第5話女神の通信簿

私の名はアリア。

山猫族の狩人である。

狩人の朝は早い。

夜も開け切らぬ早朝から狩りを始める。

山に入り、獲物を追い込む者と待ち伏せする者に別れ狩りをする。

先日まで死に掛けていたとは思えないほど体が軽い。

これなら今朝の狩りも上手くいきそうだ。

あの女神様には感謝してもし足りない。

あの日のことを思い出すと、自然と笑みがこぼれる。

娘のアニィはすっかりあの女神の信者のようだ。

何かある度に、女神様と一緒に山から降りて来たと自慢している。

今朝の狩りも無事に終わった。

私は、北の山に祈りを捧げる。

女神よ、娘と一緒に生きていけることに感謝します!


白い光に包まれ、祈りの間へと帰還した僕。

そこには甲玄コウゲンおじいちゃんと牙龍ガロンさんの姿がありました。

「どうやら無事に終わったようなだの。上手くできたかの?」

ニコニコ微笑みながら僕にお仕事の成果を聞いてくるおじいちゃん。

「あのう・・・出来たとは思います・・・」

自信無さそうに応える僕がいました・・・

女神っぽいってどんなかわかりませんから・・・

「ふんっ!」

先程と同じく、壁に寄りかかりながら腕組をしている牙龍ガロンさん。


「どれ、初仕事の採点をしてもらうかの。ついて来るんだの!」

はい!?採点ですか!?

浮遊して移動しておじいちゃんのあとを急いで追いかける僕がいました。

祈りの間の隣にある小部屋へとやって来たおじいちゃんと僕。

「それでは、あの水晶の柱の上に手を置くんだの!」

部屋の中央には円柱のような水晶の柱が1本。

そしてその柱を囲むように宙を浮く巨大なスクリーンのような1枚の板。

えー・・っと、柱に触ると結果がスクリーンに表示されるのかな?

恐る恐る水晶の柱に手を置くと・・・

採点結果がスクリーンに投影されました。


評価:もっとがんばりましょう!


コメント:初めてのお仕事なのを差し引いてもあまりにもお仕事が雑!

もっと女神としての仕草を勉強しなさい!


by採点の女神


ちなみに評価は、たいへんよくできました♪・よくできました!・がんばりましょう!・もっとがんばりましょう!・お話になりません!の五段階評価との事・・・

「ブハハハハハハハハハッ!!!!腹痛てぇ!こんな採点初めてだ!!」

いつのまにかやって来ていた牙龍さんはお腹を抱えて大爆笑・・・

そんな、目に涙を浮かべるほど笑わなくても・・・

「・・・」

僕はしばし呆然としていました・・・

「お前さん、何をしたんだの?」

かなり呆れ交じりの視線を向けて来る甲玄おじいちゃん・・・

うん、視線が痛いです・・・


おじいちゃんに促されるままお仕事の話をする僕。

「ほぇ?山の上から竜巻になって依頼者と一緒に飛び降りたのかの!?そのまま集落に直接舞い降りたのかの!?」

僕の説明に驚愕の顔のおじいちゃん・・・

「ブハハハハッ・・・止めてくれ・・・俺を笑い死にさせるつもりか?ヒーヒーッ!」

その横で笑い転げる牙龍さん・・・

仕方ないじゃないですか!元男の僕に女神らしく振舞えって・・・

何をどうしたらいいかわかりませんよ!


「まあ、済んだ事は言っても仕方ないの。次からは色々と意識してやるんだの。」

「はい・・・」

そう応えるのがやっとでした・・・

「ところでステータスは見たのかの?まあ、初仕事でレベルが上がるのはまれな例なのだがの。」

ふむ、ステータスですか・・確認確認。


名前:白姫ハクキ

職業:女神

属性:風

レベル2

神力:0/1

二つ名:暴風の女神

スキル:飛翔 風化 転移 浮遊(NEW!) 結界 異常耐性 治癒 鑑定 

信仰心:100/200


レベルが1つ上がって、新しいスキルが増えているのはいいんだけど、二つ名って何!?

おじいちゃんに聞いてみると・・・

「はぁ?もう二つ名があるのかの!?どんな名前かの?」

かなり驚いているみたいです。

「え・・・っと暴風の女神です・・・」

「・・・」

「ブフゥッ・・・暴風の女神・・・ククククッバァハハッハハハッ!!!!」

ポカンとした顔で固まるおじいちゃん。

おじいちゃんと対照的に終始笑いっぱなしの牙龍さん・・・

笑い過ぎです!

はぁ・・・僕は本当に上手くやっていけるのかな・・・

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