第11話
雲雀の初めてを貰い、初夜を終わらせてから数日。普段は嫁として扱い、夜はご主人様とペットの関係となる。といっても、あくまでプレイみたいな感じで与えられたスケジュールに沿って彼女をペットとして調教、教育して身体を開発していく。
まあ、夜だけでなく時間が空いたり、俺がしたくなったり、スケジュールが遅れていたりしたら夜以外にもしたので行為自体の嫌悪感は大分無くなったようだ。
毎日して風呂も一緒で身体を洗い合っているのもあるだろう。これはるりやさんごも一緒で裸の付き合いという事で一緒に四人で入っている。
嫁達三人の関係はギクシャクしたり、嫉妬か不安かはわからないが、雲雀を教育していることで、二人も同じ内容でして欲しいと積極的になりだした。そのお蔭で色々なプレイが楽しめる。
お願いして三人を同時に相手する事もした。普段はるりとさんごが終わってから部屋に雲雀を連れ込んで、してからそのまま眠る感じだが、仲良くするには全てをさらけ出させた方がいい。互いの恥ずかしい場所も含めて普段は見せない表情などを全て見せあうのだからな。
三人に並んでもらって可愛がるのはかなり興奮してハッスルしてしまい、朝が大変だった。るり達は気だるげで動くのも辛そうだから、三人を風呂に入れて身体を洗い、拭いて髪の毛を乾かして櫛で梳いてやる。
その後は食事の用意だ。雲雀がある程度したら復活してきて手伝ってくれたから良かった。
その後、全員でやるのは週一で、次の日が完全に休みの日に家族会議で決まった。他の日はさんごとるり、雲雀で別けられて交互に行っていく。俺が休みたい場合は相手を気持ち良くさせてさっさと眠らせるしかないという事になってしまった。まあ、これが一番不満が起こらない状況だ。るりとさんごはまだ一緒がいいという事だし、たまに一人でも相手して慣れさせる事も視野に入れる。
まあ、現実世界の身体が怠くてもゲームに入ってしまえば問題はない。ゲーム内でもしてしまうとちゃんと疲労は発生するのだけどな。
「それで、今日はどうするんですか?」
ゲームにログインし、本日の会議を電子戦専用高速巡洋艦のブリッジで行っている。
「俺と雲雀は午前が訓練所で午後からはステーションの探索だ。ルラは動力炉の修理でいいよな」
「ん、問題ない。応急措置はもうすぐ終わる。後は素材だけ」
「必要な素材はルラから聞いてネットで情報を調べておきました。情報料が要りましたが、しっかりと調べてあります。今から送りますね」
送られてきたデータを確認すると、ここから結構離れた所にある小惑星にある素材や死の大地と化した地球にある希少素材が必要だった。
「地球に降下するのなら戦艦と機動兵器は必須ですね」
「だな」
「そうなのですか?」
雲雀と俺の言葉にラピスが聞いてくるので、訓練所で教わった事を伝えていく。
「地球は現在、自然環境再生の為、ナノマシンが放たれている。これは別にいいんだが、問題は戦争などの影響で重力異常や大気汚染まで発生している」
「加えてナノマシンを取り込んでその環境に適応した生物が暴れまわっているそうです。動力として核を使っている物もあるようです。まあ、ゲームでいう初心者用の狩場から上級者用の狩場まである所ですね」
「つまり、ゲームのモンスター?」
「そういうことだ。必要な戦艦は最低限の自衛能力が必須で、他にも緊急で脱出する時のために自力で大気圏突破ができる装備が欲しい」
「稼ぐのはどうしたらいい?」
「一番手っ取り早いのは敵対勢力を叩く事だ。海賊や商船を襲う事かな。どちらも危険だが」
ルラにしっかりと教える。本当はステーションの周りで雑魚を狩れればいいんだが、排除されて敵はいない。地球から離れると惑星間の間では敵が発生しているが、基本的に海賊が相手になる。
海賊の裏にはそれぞれ出資している会社が居たりするし、依頼のデータが見つかればそこに襲撃をかける事も可能だ。そんな物がなくても利権を得るため、互いにドンパチしている会社も多数ある。
これは戦艦と機動兵器が必要な護衛の仕事や宇宙海賊討伐の依頼が沢山発生しているという事でもある。
「海賊を討伐するのはいいですが、海賊になるのは駄目です」
「ラピスの言う通りだな。それは止めておこう」
「でも、修理の資材が無いと動力炉は直せない」
「資金を得る方法が必要ですね」
