連続殺人事件

 覚えている限りで最初に殺したのは、小学生の中学年ぐらいだ。明るくて裏表のない、よく言えば無垢、その実はただ物を考えていないだけの子供だった。

 次に殺したのは、中学生になったばかりといったところだ。新しい環境に馴染めなかったのだろう、常に一人で、周りの空気を読んで存在感を消すことばかり気にしていた暗い子供だった。

 その次は高校生。引っ込み思案を開き直って真面目に振り切り、勉学に励み、良き友に囲まれ切磋琢磨していくことに僅かなプライドを抱く学生だった。

 大学でも殺した。筋を通そうとしても理不尽な権力に負けることを知り、世の中を半笑いで見る癖がつきつつあった新成人だ。

 最後に殺したのは会社員。器用に色々なことをこなしても、思ったものは得られない。なけなしの自信も潰れ、漫然と日々を送るだけの人間だった。

 もう、全てを殺してしまった。

 どんな選択肢も思い浮かばない。

 何者にもなれない。

 殺した全てのあの時から続いたかもしれない日々は、どうやってももう、歩むことはできないのだ。

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