中 おもち

その日はいつもより少しだけ肌寒く感じた。

すこしコートでも羽織ろうと近くの

服屋へ足を運んだマルクに、

「そいつ」は突然襲い掛かってきた。


「ゥ・・!?」


マルクは突然息苦しくなった。

身動きもとれない。

何が起こったのか!?

そう考える暇も与えず、マルクは意識を失ってしまった。



目が覚めると、そこには広大な草原が広がっていた。

夜だったはずの景色は明るく、

草木は踊り、一面には満開のオジギソウがマルクを見つめていた。


「ここは・・?」


よろよろと歩きだし周囲を見渡したが

建物らしいものはどこにも見当たらない。


・・・!


マルクはとにかく走った。

いずれは町が見えるはずだ!!

そう考えたマルクは必死に足を前にだした。

だが若き青年の根拠なき希望は一瞬のうちに打ち砕かれた。


なんと草原の端には崖があり、その先へ渡れないのだ。

ただただ暗い景色が崖の底へひろがっている。

終わりなき恐怖に青年は驚嘆した。




「もう、終わった・・・。」

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