機動兵器も無いし、戦艦も動かせない。そうなると依頼を出すしかないのだが、そのお金もない。できそうなのは俺と雲雀が他の船に乗って出稼ぎしたり、修理や武器の改造とかを受ける事だな。出稼ぎは問題がある。
「俺と雲雀が出稼ぎに出るのは……」
「駄目」
「認められません」
ルラとラピスが即座に却下した。二人は座っていた場所から床を蹴って移動し、俺に抱き着いて止めてくる。
「私や先輩が居なくなると二人を守る人も居なくなりますし、止めておいた方が無難ですね」
「だよな。そうなると動力炉の修理は後回しにして、修理や武器の開発とかを受け付けるか?」
「それがまだ無難。どちらにしろ、ステーションの修理と改造もある」
「一つ考えたのですが、私がこの船の力を使って情報を収集します。それを他の人達に売るというのはどうでしょうか? これなら片手間でできます」
「情報を集めるのは元から必要だしな。どこの会社がどこを狙っているとか、相手が開発している技術を手に入れられたら金になる。だが、狙われるから報酬を受け取る口座とかも考えないといけないぞ」
「襲撃の兆候を教えたり、どのような技術が開発されていそうとかの情報を売ればまだ危険性はすくないと思います。口座は色々な所を経由させて寄付という形でいろんな場所にばら撒けば特定される事は難しいと思います」
口座を経由させる半ば辺りで寄付としてこちらに送金し、最後はまったく関係ない場所に寄付をする。ついでに言うと額も平均で送金してやればばれないだろう。何回目かで、対象から俺達を外せば狙われる可能性は減らせるはずだ。
ばら撒く対象にしてもある程度、成長が望める企業や会社の株式を購入しておけば完全に無駄というわけではない。
まあ、いずれは知られる事になるだろうが、それまでにステーションを修復して防衛戦力を整えればいい。
「技術情報を引き抜くのは何処もやっているだろうから、警戒はしているはずだ。その辺りは気をつけてくれよ」
「はい。まずは物資やお金の流れから追ってみます」
「そうだな。何処で何が不足していて、何が余っているかを調べるのもいいだろう。この情報を商人に売るだけでも結構なお金になりそうだ」
「なるほど。わかりました。やってみます」
ラピスは情報収集。ルラは武器などの道具を開発して売る。こうなると、やはり、俺と雲雀が暇になる。ステーションの探索や修理以外にもできるようにならないとな。
「じゃあ、訓練所に行ってからステーションを探索するか」
「そうですね。訓練所で簡単な仕事があればそれを受けてもいいですし」
「ラピス、ルラ、行ってくる。留守番をよろしく頼むな」
「「いってらっしゃい」」
二人に見送られてから、ツクヨミから外に出てアマノミハシラに向かう。いつも通りの訓練所へと向かう。
ツクヨミからアマノミハシラへ向かう道のりは前と同じだが、今回から嫁になった雲雀が一緒なので軽いデートみたいになる。
彼女もそれを理解していないのか、普通に過ごしているので手を握って引き寄せる。
「先輩?」
「わかるだろ?」
「も、もしかして……だ、駄目です! 外でなんて恥ずかしすぎます! ここは他の人もいるんですからね!」
顔を真っ赤に空いている手で胸を隠して涙目でこちらを睨みつけてくる。確かに周りに今は人が居ないが、エリクシールが停泊している関係で人の流れはまばらだが、確実にある。
「勘違いしているみたいだが、しないからな。ここは現実の家じゃないんだから」
「そ、そうですよね……」
ほっとした表情をする雲雀。彼女が勘違いしたのも無理はない。俺達が住んでいる場所はとても大きいが、人が居ないので今はやりたい放題できる。庭で行為に及んでも塀もしっかりとあるので家族以外に見られる事はない。
「それに雲雀の大事な場所を見ていいのは夫婦だけだからな」
「本当に良かったです。それじゃあ、手は……」
「どうせだから、訓練所に到着するまでデートみたいにして行かないか?」
「あっ……で、デートですか……」
「嫌なら無理しなくていいが、どうする?」
「私、奴隷でもあるのでその、他の人にどう見られるか……先輩はわかっていますか?」
雲雀の懸念は理解できる。借金奴隷や犯罪者の刑罰として奴隷制度が採用されている。現在の地球では出生率を確保するために手段は選んでいられないし、人権など最低限しかない。
なので、雲雀は外から見れば犯罪者や不良債権者として見られる事になる。かなり不快な視線に雲雀本人がさらされる。また、そんな雲雀を妻にして可愛がっていたら俺自身もそういう視線に晒されるだろう。だが、――
