きみとともだち
叶 遥斗
ちょびたのともだち
《幼児絵本》 ひとりぼっちのちょびたくん
もうすぐ
いちねんせいになる
おともだちへ
‐‐‐‐‐‐‐‐‐
小学校って
どんなところかな
何をするのかな
お友達が出来るかな
そんな
期待と不安が
小さな胸にいっぱいの
きみたちに捧げる
ものがたりです
さぁ、でておいで?
ちょびたくんが待ってるよ
***
はぐれオオカミのこども
ちょびたくんは
ちいさなころに
おとうさんたちのいる
『なかまのむれ』から
はぐれてしまった
おとこのこです。
はるになったらはじまる
『もりのがっこう』へ
いけるひを
たのしみにまっています。
いまはふゆなので
ほとんどのどうぶつたちは
とうみんしていて
みかけたことがありません。
でもあるひ、
ゆきのなかに
てんてんとつづく
ちいさなあしあとを
みつけたのでした。🐾
ちょびたくんは
じぶんのほかにも
おきているだれかが
いることをしって、
うれしくなりました。
ちょびたくんは
いそいで
ゆきのうえにつづく
あしあとをおいかけました。
どんな
おともだちにあえるかな?
そうおもうと
どきどき・わくわくして
ちょびたくんは
かおがわらってしまいます。
しばらく
あしあとをたどって
はしっていたちょびたくんは
ピタッと
あしをとめました。
おおきな
きのちかくで
ゆきのうえのあしあとは
とまっていたのです。
てんてんとつづく
あしあとのさき……
そこにいるはずの
だれかさんの
すがたはみえません。
ちょびたくんは
くびをかしげました。
どこへ
いってしまったのかな?
きのぼり
じょうずなこなのかな、
そらをとべちゃうこなのかな、
それとも
ゆきのしたを
もぐっていってしまったかしら?
せっかく
おともだちにあえると
おもっていた
ちょびたくんは
がっかりしました。
さみしくなって
そらにむかって
ほえました。
「くぅ~ん……わんわんっ」
そのときです。
だれかが
ゆきのうえで
ずっこけるおとが
きこえたのは。
ちょびたくんは
ハッとして
めをこらしました。
おなじように
だれかさんがいました。
していました。
のびる
うっすら
だれかさんの
かたちをかたどります。
(うさぎさんだ……!)
ちょびたくんは
いきをのみました。
まぎれてみえなかった
すっかり
だまされてしまいました。
ちょびたくんが
なにか
はなしかけようとしたとき
しろうさぎくんは
びっくりして
ひがついたように
はしりだし
あっというまに
にげていきました。
ちょびたくんは
おいかけるのもわすれて
ぼーぜんと
しろうさぎくんを
みおくりました。
おはなしできなかったのは
ざんねんだったけれど
あんな
おともだちがいるんだな。
ちょびたくんは
はるにはじまる
『もりのがっこう』が
ますます
たのしみになりました。
~ おしまい ~
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