幕間 本の化身、緑青は独考する
さて、私と姉さん以外の『本』の気配を辿ってきたけれど、ここ——かしら。
——うーん、ただ少し納得できないというか、通常ではありえないというか……。今私が把握できるだけで、私を含めてこの街に五冊も『本』の気配があるってどういうことなんですかね。
ここまで『本』が増えた理由は、おそらく志田さんなんでしょうが、それにしたってこれは大盤振る舞いが過ぎるような気もしますけど。鴉羽は大喜びなんでしょうけれど、志田さんの失った人生の部品について考えると……そう喜んでもいられませんね。
ただこの場所から感じる『本』の気配は少し妙ではありますね。弱々しいというよりは、少し感じ辛いというか——なんでしょう、違和感があるというか、なんというか。
ただ、なんにせよ『本』同士なら、持ち主がどんなに狂っていようと何とかなるでしょうし、とりあえず話だけでも聞いてみますか。
ん——あの女性、かな? でも、周りに『本』らしき人は見えませんね。
とりあえず、声だけでもかけてみますか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます