i. i am

片側の耳だけ空けた穴の意味 きっとあなたが知ることはない


ただずっときみのことだけを視ていたの だから気付いた、かなわないこと。


いつまでも鳴らない電話を待つことを止められたなら楽だったのに


花香るきみの絹糸のような髪 切らせた奴がぼくだったなら


やわらかいきみのほっぺのその味を知っているのはきっとわたしだけ。


きみのその青い瞳が好きだからそっと宝箱に仕舞いたいなぁ


眼と耳を塞いだままで君想う 瞼の裡のあの日の少女


珈琲とシフォンケーキとメヌエット 全部あなたが好きだったもの


冴えた刃の鋭さよりも君の目が湛えた海の塩辛さ


会いたいと言ったのはわたしだったのに会いたいひとは君じゃなかった

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