第3話始まりの星
暗い暗い闇の中・・・
何処までも落ちていく自分・・・
僕はこのあとどうなる?
不安だけが心に広がっていく・・・
うん?
光?
下方から小さな白い光が上って来る・・・
あれは一体何?
段々とその光量が激しくなり、眩しいくらいに・・・
あまりの眩しさに目を覆う僕・・・
その光はそのまま直進し、僕の中へと消えていった・・・
何だったんだろ?
特に何とも無いみたいだけど・・・
次第に周囲が明るくなり、視界には青空が広がっていく・・・
えーーーっと・・・僕はこのまま落ちていって大丈夫なのかな・・・
加速は留まることを知らず、引力も加わった僕の体は大地へと落ちていった・・・
うわぁぁぁ・・・ぶつかるぅぅーーーっ!!!
ドドォォーーーンッ!!!!
大の字のクレーターをしっかりと大地に刻んだ僕・・・
周囲は余波で物凄いことに・・・
僕、生きてる・・・あはは・・・は・はは・・・
渇いた笑いが出てくるのは仕方ないよね?
何処かのギャグアニメかと思ったよ・・・
「ふむ、此度の女神は随分騒々しいようじゃの・・・」
「この女神で大丈夫か?いくら人手不足といっても役にもたたん奴はいらんぞ!」
埃まみれの僕を見つめる謎の二人組・・・
僕が落下してきたのに全く動じていません・・・
やっと土埃が引いてきたので、その姿が見えてくる。
一人は小人のような身長で、ハゲ頭の亀のようなおじいちゃん。
背中に甲羅を背負い、片手に長い杖を持ち、自分の身長よりも長い口ひげをいじりながら僕を見つめていた。
鼻の頭にちょこんと載った小さな丸眼鏡が印象的。
もう一人は青い肌で身長は2メートルオーバー、上半身裸の筋骨隆々の男だった。
東洋の龍のような顔立ちで、長いひげを揺らしながら僕を見つめていた。
「あの・・・・あなたたちは一体?それにここは何処?」
僕の反応に若干呆れ顔の二人組・・・
「まずはようこそ
小さなおじいちゃんがやれやれ困ったものだのと言いながら聞いてきます。
「はい・・・詳しいことは現地で聞けと言われたんですが・・・」
頭を左右に振る二人組・・・
「さても手抜きな女神だの・・・わし等に全部丸投げとは困ったもんじゃの・・・」
「あの適職の女神のやりそうなことだな・・・」
適職の女神?あの女の人のこと?
僕の頭の中を疑問が駆け巡ります・・・
「取り合えず移動しようかの。こっちだの、着いて来るんだの。」
ふわゎーーっと浮遊して動いていくおじいちゃん。
魔法!?魔法があるの!?
浮遊するおじいちゃんに追従するのは巨大な翼をはためかせて飛翔する筋肉マッチョ・・・
僕は置いていかれないように必死でおじいちゃんたちのあとを追いかけていった。
何かをすり抜けるような変な感覚、そして眼前には白い塔が出現・・・
え?今まで建物なんて見えていなかったのに何で?
僕の疑問がわかったのか小さなおじいちゃんが説明してくれます。
「先程、ここへ来るとき違和感を感じ何だかの?それはこの塔を包む結界だの。この祈りの塔はわし等神族だけが出入りを許された場所だからの。もう少し詳しい話は中でしようとするかの。」
ふわふわっと先に進んでいくおじいちゃん。
僕は置いていかれないように必死の形相です・・・
螺旋状の階段を登り、広間に到着。
ここが目的地でいいのかな?
キョロキョロと不審者丸出しの僕・・・
「さて、まずはお互い自己紹介かの?わしは
「ふん!」
僕を一睨みしてから再び目を閉じて壁にもたれかかる
何だか歓迎されていないみたいです・・・
「あの・・・僕の名前は・・・」
パクパクパクッ!?あれ!?名前を言えない!?
「そこからかの・・・まず、以前の名前は女神になった時点で使えんの。その世界に合った名前を付与されることになっておるの。まずは自分の事を知ることじゃの。ステータスと唱えてみるんだの。」
ステータス?何だかゲームみたいだけど・・・
言われるままにステータスと唱える僕。
「ステータス!」
すると、僕の眼前にステータスが表示された。
益々ゲームみたい・・・
名前:
職業:女神
属性:風
レベル:1
神力:1/1
スキル:飛翔 風化 転移 結界 異常耐性 治癒 鑑定
信仰心:0/100
「名前は
うんうんと肯くおじいちゃん。
「さて、お前さんの名前についてじゃが・・・自分の姿を確認してみるんじゃの。ほいっ!」
おじいちゃんの掛け声で僕の眼前に大きな姿見が出現!
