第9話



 俺は宇宙ステーション・ツクヨミに高速巡洋艦エリクシールが入港してくるので、ドッグの方に向かう。途中で宇宙服に着替えて移動し、外に出る。すると丁度、入ってきた。

 高速巡洋艦エリクシールは赤色で、スリムな感じがする。全長は180mもあり、艦前部上部甲板に連装衝撃砲を2基、下部甲板に1基装備している。艦後部側面に360度旋回する、三連装衝撃砲を2基だ。他にも船首に荷電粒子砲が装備されているようだ。

 そんな船がドックに入り、自動で突き出されてくるアームによって固定されていく。すぐにエリクシールの扉が開き、中から人が出てくる。


『はじめまして。この宇宙ステーションを管理しているライトです。よろしくお願いいたします』

『艦長の皇だ。こちらこそよろしく』


互いに握手してから、移動していく。


『修理はすぐに行いますか?』

『お願いする。代金の方は降り込んだから、確認してくれ』

『わかりました』


端末でラピスに連絡を取り、確認を取る。


『確かに入金されています』

『わかった。確認が取れましたので、修理を始めますので、修理箇所のデータをいただけますか?』

『これだ』

『確かに受け取りました。技師に渡しますので、少々お待ちください。その間、あちらの部屋でご休憩なさいますか?』

『いや、まずは取引してからがいいな』

『はい。では品物を見せてもらいましょう。運び出していただけますか?』

『わかった。ただ、買い取れない奴は業者に運んでくれるか?』

『こちらの方で手配しますので、ご安心ください』

『なら問題ない』


それから、運び出されてきた物を確認して、作業ロボットに指示してスキャンさせていく。そのスキャン結果から、ラピスが査定して値段を表示していく。


『買い取り額が高いのも低いのもあるな』

『相場から計算しております。また、スキャンした結果、内部破損している物もありましたので』


内部の破損は壊れた人型兵器の残骸などだ。確か、エルフが使っている機体、精霊機兵と駆逐艦クラスの船の残骸だ。エルフのは純粋な機械技術ではなく、魔導技術によって作られた物のはずだ。そのため、精霊と契約した者達でしか動かせず、精霊と共に成長して魔法のような現象を発生させると訓練所で習った。エルフが居ないと、基本的にスクラップだな。人間には見えないし、使えないのだから。


『使う素材かどうかか』

『はい。売る手間もありますし、駐留料金を高めに設定してありますから』

『わかった。これでいい』

『ありがとうございます』


先程貰ったお金の一部を代金として降り込む。本当に早く自転車操業を抜けだしたいな。


『アルバイトについては……』

『それはそちらでお話ししましょう。宇宙服を着たままというのは辛いでしょう』

『それもそうだな。じゃあ、人を連れていく』

『お願いします』


それから移動し、空気のある場所でしっかりと話し合う。相手側は数人だが、それぞれ担当者がいるようだ。こちらは俺一人だが、護衛にロボットがいるので大丈夫だ。たぶん。


「さて、こちらが時間辺りの料金になります」

「値段は受け取った通りだな。時給が高いからいい。問題ないよな?」

「はい、こちらは問題ありません」

「じゃあ、それで契約だ」

「ありがとうございます」


契約を行う。作業中はちゃんと監視用のロボットも数機つけることを契約に盛り込んでいるし、大丈夫だ。後、気になることはある。


「戦利品にエルフが含まれていませんでしたが、確保はできなかったのですか?」

「ああ、それか。まだ捕虜の扱いだな。確か、まだ身代金は降り込まれていないよな?」

「はい。確認しましたが、まだですね。おそらく、一般兵なのでこのまま降り込まれないと思われます」


後ろの女性に確認をとった皇は、次にこちらを見てくる。


「奴隷にして売るが、買うか?」

「そちらに関しては妻が決める事なので、私には権限がありません。ただ、安ければ買いたいとは思っておりますが……」

「尻に敷かれているのか」

「まあ、そんな感じです」

「じゃあ、エルフも奴隷にしたら向こうの査定を教えるから、高く買うなら売るわ」

「わかりました。詳しいデータをお願いします」

「わかった。それでコイツが欲しい物のリストだ。確認してくれ」

「拝見します」


ほとんどがエネルギーの補充と弾薬などだ。エネルギーはツクヨミから持ってきたらいいし、弾薬に関しては訓練所を通して大量購入をすれば問題ない。教官に聞いてみないとわからないが、安く手に入る可能性はある。共同で購入したら大丈夫なはずだ。どちらにしても、ステーションの防衛用に必要なので買わないといけないからな。

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