食喰総司郎の手記 4
私がこの世界で気になったのは、『迷宮』についてだった。
私が転移してきた場所である、『はじまりの迷宮』ではなく、一般的な
非常に面白いことに、ダンジョンは生きている、と言われている。
ダンジョンは、突然、各地に出現する。
そして放置しておくとモンスターを吐き出すのだ。
人間は延々とモンスターを吐き出されると困るので、ダンジョンを討伐に行く。
ダンジョンはモンスターを餌にして人間を呼び込んでいると言ってもいい。
そしてダンジョン内で死んだ人間を養分として成長するらしい。
ダンジョンは成長しすぎると手に負えなくなり、その地に人が住めなくなるので討伐は必須だ。
人間としても、モンスターを倒すことで手に入る魔石は、この世界でのあらゆる燃料になるため、ある意味共生関係にあるとも言えるだろう。
一方、『はじまりの迷宮』のあり方は、他のダンジョンとは一線を画する。
まず、モンスターを外へは吐き出さない。
ダンジョンとしての成長はしない。
そして、討伐ができない。
なぜならコアと呼ばれる、最奥にあるダンジョンの心臓がないからだ。
そして、代わりにあるのが、
そう、私たち転移者がはじまりの迷宮に転移してくるのには何か意味があるのだ。
『転移』と『転送』が無関係なはずもない。
ちなみに、この転送装置は、次の『試練の迷宮』へと繋がっているらしく、その試練の迷宮もまた、はじまりの迷宮と同じく、討伐できないダンジョンらしい。
そしてさらにその最奥にある転移装置をくぐると、
最後の迷宮はまた他とは違い、謎に包まれている。
攻略したものは未だなく、その様相もまた異様なのだとか。
この王国ではそこへたどり着いてから帰還した者が「正騎士」として名を馳せている。
現在でも五十人に満たないらしいが。
私が求める答えは、そこにある可能性は高い。
私は、目的のために、そこを目指してみようと思う。
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