そこに映し出されたのは白い虎のような姿の僕!?
「お前さん、あの女神の所で適職診断を受けたのだろ?その診断結果じゃの。この世界ではその姿と力がお前さんに与えられたと思っておればよいの。」
「はあ・・・」
いきなり女神にされただけじゃなく、白虎になるなんて・・・
虎のものと思われる手足、虎耳、尻尾、そして顔や体に縞模様・・・
獣人って奴!?
もう、理解がついていけないです・・・
「神力のことじゃったの。読んで字の如く、神の力じゃの。わし等のことは神とは言っても現地採用の中間管理職だと思っているといいの。そして、人々からの願いを聞き、神の力を使うのがわし等の仕事だと思っておればいいの。」
神力の横の数字は回数って認識でいいのかな?
「力を使うにあたってルールがあるでの。しっかり覚えておくといいの!」
おじいちゃんの説明によると力を使うためのルールは以下の通り。
①1日に叶えられる願いは神力の数だけと決まっている。午前零時を過ぎると神力は回復する。
神力はレベルが上がると増加する。
レベルは人々の強く純粋な祈り(信仰心)を受け取ることで成長する。多くの人の祈りよりたった1人の純粋な願いの方がより多くの力になる。
②同じ者の願いを叶えてはならない。叶えられる願いは1人1つだけである。
また、1件のみ願いを叶えられる。
(例)手足を治して欲しいはダメ。腕の再生で1つ、足の再生で1つの願い。
③死者を蘇生させてはならない。生きているうちの治療はしても構わないが、死んだ者は輪廻の輪に帰るため、摂理を曲げてはならない。
④願いを叶える相手をえり好みしてはいけない。また、特定の国だけを贔屓してはいけない。
「これからお前さんもこの祈りの塔で生活することになるの。この塔の中心にある祈りの間で祈りを聞き、願いを叶えるんだの。それが生活の基本かの。あとは実際にやってみることだの。」
「わかりました・・・」
習うより慣れろってことですね・・・
「それでは祈りの間にいくとするかの。ついてくるといいんだの。」
再びふわわ~っと浮き上がり移動開始するおじいちゃん。
慌てて追いかける僕がいました・・・
「ここが祈りの間だの。ここで世界の声、人々の祈りの声を聞いてその願いを叶えるんだの。わし等にはそれぞれ聞こえてくる祈りがあるんだの。自分だけに聞こえる祈りを聞いて願いを叶えてやるだけの簡単なお仕事なんだの。」
簡単だと言うおじいちゃん。
祈りの間。
天井に世界地図が描かれた丸い部屋。
おじいちゃんの話によると、この部屋で人々の祈りの声を聞くことが出来るらしい・・・
祈りってどんな風に聞こえるんだろう?
そんなことを考えていたら・・・
「お願いします・・・助けて!」
誰かの声が聞こえてきちゃった!?
これがフラグ!?
フラグ立てちゃった!?
あわわわわわわわわ・・・
これって僕にしか聞こえてないんでしょ!?
どうする!?どうする!?どうしたらいい!?
あわあわと挙動不審な僕・・・
「ふむ、声が聞こえてきたのかの?それでは最初の願いを叶えてくるんだの!」
天井に描かれた世界地図に光点が見える。
どうやらそこが祈りの発生点みたい・・・
「光点が見えているかの?そこに行きたいと念じれば転移できるんだの。」
僕は、おじいちゃんに言われるままに念じてみた。
僕をその場所へ連れて行って!!!!
全身から白い光が立ち上り、僕は祈りの間から姿を消した・・・
「じいさん、あのことをあいつに言わなくて良かったのか?」
「神は自分の欲望のために神力を使ってはならないのことかの?まずは、あの子の見極めだの。その結果によっては・・・」
「また、俺たちの手で女神を処理することになるってか・・・
わし等の脳裏には、かつて己の欲望のために神力を使い続けた赤い女の姿が鮮明に映し出されていた・・・
また、あの悲劇を繰り返したくはないんだの・・・
どうかあの子は力に溺れる事が無いことを祈るばかりだの・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます