あとがき~というより、この小説の問題点~
第四話までお読みいただき、ありがとうございました!
お礼代わりに『蟲の心臓』にある、男性向け商業ラノベとしての問題点を、作者自ら解説いたします。
このカクヨムは、商業作家を目指す人が多く集う場所ですし、参考になれば、と。
専門学校とかで習うようなことだと思いますので、そういう人はスルー推奨。
私が間違っていることを言っている可能性もありますからね。
とはいえ。『蟲の心臓』は、2001年にとある作品で電撃hp短編小説賞の最終選考に残った後、短期間ですが担当編集さんがつき、その時に提出した原稿で、2002年当時、電撃文庫の担当編集さんが読んでアドバイスをくださった作品ですので、これから解説することは、それほど的外れではないはずです。
さて。それでは解説していきましょう。
問題点1・少女が主人公
男性向けライトノベルでは、主人公は男子、それも中高生が望ましいです。
昨今はキャラクター文芸も多く出てきましたので、想定する読者層によっては、この限りではありませんが、おおよそ「男性向けのライトノベル」では、少女主人公は、できれば避けたほうがよいでしょう。
理由はけっこう複雑ですが、簡単にひとつ言うならば「男性読者は男性主人公のほうが感情移入しやすい」ですね。
問題点1の対策
それでも少女を話の軸にすえた物語を書きたいんだよ、こんちくしょう!
という作家さんは「語り部として男性主人公を用意し、その主人公から見た少女の物語」を書きましょう。
そのほうが、少女を主人公に据えるよりも、より魅力的に、その少女を描けると思います。
男性読者向けライトノベルで「魅力的なヒロイン」はかなり重要なポイントですからね!
問題点2・主人公の少女がホームレス
上で述べたように、ヒロインは魅力的でなければなりません。ホームレスでも描きようではあるのでしょうが、やっぱりねぇ……藤原自身、今考えるとやっぱり「ない」と思います。
問題点2の対策
本作品では主人公の少女が
その場合、話の舞台が現代社会ベースだと制限が多いので、いっそ異世界にしてしまう手もあります。
主人公が偶然出会ったヒロインは何かに追われるように旅をしていて、その身には秘密が――と。面白そうではないですか?
問題点3・寄生虫の描写がグロい
これは寄生虫をテーマにした時点で、ある程度は致し方ない問題です。
ここで考えるべきは、そのテーマ選び。
『このテーマに、不快感を覚える人が多いのか、少ないのか』
これは、必ず考えるべきです。だいたい、どんな特殊なテーマでも一定数の読者さんは市場に存在するので、一概に「どん引きする人が多いテーマ」を必ず避けるべきとも言えないのですが、不快に思う人が多いテーマはやはり、作者や読者が考える以上に、出版側を悩ませる傾向にあります。
「これ、おもしろいとは思うけど。グロくてちょっと……」
『蟲の心臓』を読んだ当時の電撃文庫の編集さんが、実際にこんなふうに言いました。
編集さんの考え方は人それぞれで、私自身、蟲の心臓程度のグロ描写なら大丈夫だとは思うのですが、やはり、これは嫌、と考える人もいるわけで。
テーマ選びは慎重に、ということですね。
大きな問題は、以上の三点です。
表現が稚拙だとか展開に捻りが足らないとか、蟲の説明が中途半端だとか、藤原が今の目で見ると問題だらけではありますが、そこらへんは、推敲で充分に直せるレベルかな。
とはいえ、藤原の今の技術でがっちり直してしまうと、一人称を三人称に変えますし、描写や説明を濃く書き加えますので、WEBでさっくり読むタイプの作品ではなくなります。
このあたりは、さじ加減が難しい。
日々勉強中です、はい。
というところで。
それでは、この辺で失礼いたします。
長々とお読みいただいたそこの貴方に、幸あれ!
藤原健市 2016/3/7
蟲の心臓 藤原健市 @fjwrkn1
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