8
「――遅いよ。残念な人間さん」
えへへと、笑う彼女の背後に天敵の
――だから、私は真剣な顔が出来たのだ。彼女が弱いから、私は強さを誇張するしかない。彼女は馬鹿だから、私は賢くないとならない。天敵は、歯付きの嘴を大きく開いた。とてつもなく、下品で幼稚だった。世界は私以外、馬鹿ばかりだ。目の前の人ではない天敵ですら、私たちを殺そうとくだらない考えを持っている。
泥のなめらかさに思えた。感情のぬかるみの入れ違いに、見たことも触れたこともない静かな安心感が過ぎた。がらんとした草原は圧縮し、唐突で質量を持たない、言葉の最後の疑問符が笑っていた彼女の表情を不安に塗り変えた。
一際輝く流星照明が尾を残し、意識は霞んではいないのだと、私を信じさせる。――これは式だ。未知なる要因を数として組み合わせ、答えを確実に見出す計算式だ。流星の尻尾が尊く、生命の真理を照らし合わせたことも――天敵の羽ばたきが、私たちの髪を散らし身体をふらつかせようとしたが、視線だけは定めていたことも――天敵が彼女の小さい頭へ噛り付こうとして、おもむろに彼女の手を引き、間一髪で回避したことも――背中に隠れた彼女が、私に身を寄せて、ひどくおびえていると気がついたことも――それらのすべてが見事な未知数であり、ひとつの答えを得るために意識の絶佳に存在する人間の、一番に考えるべき小さな光なのだと分かった。
人が神となり、器械がかわりに人となる。
神は私の子供なのだ。私は死ぬが、光を知り得た記憶に成り下がるためにも、今は死ねない。天敵は表情筋をむりやり動かし、肉腫の笑窪から膿が四散し、しとしと垂らした。
生態系から遺脱し、劣った天敵は泣いているようだった。しかし、膨れた二重まぶたは糸のように細くなり、かえって笑っているとしか思えない。顔面を含めた体表は、ところどころ羽毛が無く、白や肌色、黄色に緑の凸凹で残飯のようだった。
オーロラが地上を純白に塗り替えた。天敵の表情は恍惚に満ちていた。それは、私自身が天敵に対して、うらやましいと感じ、自身を負い目に思っているからそう思えたのだろう。私達だけの時間が圧縮した地上は、ヴェールのように広がりなびき、
天敵は甲高い声で吼えた。雑草の葉っぱが生きていて、根っこを自分から引き抜き、逃げ出しそうなくらいの羽ばたきをそえた。――躍起になっているのか、胸部が膨らみ、縮み、また膨らむ。
白い息と共に溢れる臭気は鼻が曲がるほどの嫌なものだったが、醜い私と同類なのだと安心させてくれたものだから、こいつを殺すには蹴りでいいと、適当に決めることができた。呼吸を整えて。構えて。私の身長と、同じくらいだろうか。顔面を蹴り飛ばしてくださいと言わんばかりの前傾姿勢を、骨のような細い二本足が懸命に支えていた。天敵の全身を見据えた後に、地面を蹴る準備をした。
どうか星が光輝く理由を、私に教えてほしい。
宝石箱を模している、その色彩豊かな顔面へ、横暴で、我儘で、幼稚な、暴力を花束として手向けるから。だからどうか、教えてほしい。「ありがとう」と、感謝の気持ちを言葉にして伝える。だからどうか、教えてほしい。
「ごめんなさい」
私は間違いなく「ありがとう」と言った。中から湧き出たものに浸り、層深くまで浸透させてから、声として響かせた。さげすまれることは、劣っている者の特権だ。さげすむことも、劣っている者の特権なのだから、天敵と私が争っている時点で、劣っても優れてもいない。ただひとつ同じ事があるだけ。亡くなることは、神々しい事とだけ。ただ、それだけ。
ああ――このままだと、
ぐちゃ。
何故、聴覚は天敵が破壊される音を、期待して聞き取ってしまうのだろうか。何故、地面を蹴ることは、奥歯と連動して力をこめるように出来ているのだろうか。脳の一次視覚野は危機感から、景色を求めているように思えた。
言葉に、詰まる。目を開いてしまった方がいいのだろうか。いや、どちらでも良いはずだ。開こうが閉じていようが、どちらも、私なのだから。どちらが真実で、どちらが偽りなのか、知る術は無いが、答えだけは知りたい。在るべき答えは、何処に存在するのだろうかと考えるが、
「この死に損ないが。くたばれよ」
――、――、――、ひゅう……、ひゅう……。天敵の気管の笛の音が聴こえたが、怯えた彼女の吐息の方が、良いに決まっている。目を開く。夜空は視界の縁からぼやけて、ちかちかした。息絶えた天敵は、皮膚から結晶化し、徐々に臓器が透けていく。虚ろの中で身体は耳を澄まし、彼女の吐息を聴いていると、痛んだ足背が、そここに沁みた。祈ると流れる、流星照明が見たいが、殺めてしまったから、願いは夜空へ届くとは、思えないし、馬鹿馬鹿しいとまで思う。殺してしまった、と、罪悪に責められる余韻に苛まれたのは、初めてだった。きっと、それは私が狂人で天敵は残飯であり、哺乳類だからだ。尊い、と、接したいのに、それが出来ないのは、私に勇気が無いからだ。もしかすると、尊いなんて大層な事を思わなくてもいいのかもしれない。脳の片隅で、素晴らしいと、そう信じればいいのかもしれない。人間は、すでに素晴らしい完成品として出来上がっているはずだ。しかし遠い親たちが、完成品と思わなかった。私は、どうなのだろうか。遠い親たちは愚かなのだろうか。人間の子供として、生まれてきてしまったのだから愚かには違いない。天敵の細胞が掌に残されていた。これを肌から侵食、同化させて、私の背中に真っ白な翼が生えて、飛び立つ空想をする。でも、掌に細胞のスープが飛び散ったことにして、現実では天敵の血を美味しそうに舐めた。
「…………」
衝動に突き動かされて、私は舐めると行動した。それは食べることが最大級の感謝なのだと、情報図書館から先人の情報が脳を駆け巡り、思い出したからだ。
――夜乎から教えてもらった以上に、無作為に思考の中で言葉を扱えてしまう。ああ。ああ。ああ。もはや、情報図書館の、すべての書物が流失し、身体の隅々に注ぎ込まれているのだろう。まるで私は亡霊だ。見ている景色は人工物で、苦労が重なり滲み、奥ゆかしく積み上げられている。それが素晴らしいと目に映っている。私が作り上げてはいないのに、あたかも私ひとりで苦労しながら、積み上げたようで、成し遂げた栄光を感じて欲しいと、いつまでも存在する自縛霊のよう。究極的に、美しいものとして収束し、生傷を塞いだ
背中で震える彼女は「ありがとう」と言い、顔面の力が抜けた。その声は小さく、きちんと伝えようと声を出したのか、定かではない。むしろ、芯まで伝わらない上辺だけの、仄かなものでしかないように思えたが、とてつもなく悟り澄ましていた。
馬鹿な彼女は死体を見ていた。私は涙を出さないと我慢をしつつも、神妙なる何か――脳を駆け巡っている衝動に突き動かされ、話を切り出した。
「何か、願い事をしたか?」
彼女は私を無視し、結晶化した死体に見惚れて呟いた。「……綺麗」、と。熱いため息が首筋にかかったが私も無視をして、自慢するよう愚かに言った。
「夜空は、人の祈りを読み取って、星を流す」
彼女は恐怖を抱いたまま、私の背中にしなだれ呼吸を整えると、神経の図太い女である事を取り戻した。「人の願いを、夜空は叶えてくれるの?」私は空を指差した。「試してみたらどうだ」夜空はスクリーンでしかない。人の夢をかすめ、共有すると星を流すだけ。これに何の意味があるのだろうか。
「過去へ、戻れますように」
彼女は祈るが、星は流れなかった。統一意思が無視をしているのだろう。
彼女は沈黙し、何もなかったように私の前に立った。
「――ねえ、わかる? ううん。もう、わかった? ええっと、知ってる? 私がね、君に言いたいこと」
わかるはずはない。もはやどうでもよくなってしまって、「もちろん」と、茶化したら「うそつき。何も話していないのだから、知っているわけがないじゃない」と、鼻を鳴らす。不思議だった。感じた事のなかった感情が、湧き出ていることに慣れてしまったのだろうか。彼女と出会った時の浮遊感は消え去っていた。気持ちをぶん殴り、物事を勝手気ままに決めつける少ない言葉の応酬は、天敵を殺めた時よりも圧縮した空間だった。時間も。風景も。すべてがひとつになれるように頑張り担って集まって……宇宙のように狭かった。
「この天井……夜空と地平線の縁取りを見てよ、心臓さん。夜空が壁と繋がっているなんておかしい。君は、この夜空と同じなの。本当の夜空はこんなに狭くなくて、もうちょっとだけ大きくて、もうちょっとだけ綺麗で……もうちょっとだけ、ね? 私は、奥さんの事を気にして欲しいの。だから、私はもどかしいの。未来なのに、未来の男の人が、こんなに魅力が無いなんて、酷すぎる。君は、何がなんだかわからないほどに子供でもないし、大人でもない。でも人間だから、ロボットでもないの。人でもロボットでも無いのであれば、一から人になろうと頑張っている人のようだけど、私は君を生理的に受け付けない。まるで自分を人では無いと思っている人みたいで」
「――私は人間だ。私は生命根源の事訳であり、子供のための可能性だ」
「違うわ。君は、ええと……むしろ、馬鹿の中の只の馬鹿。まるで自分を天才と思っている下郎よ」
「……そもそも、生きている時点で、住んでいる世界は自分のものだからと、狭く感じるのではないか」
「やっぱり馬鹿ね。何故、話を変えるの? 住んでいる世界は、意外と広いよ。だって世界はひとりのものじゃないもの。みんなのものだもの」
「…………」
私は、わざと目を泳がせた。動揺し、口をつむぐのが最善とでも思ったのだろうか。その瞬間、情景が過ぎた。分娩室での、夜乎との言葉の応酬――スケッチブックに台詞を描き、指示をする脳の視点――喉の奥底が燃えていく炎の揺らぎ――不安をかき消そうと、さらに根っこは燃焼し――私の顔は、相手に不安をぶつけて伝染させる顔つきになっていた。この表情の構成はなんだ。考えさせてくれ。燃えているのだから、顔が真っ赤になるのは当たり前だ。歪んだその先が、理由が知りたい。あの時の私は、調和を望んでいた。しかし心臓の私は糞のようにひとり残され、酷くえぐい顔だった。
しゃん、と、鈴の音が幽かに響いた。
オーロラは徐々に端から消えて、女性の六秒間のハミングを合図に、月照明に切り替わった。これから時間通り、くだらない雪が降る。天井裏の二種類の容器から生み出された乏しい結晶構造の雪は舞い降りてくる菜の花びらのように見えるが、私にはプラークにまみれた汚い歯種にしか思えなかった。雪が地面に落ちては溶けて、馴染んで消えて。水の姿かたちが時間の流れを無駄に感じさせるものだから、自身が糞である悲しみは突き抜けて、無常観に打ちのめされた。
「――――――馬鹿は、君だろう。自分で何を言っているかわからないはずだ。馬鹿なのだから」
調和の無い自分の顔に憧れた。だから私は、彼女を馬鹿と決めつけた。何でも自分の背丈で比べてしまい醜く存在するのが糞らしく美しくて、自分の理想を求めた。夜空の一部が、光をぽこぽこと泡立ててから特大の星を一筋、流した。意識の根底で、私なのか彼女なのか、一体どちらが何を願ったのか厳密にはわからない。深夜の寒さは一段と厳しくなっても、彼女は何食わぬ顔で言った。
「馬鹿な人に、分からないことを言っている方が馬鹿よ、馬鹿」
