとしても、減速、再加速を三十分近く行う必要があり、次に攻撃できる機会は一時間以上も先になる。


(これが最後の攻撃だ……これで沈められなければ、このまま撤退するしかない。ブランドンたち潜入部隊を見殺しにするのは忍びないが、ベースの情報を得た以上、全滅するわけにはいかない……)


「主砲発射準備完了。いつでも撃てます!」という掌砲長ガナーの報告が彼の悲観的に向かおうとする考えを遮る。マイヤーズは小さく頭を振ると、「了解」と応え、更に「主砲撃ち方始め。二連射で攻撃を停止せよ」と命じた。


 艦長の命令がCIC内で復唱されていく。

 次の瞬間、ブルーベルの主砲が静かに発射された。

 警報表示がチラチラと点滅するメインスクリーンに、敵艦に向かっていく主砲の光跡が映し出される。

 誰もが敵に命中したと確信した瞬間、ふねを大きく揺るがす衝撃が襲った。

「防御スクリーン過負荷状態……防御スクリーン消滅。再展開は二十秒後。繰り返します……」という人工知能AIのメッセージが流れ始める。

「総員、対ショック体勢を取れ! 操舵長コクスン、回避してくれ!」というマイヤーズの叫びが響くが、命じた本人ですら、回避は無理だろうと考えていた。


「第二射発射!」というロートン大尉の声が聞こえるが、次の瞬間、先ほどとは比べ物にならないほど大きな衝撃が艦を突き抜ける。

 CIC内では再び警報とAIのメッセージが響く。しかし、それを聞くべき乗組員は艦長を含め全て気を失っていた。

 緊急対策所ERCでは緊急補修を検討していた不幸な技術兵が、ピンボールの玉のように壁に何度も跳ね返り、シートに着いていた者も激しい衝撃のため気を失っていた。

 更に深刻だったのは機関制御室RCRでは部下たちに指示を出していたデリック・トンプソン機関長が部下ともども吹き飛ばされ、制御盤に挟まる形で気を失っている。


 そんな中、いち早く意識を回復したのは、操舵長のアメリア・アンヴィル兵曹長だった。

 彼女は耐G訓練を多く受けている操縦士であるため、この激しい衝撃でも数秒間意識を失っただけで済んだ。意識を回復したものの、オレンジ色の緊急照明と点滅する警報表示、更には士官からの指示が無いことから、現状を把握できないでいた。

「艦長! ご無事ですか! ロートン大尉! クイン中尉! ERC! グレシャム副長! 誰でもいい、指示を出してください!」とパニック気味に叫んでいた。


 その叫びに最初に目覚めたのは、副長のアナベラ・グレシャム大尉だった。

 グレシャム大尉はパニックになり掛けているアンヴィル操舵長を落ち着かせるため、感情を排した声で報告を求めた。


「コクスン、グレシャムよ。落ち着いてCICの状況を報告しなさい」


はい、副長イエス、マム。CICの一部が損傷しました。どの程度の損傷かは不明です。小官以外全員意識がありません」と少し落ち着いたのか、先ほどより声のトーンが下がっている。


「コクスン、回避機動を続けなさい。パターンは現状のままで結構よ。艦長の意識が戻られるまでERCで指揮を執ります」


了解しました、副長アイ・アイ・マム!」


 グレシャム副長はERCの緊急時制御盤ECBで状況を確認していく。

 情報が制限されているECBでも、ブルーベルの損害が深刻であることが確認できた。左舷側の艦体がごっそり削られていることが判った時には冷や汗が流れたが、幸い事前の隔離が良かったため、大規模な減圧や火災は発生していない。

 彼女は敵の射程内にいることを思い出し、敵の状況を確認した。だが、その情報は彼女を困惑させるものだった。


(敵に何が起こっているの?……)




