第6話 これが魔法ってやつですか!

 皆さんこんにちは。

 マーベリックです。

 この世界に転生し、早くも五年が経過しました。

 お陰様で四歳になりますが、この世界では年齢を数えの概念で刻むようなので、実際は五歳になったという訳ですね。

 最初に問題視しておりました語学は、既に習得済み!

 今では両親に引っ付いて畑に行き、両親が農業に勤しむ中、毎日泥だらけになって、そこいらにいる虫や小動物を追い掛けたり、魔法や剣術の練習に勤しんでおります。


 そう、魔法。

 なんと、魔法が使える事が分かったと言う……

 これは意外でした!

 何でそうなったかと言うと…………


 それはある日。

 いつもの通り両親の畑について行き、草抜きの手伝いをしている最中にそれは起こった。


 この日は、日がな照り続ける太陽のせいで土がカラカラに乾いており。

 雑草も、必死で養分を吸収する為、その根っこをしぶとく土中に張り巡らせていたようなのです。

 そのせいかして、子供の手ではなかなか抜けず……

  しかし、忙しそうな両親にはヘルプは言えず……

 どうしたもんかと考えておりましたら。


 前世の母親が、俺が小さい頃に、


「土を濡らせば、土中の水分が増えて土が柔らかくなって草が抜きやすくなるのよ」


 と言っていたのをふと思い出した。

 だったら、早速試してみようと畑の周りに水源を探すも、近くに川などない。

 後で聞いたら、いつもママンが魔法で雨を降らせて畑に水やりをしていたらしい。

 それなら、畑の土をカラカラになるまで放置しなければいいのに……と幼いなりにも心の中で突っ込んでやったが……


 しかしながら、この雑草は何とかしたい訳である。

 どうすれば草が抜けるか考えていたら、ある考えが浮かんだ。それは……


 ママンは魔法が使える。

 それならば、子供である俺にも魔法が使えるのでは……


 と言う、如何にも子供が考えそうな事を思い付いた。


 そこで、最初は火を使って燃やそうと思ったんだけど、もし本当に火が出てしまったと仮定してみた。


 ・せっかく育っている畑の作物に引火

 ・両親が手塩に掛けて育てた野菜が灰と化す。

 ・結果、両親の怒りを買い、大目玉……


 …………駄目だ、結果が見えるだけに火は却下だ。


 と想像しただけでも恐ろしかったので、水を呼び出してみようと思った訳。

 まぁ、ぶっつけ本番の一発勝負で出来る筈もないだろうとタカをくくってはいたんだが……

 しかし物は試し。

 駄目元で人差し指をおっ立てて意識集中。

 こういうのは、イメージが重要っていうからな。

 もし魔力と言うものが俺の体内にあるならば。

 体の内側からこの指先にエネルギーが集中する事をイメージする……

 昔テレビで見た、超能力でスプーン曲げするっていう人の解釈だったな。

 そして、仄かにじんわりと指先が温かいなーと感じてから、指先を草に向け、


「ウォーター」


 って囁いたその時……!

 なんという事でしょう!

 指先からチョロリーンと水が飛び出たではありませんか……


「 え……? マジで?」


 俺は指先をマジマジと眺めた。

 何かの間違いじゃないのか?

 俺は首を傾げ、先程と同じ工程を繰り返してみる。

 そして、


「ウォーター」


 と囁くと……

 出るわ出るわ!

 指先をジョーロに見立てたように、ジョーロジョロってね。

 俺はつい嬉しくなってしまって、調子に乗ってバカスカ出してみようともう一回唱えたら、目の前がグルグル回り出して気分が悪くなってきた。

 あらー、これは一体?

 段々と眩暈が酷くなり、遂には膝が震え、立っていられない程力が入らなくなった。目が回ってしまった……


 これって、よく聞く魔力切れってやつか?

 よく分からないけど……

 暫くジッとしてたら眩暈はマシになってきたので、その日はそれで止めにしておいた。

 下手に使い過ぎて倒れるならまだしも、そのまま死んでしまっては元も子もない。

 まずは少しずつ練習していく事にする。

 小さい頃によくやったゲームでも、最初はレベルが低くて魔法はあまり使えなかった。

 けれど、経験値積んでレベルアップしていけば、使える回数は自ずと増える。

 この世界でも同じ事が言えるのかもしれない。て考えてたら、案の定……


 一回が二回、二回が三回って感じで、使う度に使用回数が増えているではないか!?


 これ、いいわぁ……おもろいわぁ……

 つーか、どれ位使えるんだろう?

 ステータス画面とか見れたらいいんだけど、そんなメニューらしき物は視界には無いし……

 まぁ、おいおい分かるかな。限界になる回数だけ把握しておけば、今はいいだろう。


 それより、このタイミングで両親に見つかったら何か教育されそうだから、今はまだ黙ったままにしておこうと思う。


 因みに、両親についても最近新しい情報を得る事が出来た。


 どうやら俺の両親は、農家になる前はそこそこ名前が通った剣士と魔法使いだったようだ。

 両親の話を摘み食いで聞いた程度だが、これまたラノベや、最近ありがちな異世界物のお話によく出てくる設定のよう。


 でもね、そんな事関係ない。

 俺のこの魔法にしても、両親から授けられた才能と捉えれば、感謝感激です。


 本当に!

 だって、そのおかげで俺は若干五歳にして魔法が使えるんだもん。

 剣術だって、パパン曰く、


「マーブは、なかなか筋がいい」


 と太鼓判押されたし!

 空き時間を使ってチャンバラしてるだけなんだけどね。

 だけど、魔法は兎も角、剣術はパパンの指導がなければ身に付かない。

 思い上がりは抜きにして、しっかりと教えてもらうつもりだ。

 だって、この世界で生きる為には、有る程度自分で何とか出来るだけの力が必要だから。


  それも俺の選択。


 あぁ……選択できるって幸せだ。

 俺は今日もパパンとの剣術の稽古と、両親から隠れてする魔法の練習に勤しむ。

 充実した異世界ライフ。


 堪能しましょう!


 

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