本編完結後のオマケ

サプリメント00 TRICK or TREAT

本編が速攻12月に入ってしまったため、書くことができなかったネタ。

******


 15:00


 昼食を取る方々が仕事にお戻りになり、片付け一段落ついた頃。

 店の扉が勢い良く開け放たれた。


「TRICK or TREAT オヤツくれないと、いたずらしちゃうぞ~」

「ようこそ居らっしゃいましたエントマ様。お菓子でしたら、食堂の方に向かわれたほうがよろしいかと。この時間でしたら副料理長もあちらに居らっしゃいますし」


 扉を開け放ち両手を上げアピールされているのは、エントマ・ヴァシリッサ・ゼータ様。

 ここにもハロウィンの文化があったのね。長く仕事をしていましたが、初めて聞きました。


「おやつくれないの?」


 小首を傾げられながら、こちらを見るエントマ様。蜘蛛人のため顔は擬態ですから表情こそ変わりませんが、その残念そうなお声を聞くと、どうも生前の孫を思い出し甘やかしたくなってしまいます。


「では、今からお作りします席について少々お待ち下さい」

「うん」


 エントマ様は店に入るとちょこんとカウンター席に座られる。ただ待たせるのはアレなので、氷を入れたオレンジジュースをお出しする。


「エントマ様はお酒とか大丈夫ですか」

「うん。なんでも食べるよ~」


 デザート用に準備した素材があるので、今回はそれを使いましょう。


 卵にグラニュー糖を加え泡だてたものを、ココアに薄力粉、ベーキングパウダーを振るったボールに混ぜる。そしてラム酒、溶かしたバターに塩を加えてペースト状にしたものを、いつもの時間の止まった冷蔵庫から取り出す。


「エントマ様。クルミやアーモンドはお好きですか」

「うん。味もいいけど、あのカリっとした歯ごたえも好き」


 エントマ様もジュースを飲みながら珍しそうに見られている。

 さて取り出したペーストに軽く煎ったクルミを混ぜる。そして型に流し込み、アーモンドスライスを表面にならべる。それをオーブンにいれ180度で25分程。


「さて、あと25分程焼けば、ラム酒とクルミをつかった美味しいブラウニーができます」

「そんなに簡単にできるんだ~」

「ご同僚やお友達をなどをお呼びすることもできますが?」

「うん。……メッセージで呼んだよ。すぐ来るって」

「かしこまりました」


 ということは、結構甘いお菓子ですので、紅茶の準備でもしましょうか。

 ああ、それと


「そういえば、どうしてこちらにいらっしゃったのですか?」


 私の記憶ではエントマ様がこちらに来られたのは初めてかと……。


「アインズ様がここのご飯おいしいっておっしゃってたし、ユリ姉も同じこと言ってたからぁ」

「そうでございますか。それは光栄なことです」


 アインズ様も最近良くご来店くださるようになった。ユリ姉はもともと常連です。しかしあの酒を飲んだ時の状態は、あの性格なら隠しているだろう。あの姿を知っているのは、私と副料理長ぐらいですし。


 さて、とりとめのない話をしていると、オーブンからこおばしい香りが漂いはじめる。


「あと少しで焼けますね」

「う~ん。美味しそうな匂い」

「ブラウニーは冷めてからでも美味しいですが、焼きたては、それはそれで別の風味を楽しめますから」


 そして皿の準備などをはじめる。

 しばらくすると騒がしい声とともに、メイドの方々がいらっしゃる。


 ユリ様にシズ様、ソリュシャン様にペストーニャ様がいらっしゃった。シズ様用に急遽特性のドリンクを準備をすることとなったが、皆様美味しそうにブラウニーと紅茶を楽しんでいただけたようで何より。


 それ以降、エントマ様がたびたびお菓子をねだりに来るようになったのはご勘弁ください。ここはBARであってスイーツ自慢のCafeではないので。

 あしからず。


 しかしなぜ、ヴァンパイアとワーウルフが紅茶を優雅に飲みながらテーブル席でブラウニーを食っている。いつの間にきた。


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