第22話終

私、真田観月があの時水谷ケイくんと関わりを経ってから、今年で丁度6年目。

今年も飽きずに、水谷君へ近況報告のような手紙を書く。

「私は、職場で出会った人と結婚することになったよ!結婚式にも来てほしいな。

それにはもう一度会わなくちゃね。

今だから言えるのだけれど、水谷君。私はあの時水谷君のことが好きだった。

妙に優しいところとか、意外と頼りになるところとか。でもそれはあの時水谷君が友達になってくれなきゃ知れなかった。

ありがとう。たくさんの思い出をくれて。今の真田観月は胸を張って、あの頃が青春だったと言えるよ。

また会えたなら、いやまた会ったときは絶対に一緒にまた沢山の思い出つくろう笑」

机にピンク色のペンを置き、一息ついて立ち上がる。

また海に埋めに行こう。



カンケースを取り出すと、そこにはあの時私達が入れた紙と私が今まで入れた紙、5枚が入っている。

…まだ、来ていないのか。

忘れちゃったのかもしれない。

心に生じた暗い感情を吹き飛ばすように首を振る。

水谷君は約束を破るような人じゃない。

少し時間をかけて丁寧に埋めなおし、立ち上がる。

本当は結婚なんてしない。

5年も会えないっていうことに少しスネていたずらをしただけ。

また会えた時は思いを伝えたいな。

いや伝えよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

風浜で、散る ay @ayamiayami

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