「関係ない。雲雀は俺の愛すべき妻になったんだからな。その指輪はただの飾りじゃないぞ」
「いいんですか?」
「ああ。周りの視線など気にしない。そもそも、雲雀はちゃんとした理由があるんだから問題ないさ」
「ありがとうございます!」
嬉しそうに微笑み、手を離してから恐る恐る俺の腕に抱き着いてきた。俺は雲雀に笑いかけた後、床を蹴って重力の弱い通路を彼女の温もりを感じながら移動する。
「そういえば、低重力の感覚にも慣れたな」
「居住区や商業区以外は重力が極端に低いですから、移動していると慣れますね」
宇宙ステーションではあるが、どこもかしこも無重力というわけではない。ちゃんと重力がかかるように設計されている。
もっとも、貨物の搬入場所や作業場所などは無重力で重い物も簡単に運べるようにされている。逆に居住区や商業区は重力がしっかりとかけられていて、物が簡単に動かないようになっている。
「最初は良く壁にぶつかりました。特に無重力は大変でした」
「確かにそうだな」
今は慣れたが、無重力は特に女性は大変だろう。スカートの中身が見えたりもするし。その対策としてスパッツや見せパンなどを着ているはずだ。雲雀みたいな戦闘系は運動量も凄いし、動き回るのでミニスカートがひらひらと動く。
まあ、今着ている雲雀の服装は俺の趣味であり、昔の海兵隊みたいな服……セーラー服だ。白いシャツに青いスカーフと青いリボン。スカートは青のチェック。彼女の年齢的にこの服装は似合っている。
「今はもう慣れたので宇宙空間での船外活動もちゃんとできますよ」
「宇宙服についているスラスターも大丈夫か?」
「大丈夫です」
船外活動では宇宙服を着て、それについているスラスターを使って調整しながら移動する。このスラスター操作が出来ないとあらぬ方向に飛んで行って救助されるか、そのまま宇宙の藻屑となる。
「そういえば先輩と出会ったのは私がスラスターの訓練中でしたね」
「そうだったな。雲雀が失敗してくるくると回って突撃してきた時だ。確か、あの時は……」
「思いださないでください!」
雲雀にとっては思いだしたくない想い出だろう。何せ、ラッキースケベをされたんだからな。
具体的には雲雀が飛んできて俺とぶつかり、彼女のスカートに顔が入り股間に顔を埋めたことだ。
当然、雲雀は物凄く怒って殴られた。冷静になってから謝られたが、俺も悪いと思ったので手打ちにする代価として知っているコツなどを教えてやった。
それからの付き合いで一緒に機動兵器の勉強なんかもして仲良くなる事ができ、先輩と後輩という関係になった。友達として苗字で呼ぶには年齢が離れているし、名前呼びもそれぞれ妻や夫がいるのでまずいからこういう呼称となった訳だ。
「はぁ~最初から先輩の所に行けば良かったです」
「だが、初めに声をかけていたらどうしてた?」
「……ノーコメントです」
「やっぱりな」
雲雀からしたら、そういう目的だと宣言されているので俺一人だと即座に断っていただろう。
例えるりとさんごが居たとしても、彼女達の年齢はわからずとも身長や体格から良く俺の相手をするのは雲雀になると思っても不思議ではない。
つまり、今の様な現状で無い限りは絶対に雲雀が俺の嫁になる事はないので、答えに困ってノーコメントと言ってくるのはわかる。
まあ、気に食わない事は気に食わないので、空いている手で雲雀の頬を突いてやる。
「や、やめてくらしゃい」
言われた通りに止めてやり、そのまま進んでいく。
幾つかの扉を超えると昇降機に到着し、乗り込んでボタンを押す。すると動き出して商業区へと向かっていく。
この辺りになると重力は地球と同じぐらいになるので、軽く床を蹴る程度では碌に進めなくなってくる。
昇降機が商業区へと到着し、扉が開かれるとすぐに喧騒が聞こえてきた。
同時に目の前には沢山の人が行きかっている姿が見える。
「相変わらず混沌としていますね」
「そうだな」
人種は様々で、基本的に人は少ない。多いのはアンドロイドや身体の一部を機械化したサイボーグだ。ちなみに人はほとんどがクローンで同じ顔をした人が何人かいる。彼等は識別するためのドックタグを装着しているのが見える。
他にはエルフやドワーフ、獣の因子を持った獣人の姿も見える。その人達は商人や護衛のようだ。中には観光しているような人もいる。
そして、同時に首輪をつけられた様々な種族の人も居て、彼等は売られたり働いていたりしていた。
エルフやドワーフの人達が交渉して買い取ったり、人と物々交換したりもしている。身代金が支払わなければこういう扱いになるのは納得だ。ただ飯ぐらいを何時までも養ってはいられないからだ。殺すか働かせるかと考えれば働かせる方が得だしな。
基本的に扱いとしては人道的ではある。無茶な事はされないし、売られてからは暴力などを受けない。所有者にとっても明日は我が身となりえるので扱いはしっかりとしておくべきだ。
例えばエルフの奴隷を連れているとして、エルフとの戦闘で敗北して捕らえられると立場が逆転する。この時に酷い扱いをしていたら、同じように酷い扱いを受けるが、良い扱いをしていたら良い扱いで返してくれる。
そもそも国家としてではなく、会社や企業として動いているので暗黙の了解として互いに保険をかけるのは当然だ。
「どちらにしろ、私達みたいな純粋な人はかなり少ないですね」
「絶滅危惧種だからな」
「そうなんですよね……っと、こんな無駄話をするより、今日のお昼ご飯と晩御飯はどうしますか?」
「何か買って帰るか。といっても、合成食料なんだが……」
「お金がないのは辛いですね」
完全栄養食と言われるブロック品が基本だ。乾燥しているのでぱさぱさで不味い。でも安いのでこれを食べるしかない。正直言って普通の生鮮食品は超高級品だ。火星や木星など他の種族が過ごしている場所から輸送してくるしかない。
その為、俺が過ごしていた時代でグラム100円の肉がこちらでは100万していたりする。それほどやばい食料事情があるので、ナノマシン調理がないと死ね。
「雲雀は何が食べたいんだ?」
「ご飯ではないですが、クレープとかアイスなどの甘未ですね」
「味を再現してもらうか?」
「売れそうですね」
「売れるだろうな」
ちなみに合成食料は味付けがナノマシンによってされていて、食べると信号が発せられてその味になる仕掛けだ。
様々な味が開発され、販売されているが……味付けがされているのは非常に高い。元になった合成食料の値段が100倍になるくらいに。
「まあ、帰りしに元になる合成食料を買って帰るぞ」
「そうしましょう」
会話が途切れた。どのような話題がいいか、考える。できる限り、雲雀を楽しませてやらないといけない。俺達共通の話題で適しているのは何か――
「あ、先輩は今日の授業内容はわかりますか?」
――雲雀から話題を提供してくれたので助かった。
「久しぶりだからわからない。確か座学を少ししてから、実機での訓練だと思うが……」
俺達はここ数日行っていないからな。そもそも自分でカリキュラムを組む方式なので、必修以外の講義を受けるか受けないかは自由で、訓練所が発行しているミッションに成功して必要な単位を修得すれば卒業だ。
「今回、座学は必修科目の講義なので、大事な事なはずです」
「早く動かしてみたいな」
「確かにちょっと楽しみですね。軍事訓練とシミュレーターばかりをしていましたから」
「確かにそうだな。まあ、必要な事はわかるんだが、やはり乗りたいな」
「はい」
サバイバルからドクトリンまで様々な事を詰め込まれる。まあ、受ける受けないは自由なので、できる限り受けたせいだが。
「今度はどちらが勝つでしょうか?」
「対戦なら本気で来いよ。訓練にならないからな」
「わかりました。もっとも、勝率は先輩の方が高いですけど」
「直感は勝つ為に上げたからな」
「私も直感が欲しかったです」
「雲雀は空間認識での精密射撃が厄介なんだよな。射撃を抜けたと思ったら、槍で攻撃してくるし……」
「槍術は習っていましたから、その技を活かせます」
接近すれば槍で対処され、遠距離では狙撃される。なので、俺は高速機動で接近して、槍の間合いを潜り抜けてダメージを与える方法で勝利しているが、少しでも速度が落ちたり、直感が外れたり、身体が機動についてこられないとやられる。
「到着しましたね……」
「このまま中に入るか?」
「流石に恥ずかしいので、横を歩くくらいが良いです」
「じゃあ、そうしようか」
少し残念だが、雲雀の温もりが離れたのですぐに自動扉を潜って訓練所に入る。中にあるカウンターで受付をして、教えてもらった講義の会場へと雲雀と一緒に他愛ない話をしながら移動した。
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