第55話 新たな任務
「聞いたでござるぞ。凍太殿」
「なにが?」
「今度は、南の大陸から来ている盗賊団を騎士課と一緒に討伐命令が出たのでござろう?」
王国内の食堂で皐月が肉にかぶり着きながら、聞いてきた。
「ああ――――そのことね。もうみんな知ってるんだ。早いね」
「それはそうで御座るよ。カレル・ノヴァク殿と一緒に戦えるんでござるし。今回は騎士課の生徒から選ばれる訳でござるしな」
「皐月も選ばれたの?」
「あ――――いや、選抜の人員はまだ出てないのでござるよ」
「そうなんだ」
「今回は、僕とカレルさん二人が陣頭指揮を取って盗賊団を倒さなきゃいけないらしいんだ」
「名誉なことではござらんか!」
「名誉なもんか。相手は人間だよ?出来る限り殺したりしたくないのに」
「マァ――――仕方ないでござるよ。悪逆非道の輩でござるし、今回は月狼国の民草からの要請でござる。困っている民を救うのは、騎士の勤めにござるよ」
「そうなんだけどさ」
正直気乗りしない。相手がいくら悪逆非道とはいえ人殺しはしたく無かった。
「さぁ、姉さんも飲んで下せえよ」
街のあちらこちらから、火の手が上がるのを見ながら盗賊団の一人が姉さんと呼ばれた女に酒を継ぎ足した。
「ああ―――」
女は盃に酒を注がれて一気に飲み干す。
女の手首には大きな鎖分銅が繋がっていた。
女の姿は大きい。隣に座った男が小さいのもあるだろうが、190以上はある大柄な体で衣服は月狼国の民がよく着ている「袷」に酷似していた
着物の様な作りで、帯で腰のあたりを止めている。
足は靴型の履物ではなく、下駄型で黒光りする鉄でできた履物を履いていた。
髪は長く、腰辺りまで伸び、額には一本角が生えている――――「鬼族」または「オーガ」と呼ばれる一族だった。
「この村も手練れは居なかったねぇ」
女が酒を飲みながら、どことなくつまらなそうにつぶやく。
「ネェさんにかなう奴なんてそうそういませんぜ。ははは」
隣で飲んでいた男は――――鬼女の寂しそうな声には気づかなかったに違いない。
はやし立てる声は底抜けに明るかった。
(どっかにアタシと張り合える奴は居ないのかね)
鬼女――――彩花(サイカ)は空を見上げる。
彼女は盗賊団を作ろうとしていたわけではない――――もともとは一人旅で自分と満足に戦える相手を探して故郷である南の大陸を周っているうちに自然と一人増え二人増え――――今は80だか90くらいの大所帯にまで膨らんでいた。
ココにいるやつらはみんなサイカに負けたものとサイカの噂を聞きつけて、仲間にしてくれと遣って来たものばかりだった。
「アタシはもう寝る。後は好きにしな」
酒を飲み干し、立ち上がると部下に一瞥暮れてから自らは眠れそうな所を探してまだ燃えていない民家へと上がりこんだ。
「今回は私、クラリーチェ = ディカニオが騎士課を」
「そして、私、シシリー=マウセンが魔術課を率いることになりました」
王国の議事堂の中で、報道の為に居並ぶ各国の新聞社を前に騎士課の代表を務めるクラリーチェと魔術課の代表を務めるシシリーが発表を行った。
「今回の盗賊団にはオーガ族が確認されていますが、その点は何か対策を考えておられますか?」
新聞社の一人が質問を飛ばす。と、クラリーチェは眼鏡の位置を直すようにして
「その点は魔術課の結界を使います。オーガ一匹には十分な出力です」
そう答えた。
「質問です。今回シシリー様が抜擢された意図は何かあるのでしょうか?」
また別の新聞社の物が質問を投げた。
「そうねぇ。こんなおばあちゃんを引っ張り出して、みんなも心配だと思うわ――――でもね?ウェルデンベルグ先生がアタシを呼びつけて言ったのは、ただ一言だったの。『お前に一任する。すべて良きようにせい』ってね」
「それは、盗賊団を追い払えるという自信で良いのですか?」
「ええ。大丈夫よ。キッチリ盗賊団は追い払って見せます」
このことばに一斉に各国の新聞社はメモを取り反応した。
「他に質問は?」
「―――はい。北の風新聞社の者です。今回の人選に「氷帝」「残虐王子」の二名が入っているとお聞きしました。本当でしょうか?また、「氷帝」はシシリーさまの縁者だと聞きますが、だとしたら、身内を連れて任務に赴かれることは公私混同ではないのでしょうか?」
北の風新聞社はゴシップを扱う新聞社で、主に身内のスキャンダルや醜聞を掻き立てることで有名だった。今回も、シシリーの縁者である凍太が同行することを聞きつけ面白おかしく書いてやろうとしているのは誰の目からも明らかだった。
北の風新聞社の明日の朝刊の一面は「シシリーマウセン孫(弟子)を連れて討伐に!!」と題名は決まっている。
勿論、(弟子)の所は小さく書かれることだろう。
「その件は本当です。お耳が早いですね。ですが――――この人選はウェルデンベルグ様の命令で出されております。わたくしの関与する前に決められていたことです」
シシリーはふふんと笑って見せた。
遅れて――――あとから周りの新聞社からくすくすと北の新聞社を笑う声が聞こえた。
「では――――これにて説明会を終了いたします。解散」
(くそっあのババア。うまく逃げやがって)
北の風新聞社の記者。ユリアーヌス ・フランケはローデリアへ帰る船の中で毒づいていた。
(まぁいいさ。世の中には社会的な力ってものがあることを教えてやるぜ)
だが同時に、彼の心はシシリーに対する反抗心でいっぱいだった。
そして――――ひどくねじ曲がった記事が翌朝の紙面を飾り、ローデリアの一部市民たちの話題に上ることになったのである。
しかし、一方で正確な紙面を書く新聞社もある。
その月狼紙網の1面を飾っているのは、「蛇の王国動く。討伐隊結成へ」と言う見出しで、内容も公平な見地から書いてあるしっかりとした記事だった。
そんな記事を朝食を食べながら、鳳麗華はおつきの3人と一緒に紙面を眺めていた。
「お嬢様。この記事のここ!「凍太様」がの事がのってらっしゃいますよ」
「うん。知ってる。あの子もすっかり有名になったわね」
麗華はとくに心が動いた様子はない。周りのおつきの3人の方がやかましいくらいだった。
「つぎの予測進路は霊山を周っていく経路しかないですね。あそこは楼花(ロウファ)の街があったはずですが」
「楼花は霊山に入るための宿場町よ?まさかそんな無礼なことはしないはずだわ」
「分からないわよ?ほらココ。鬼族がいるって書いてあるじゃない。そんなのに規則や道理が通用するのかしら」
口々に記事を読んでは推論を並べ立てる。
麗華はそれを見ても余裕で居られる。
なぜなら、戦った自分が良く分かっているから。盗賊団に勝ち目がないことは分かっている。凍太はもちろんの事、カレル・ノヴァクだって一流の実力を持っている。他にも、凍太の師匠のシシリー・マウセンが率いるのだから安心なのだ。
不安材料は鬼族だが、それとて魔術師が結界をはることで鬼の膂力を無効化できる筈。麗華は小さい頭で考えてそう答えを出した。
「そんなに心配しなくても、そのうち鎮まるわよ」
食事の卵粥を食べながら、麗華は落ち着いてそう答えるのだった。
一方、落ち着いた子供がいれば、その反対に、慌てふためく大人や市民がいる。
その中には事件を喜々として喜ぶ「どうしようもない」大人たちも含まれているもの。
一人は雪花国の町長を務める雪乃でもう一人はなんと、仙人である鴻偉心玲(
ホンウェイ・シンリン)――――『東の仙人』だった。
雪乃は半日遅れて来た新聞を読み、心玲は人里に薬売りに出てきたところで号外を目にした。
そして、二人は場所は全く違うが、「面白くなってきましたよ」と全く同じことを言ったのである。勿論、雪乃は紗枝に窘められたし、心玲は思い直しもしたが――――心の中がウキウキするのは止められず、結局その後、雪乃と心玲は忽然と姿を消してしまった。
二人の目的は分かりきっている。
盗賊団討伐に加わること。そしてその中で自分の腕を再確認することだった。
魔術士も盗賊団も鬼も何も関係ない。
一番強いのは自分だと確認をしたいがために単身で乗り込むつもりなのだ。
まったく困ったババア達であった。
3日後――――
「翁石国」の港に32人の魔術師達が降り立った。
今回の討伐隊は30人。クラリーチェ率いる騎士隊とシシリーの魔術師隊だ。
数は15名づつで、今回はいづれも一般の生徒から選抜を行い率いている。
その中には皐月と凍太のすがたもあった。
「いや―久しぶりでござるな!我が故郷!」
んんーと伸びをする皐月は尻尾をぱたぱたとゆらして街中を進んでいく。
後ろからはシシリーと凍太がついてきていた。
「皐月はここの出身だよね?」
「そうでござるよ!いい街で御座ろう!」
故郷に戻れてうれしいのか、自慢げに凍太に説明する皐月の姿はイヌ科の行動にそっくりだった。
おススメの店を見つけては、駆け出し、屋台の串焼きを人数分買って走って戻ってくると、
「おいしいでござるから、是非ご賞味あれ!」
と二人に進めるし、
在るときは
「あれが、賢狼の霊廟「聖狼殿」にござる」と、ガイドをして回ってくれた。
そして――――
「ココが今日の目的地。拙者の生家にござる」
最後には皐月の生家へと案内された。
街の一角にある少しばかり大きな家――――母屋と離れがある――――が皐月の生家でかなり裕福な家柄に入るようだった。
「おかえりなさい。皐月」
出迎えてくれたのは皐月の母親で「佳乃」と言う皐月によく似た賢狼族の女性だった。髪が金髪なのは皐月と一緒だが結い上げうなじの所で団子になっていた。
「皐月?こちらの方は?」
「ああ、こちらはシシリー・マウセン導師と今年度の優勝者の一人、凍太殿でござるよ。母上」
「あら、王国の――――さぁどうぞお上がりください」
佳乃は二人を家の中に招き入れると、大きな客間へと案内した。
「ずいぶん大きいお家だね」
「そうで御座るな。父上と姉上は王都の警護隊を務めておる故それなりに――――」
「皐月。あまりそういう事を言うもんではありません」
「はい。すいません」
佳乃に叱られ、耳が垂れ下がるのは――――見ていて可愛かった。
「お邪魔してよかったのかしら?」
「家主とこの子の姉は、今王都に別住まいですから、使っていただけた方が楽しくて」
「そういうことなら、1晩留めていただこうかしら」
シシリーは無下に断っては佳乃の心証が悪くなることを考えて、とりあえず今夜は止めてもらうことに決めた。
「そうですか―――――盗賊団征伐にうちの皐月が」
「心配いりませんよ。今回の征伐は学業の一環ですから。皐月さんには期待しております」
「まぁ、そうですか。皐月――――命は惜しんではなりませんよ。良いですね」
「はい。きっと武功を上げてまいります。母上!」
「そんなに、硬くなる必要はないのですよ。魔術士はチームで戦うのです。組織力こそ大事ですよ?」
「はい。シシリー様」
「それはそうと、凍太さまはおいくつなのですか?」
「7歳です――――ね?」
「はい」
「そんなに小さいうちから、征伐に行かれるなんて、ご心配ではないですか?」
「心配などしておりません。私の自慢の弟子ですから」
「はぁ――――さすがねぇ。あらあら、届くかしら?」
凍太が奥のおかずを取ろうとして手を伸ばすと、佳乃が凍太のリーチが短いのを気にしてお皿をよせてくれようとしたが――――
「佳乃殿。大丈夫です」
それをシシリーがとめた。
ふわりとお皿が浮き凍太の方へ移動をする――――魔術制御で動かすことはシシリーと暮らす上で暗黙の決まりごとになっていた。
「うちではいつも魔術で制御をするように言ってましてねぇ。どうです?なかなかの安定度でしょう?」
シシリーは満足そうに笑ってのけた。
「ええ。ビックリです。皐月もこんなことできるの?」
「いやぁ、拙者少しは可能でござるが・・・・ここまでは無理でござるなぁ。母上も知っての通り「肉体強化系」の魔術が得意でござるし」
「魔術といっても千差万別。この子はまだ発展途上ですから。制御をこのシシリー直々に叩き込んでいるの。たぶん、凍太ちゃんは「コツ」つかむのがうまいんだと思うわ」
(よくそんな風に言ってくれるよな。制御するのやっとできるようになったのに)
むぐむぐと租借する凍太はシシリーの物言いを恨めしく思ったが言い出すことはしなかった。もし言い出したりすれば――――きつい修業が倍に増える事を知っている。そんなことに自分を追い込むほど凍太は馬鹿ではなかった
「うぬぅ」
皐月は食事あとからずっと唸り続けていた。
(さっきからモヤモヤするでござる。)
離れの板の間に座り心をしずめようとするが、モヤモヤは一行に収まりそうにない。
(凍太殿に出来てなぜ拙者は制御が得意ではないのか)
板の間に座り込んだまま腕を組み、首を左右に揺らしながら、うんうんと唸り続ける皐月。
(拙者の方がお姉さんでござるぞ?7歳の子供にできて拙者にできない理由は何で御座ろうか――――)
考えるが、一行にいいアイデアは出てきそうにない。
(ああ――――もう!)
すっくと立ちあがり、傍らに置いてあった真剣を抜き放つ。
(考えて無駄なら――――行動あるのみ!)