<ゾンファ軍通商破壊艦P-331・戦闘指揮所内>


 一一三五

 ゾンファ軍通商破壊艦P-331はブルーベル34号の攻撃とクーロンベースの自爆により戦闘艦としての機能をほとんど失っていた。

 しかし、艦長代行のグァン・フェンはまだ闘志を失ってはいなかった。

 剣闘士ファイターと呼ばれる彼は、危険な賭けに出た。破損している可能性がある主砲の使用を決断したのだ。


(既に我々が生き残るすべは無い。後は敵と刺し違えるだけだ……敵の搭載艇はクーロンの爆発に巻き込まれたに違いない。それならば、スループが戻ってくる可能性はほとんどないだろう……これが最後のチャンスだ! 主砲が壊れようが、暴発して艦を失おうが、構うものか! ゾンファ軍人の意地を見せてやる……)


 そして、主砲の発射準備が完了したとの報告を受け、即座に発射を命じた。


「最大出力、撃ち方始め!」


 彼の命令で主砲を撃ち始めるが、一発目で艦に大きな振動が走った。

 彼が「今のはなんだ!」と叫ぶが、


「原因不明! 艦内の計測系がほとんど死んでいるため、判りません!」との返事しか戻ってこない。

 彼らは知りえなかったが、その時、主兵装ブロックでは加速された陽電子が集束しきれず艦内に漏れ出し、一部で対消滅反応を起こしていたのだ。その反応による爆発が先ほどの衝撃の原因なのだが、強力なガンマ線でセンサー類が破壊されたP-331ではそれを知るすべは無かった。


「敵スループに直撃、防御スクリーン消滅!」という報告を受け、ニヤリと笑ったグァン・フェンは「構わん、第二射を撃て!」と命じた。彼の命令により再び主砲が発射されると、先ほどより大きな衝撃が艦を突き抜けていく。更にその衝撃は収まる気配がなかった。


「防御スクリーン消滅! 生命維持装置機能停止!……主砲から陽電子が漏れています! 艦首が融けています! ああ!……」


 その悲鳴交じりの報告を受け、状況を確認しようとした瞬間、爆発の連鎖が激しくなっていく。轟音と震動が艦を支配する。

「何が……」グァンがそう言いかけた時、戦闘指揮所CICに爆発の連鎖が到達した。戦闘艦で最も強固な隔壁が紙のようにめくれ上がり、紅蓮の炎がCICを包み込む。彼は自分に何が起こったのか判らないまま死んでいった。


 爆発の原因は主砲の制御系が破壊され、リアクターからのエネルギーが無制限に漏出したことが原因だった。

 だが、それを知ることが出来た者は誰もいなかった。

 戦闘指揮所が爆発した直後、ブルーベルの主砲が命中し、艦の中と外から急速に破壊が進行していった。二十秒後、ゾンファ軍通商破壊艦P-331は内部から崩壊した。その存在から小さな恒星が生まれ、そして消えていった。




<アルビオン軍ブルーベル34号搭載艇アウル1・操縦室内>


 一一三五

 アルビオン軍スループ艦ブルーベル34号搭載艇アウル1は、デブリに身を隠しながら、ゆっくりと宇宙空間を漂っている。

 その姿は満身創痍で外装甲は数え切れないほどの凹みがあり、完全に放棄されたスクラップと言っても誰も疑わないほどだ。


 ナディア・ニコール中尉は僅かに生きているセンサー類を使って、ブルーベルと敵通商破壊艦P-331の戦闘を見守っていた。

 ブルーベルは〇・一光速という高速で敵艦を通過し、艦首を敵に向けて攻撃の意思を見せている。

 一方、P-331も艦首と右舷に大きな損傷を抱えながらもブルーベルに艦首を向けていた。


 ブルーベルの主砲がP-331の防御スクリーンに当たり発光するが、ダメージは与えられているように見えない。

 やはり無理かと思いながら見ていると、P-331の放った主砲がブルーベルの防御スクリーンを消し去る様子が見て取れた。


「ああ、ブルーベルの防御スクリーンが……」と彼女が叫ぶ。しかし、「敵艦の艦首を見てください! 爆発が起こっています! まだ、チャンスはあります!」というクリフォード・コリングウッド候補生の声がそれに被さる。