圧しつけているから、圧しつける。彼女は、私が馬鹿と言ったものだから、決めつける。私は、寒い。きっと彼女も、寒いだろうと、勝手に決めつけた。会話の先を読んで相手を操りたい。思い通りにしたい。あの時、台本の指示通りに話していても、相手が自身の希望とは違ったものだから、糞のような顔になったのだろう。
会話の先を求めても、これは未来のものだから、わかりはしない。手を差し出すことが、最善に思えた。
「――なによ?」
「寒いだろう?」
「寒くないわよ」
「寒くないと、温かい、は、違うのだろう? だから、手を繋いでほしい」
言葉が燃えていないから、真っ赤な顔にはなっていない。どんな言葉が返ってくるかわからないから、きっと糞みたいな顔をしていると思った。
「優しくしているつもり? 本当に、何も知らない可愛い顔をするのね。でも私は、君と手は繋げない。安い女じゃないもの」
「安い、とは」
「私の心は温かいから、寒くない。どんなに悲しくても、我慢できるってこと」
手を繋げなかった。差し出した手を戻すことを恥じる前に、寒いままでいいや、とあきらめたら、地面の雪が溶けたのがはっきり見えて――恥じることも、寒いことも忘れた。
「すねているの? ねえ、なぜ奥さんはあなたのような人を選んだの?」
彼女は、ため息混じりで、私の頭を撫でた。ふざけるな。スイッチのようにかちりと、ふたたび寒くなってしまったし、恥ずかしくなってしまった。何故ペーソスは連なり、複雑に沸いて悩ませるのだ。悲しいと、何故、単一で表に出たがるのだ。ずうっと複雑に裏で寝ていればいいではないか。理屈は情報図書館へと収束保持をさせていないのか。私は、神の一世代前であるはずなのに、この程度、浸透しているはずだろう。私が知り得ていないものがあるのか!
「――、――」
「ん、なあに? なぜ奥さんはあなたを選んだのって、聞いているんだけど」
「――交尾をして、神さまを作るための父と母が、私たちだからだ」
「話が飛躍していて、わからない。ここには神さまがいて、神さまは二人の子供で、三人家族って事?」
「私は死ぬ」
「だから、それは駄目だって」
「親は、子供に知識、経験のすべてを与えて、死ぬと決まっているのだ」
「あのね。まず、すぐ死ぬと言うなんて、馬鹿の証拠だよね。それに私って、君の時代を作った先輩のひとりでしょう。その私が、そんな悲しい事を決めて実行にうつすわけがないじゃない。そもそも、私の時代の大人たちは、そんな馬鹿なことを考える人たちではないもの。頑固で、暑苦しい馬鹿には違いないけどね。でも、私は頑固では無いし、いつも自分が正しいって信じ通しているもの。それが一番、楽だからね」
「…………」
「そういえば、君はいくつなの?」
「なに?」
「馬鹿じゃないの。生まれてから、何年経つの?」
「数えていない。何のために数える?」
「これ以上にない、幸せな記念日を数えないの?」
「幸せではないから、数えないのだろう」
「あのさ。死ぬって、すぐに言ってしまう人が、幸せという日本語の意味をわかっているように思えないんだけど」
「日本語?」
「てめえが話している言葉だよ!」
「………………」
「すねるな! 君、誰にも怒られたことが無いでしょう!」
「……ん? 過去の人間は、何故、自分自身が納得できない事象に――怒っているのか、笑っているのか、よくわからない顔ができるのだ」
「呆れているのよ! 人の顔色を伺わなくていいから!」
「伺っていないさ。きっと過去の人間である、馬鹿な君と同じように考えてすらない。そうか。過去の人間は『歓』を、複雑に構築し、話している者に対して、どう思っているのか問いかけるのか。なるほど、そうやって感受性を育んでいるのか。感受できる知的感覚を引き継いでいないから、一から育むのは当然か。きっと誰しも自分の子供に行っているのだろう。いわゆる、勉強熱心というやつか」
「いや、勉強熱心は、君でしょう」
「いいや、君だ。――いや。君は、私と同じかもしれないな。『歓』の状態が続いている狂人だからな」
「なにそれ」
「君の存在は私にとっても、この時代にもありえないもので、君の存在自体が狂っている」
「本当に馬鹿ね。そんなことは、すでにわかっているわよ。でもなぜ、君は嬉しそうなの」
彼女は、頭に乗っている雪を落とし、微笑んだ。
「ああ……ああ、ああ――そうだ。私は嬉しいのだ。それはようやく、神が生まれるからだ」
「いや、自分の子供を溺愛するのはわかるけれど、神様まで行くと、度を越えて気持ちが悪いわ。愛しすぎじゃないの」
彼女は月を眺めたが、ふたたび形而上でモノを診ている表情になった。私が悪いのだろうか。
「――ひとつ、聞きたい。あい、とは、過去では何なのだ?」
「わかるわけがないじゃない。健全に生きることじゃないの?」
「健全、とは」
「私みたいな人よ」
彼女は、えへへ、と、笑った。――どうしてこうまで、幼稚でつまらないのに魅力的に思えてしまうのだろうと、考えに窄む。それは、この世界自体がつまらないものだからなのだろうか。それともイレギュラーであり、破壊を司っている彼女自体が、つまらないものなのか。ああ――この二つを重ねてみると、わかる。互いは決して交じり合わない。凍った色彩のように存在を誇示しているとわかるではないか。色自体は掴みどころの無い存在で、興味が一切なければ、普遍、とされ、つまらないものとして形容される。おそらく私は、彼女のせいで狂ってしまった。しかし、彼女でなければ、絶対に狂わなかった。
この示し合わせに苦笑した。わからないこそ、つまらないのだ。神の存在のように、わからないからこそ、惹かれるのだ。モノの本質を理解し難いから、思考上で決めつけて楽しむのだ。狂人で良かった。色が無く、普遍ではない。尊くあるはずなのに、生きる価値がないのだから、楽に死ねるのだ。そうか。私は生きること自体が、恥ずかしかったのだ。
《馬鹿ばかり。馬鹿ばかり。馬鹿ばかり。彼女を殺してくれ。殺してくれ。殺してくれ》
更に苦笑した。AIの声がはっきりと聞こえたのだ。私は自分自身に囚われた、つまらない思考を持っている人間なのだから、モノの展開、道理の先が読める。物事の事象は流れるように、調和の取れた配置で精錬されていると信じている。だからこそ、言葉の先々が分かり、思い通りに事が進むと、安らぎ、希望を見出せる。そういった安堵の元で生きている。
つまりたった今、安堵している私は、AIが意思を表明しようと、そろそろ口に出すであろうと、なんとなく感じ取っていたのだ。だからこそ、幼稚でくだらないのだろうよ。
AIよ。落ち着いて笑えよ。私には、人間らしい笑い方など出来ないが、優秀な器械だったら冷静に笑ってみせろ。だから許せ。人類が神となるのだから、良いじゃないか。わかるか。くだらない思考を持ったAIよ。どうか私の好きにさせてくれ。わかるか。人間に成り上がる器械の一部よ。わかるか。鼓動が。血潮が。冷やかなスペクトラムが。未来を予測し決めつける事は愚かで、賢いと決めつけたその先の底の底が。わかるか。下品に思考を突き破る無秩序性が。わかるか。天を仰ぎ、尊厳を余り持った咆哮の方角が天国だ。これが人の間なのだ。わかるか。つまらないだろう。わかるか。器械よ、どうか人に成り上がってくれよ。
「――もうしわけない。ようやく、
「もうしわけないじゃなくて、ありがとう、と言いなよ。で、誰のために治すの?」
「嬉しいからこそ、直すのだ」
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