 彼の言うとおり、P-331の艦首では小規模な爆発が断続的に起こっており、第二射は困難だと胸を撫で下ろす。

 不思議なことに敵通商破壊艦は撤退するわけでもミサイルを発射するでもなく、その場に留まっていた。


 クリフォードはその様子に嫌な予感を感じていた。


(まだ、主砲を撃つ気か? 自爆するぞ……もしかしたら刺し違えるつもりでは……)


 神ならぬ彼は、敵の指揮官が自らのふねの状況を把握できていないとは知る由もなかった。ただ自棄やけになって相打ちを狙っているとだけ考えた。

 彼の予想通り、敵は主砲を放ち、防御スクリーンを失ったブルーベルに命中する。

 ブルーベルは艦首から左舷側がごっそりと削りとられ、ふらふらと姿勢制御すらままならなくなった。

 一方、P-331は最後の一撃で艦の中央部から徐々に爆発が広がっていった。最後には艦全体が膨らみ四散していった。クリフォードは敵艦に対し、心の中で黙祷を捧げるが、その間にニコール中尉が後ろにいる部下たちに聞こえるよう、「ブルーベルが敵の通商破壊艦を沈めたわ!」と叫んでいた。

 そして、クリフォードに、「ブルーベルに通信を」と命じた後、「ランデブーポイントを確認して。こういう崖っぷちクリフエッジな状況なら計算できるでしょ」とウインクをしながら付け加えてきた。

 クリフォードの隣でサミュエルが笑っているが、この会話は後ろのカーゴスペースにも聞こえていた。

 クリフォードは羞恥で赤くなった顔を隠しながら、ブルーベルに通信を入れた。



<アルビオン軍スループ艦ブルーベル34号・緊急対策所内>


 一一四〇

 ブルーベル34号の戦闘指揮所CICの士官がすべて意識を失ったため、副長のアナベラ・グレシャム大尉は緊急対策所ERCで艦の指揮を執っていた。


 敵の状況を確認しようとERCのモニターを見たとき、彼女は自らの目を疑ってしまった。敵艦が内部から崩壊していく姿に何が起こっているのか、理解できなかったのだ。

 しかし、彼女はすぐに事実を受け止め、CICの機能が復旧するまでの間に、防御スクリーンを再展開するとともに、掌帆長ボースンに応急処置を命じていた。

 二分後、CICでロートン大尉の意識が回復し、簡単に状況を説明すると、すぐに艦長の状態を確認しにいった。

 ロートン大尉はすぐに軍医のバーナード・ホプキンス軍医大尉をCICに呼び出した。

 マイヤーズ艦長は破損した部品の一部が簡易宇宙服スペーススーツを突き破り、スーツの内部で大きな出血があると表示されている。

 ロートン大尉は軍医に連絡した後、負傷していないCIC要員を起こし、CICの機能を再立上げしていく。そして、CICで指揮を執り始めた。

 その時、アウル1からの通信が入った。


「こちらアウル1、ブルーベル応答願います。こちらアウル1のコリングウッドです。ブルーベル……」


 意識を取り戻した情報士のフィラーナ・クイン中尉が「こちらブルーベル34号。ミスター・コリングウッド、状況を報告しなさい」と応答する。

 クリフォードが状況を報告し始めると、CICに歓喜の声が広がっていく。


 CICで指揮を執り始めたロートン大尉が、「ミスター・コリングウッド、三時間後にランデブーします。ランデブーポイントを計算して報告しなさい」と命じた。


「えっ! あ、了解しました、大尉アイ・アイ・マム! ですが、私で、いえ、小官でいいんですか?」


「こちらも艦長が負傷されて、手一杯なの。貴方が一番手が空いているでしょう」


はい、大尉イエス・マム。何とか計算してみます……」


 CICでは笑いが起こるが、すぐに艦内の状況確認に没頭していく。


(これから忙しくなるし、まだまだ油断できない。でも笑える余裕があるなら大丈夫だわ……)


 ロートンは頭の片隅でそう考えながら、艦の状況を確認する指示を次々と出していった。

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