皐月は邪念を払うように、そのまま、そこで小一時間ほど真剣をふりつづけ――――
「はぁ―――はぁ――――」
膝が笑うぐらいになってからようやく刀を置いた。
(やはり、下手に考えるより動いた方がよいでござるな)
大の字に仰向けになりながら――――空っぽになった頭で心を静めていく。
潮風の匂いのする夜気がほてった体に心地よかった。
「いやぁ一人旅もいいもんです」
雪乃は霊山の宿場町、楼花に向かう道すがら翁石国の宿で一泊を過ごし、一階の酒場兼、食事処で昼食を取りながら羽を伸ばしていると――――
「ココの魚料理がまた美味いんでござるよ」
扉をくぐって3人ほどの人影が入ってきた。
「へぇー。皐月のおススメのお店だね」
「なかなかいい店ではないですか――――ん?」
その入ってきたうちの一人と雪乃の目がかち合った。
「おや?雪乃ではないですか」
「なんだい?ずいぶん珍しいとこにいるじゃないか。シシリー」
穏やかな口調で話し始める二人の老婆だったが、二人の目は決して笑っては居ない。お互いに氷のような目つきで口元だけが笑っていた。
「あ――――お久しぶりです。雪乃おばあさま」
そんなところに割って入ったのは凍太の元気な声だった。
「おお、元気そうで何より。修練は怠っていないでしょうね?」
「はい―――日課はこなしています」
「ならば結構。特に魔術士は魔術に頼りがちですからね」
ちらりと、シシリーを睨みつける。まるで、コイツの様にはなるなとでも言いたげに。
「魔術士ではないモノは肉体を鍛えるしかありませんからね」
ちくりと少し大きめな口調で言い返したのはシシリーだった。
「なんです?」
ギロリと雪乃の目がシシリーを睨みつけ、
「おや?なんです。その目は?」
とシシリーはにっこりとほほ笑み返す。
「あんたはいつもそうだ。ウェルデンベルグの陰に隠れてコソコソしてるばかり。
生意気な言い方は何も治っちゃいないね」
「あなたこそ、その短気な性格はウェルデンベルグ先生に何度も怒られているはずでしょうに。まるで成長していませんね」
「あわわわわ。どうしたら良いで御座るか」
シシリーと雪乃のやり取りを見て皐月は顔を青くし、凍太は頭痛を堪えていると――――
「あのお――――お客様店内でのもめごとはお控えください」
線の細い賢狼族の青年が人数分のお茶を差し出しながら、仲裁に入った。
「ふん!」
「すみませんね。あとそれと注文を」
雪乃は鼻を鳴らし、お茶を一気に飲み干し、シシリーは雪乃の対面席に陣取った。
「凍太とそこの娘っ子は一緒の席でも構わないが、なんであんたが座るんだ。シシリー」
「仲良くしてください。おばあさま」
「そうでござるよ。ひとまずお腹いっぱいになればイライラも収まるで御座ろうし」
「まぁ、凍太にいわれちゃ仕方ないね」
「そうね。ここはひとまず手打ちにしましょう」
円卓を囲むように座った4人の顔ぶれをみて、賢狼族のウェイターがメニューを差し出してきた。
「ご注文が決まりましたらお呼びください」
そう言ってそそくさと厨房の中へと消えて行く姿を見て――――皐月は
(すまん。給仕殿。おそろしかったで御座ろうな)
と心の中でウェイターに詫びを入れていた。
「それで――――あなたはなぜこんなところに居るんです?雪乃」
「なぜって決まってるだろう?盗賊団とやらに会いに行くのさ」
「新聞は読んでいるはずですが―――――王国の討伐隊が出ていることは知っていますよね?」
「ああ、だから会いに行くんだろ?」
「雪乃、あなたまた、腕試しに良いとか考えているんじゃないでしょうね?」
「?――――何をいってる。そうに決まっているだろう。鬼族なんてめったに会えるもんじゃないしね」
「! やはりですか――――この仕事は王国の領分です。一人で手に負えるモノではありませんよ」
「そんなもんやってみなくちゃ分からんさね。シシリーあんたが私の力を知らないわけじゃないだろう」
「確かに――――【オーガ殺し】の異名を持つあなたですが、今回はそれに加えて100近い荒くれの盗賊団も居るのです。あなた一人で太刀打ちできるはずがありません」
「雑魚が何人いようが知ったことじゃないね。アタシに匹敵する力のあるやつがいたらおもしろいじゃないか」
「―――――全く!なぜそう分からず屋なのです?!」
「まぁまぁ、落ち着いてくだされ。導師。拙者一つ思いついたのでござるが――――雪乃さまに協力していただいては如何で御座ろうか?」
「皐月まで何を――――」
「目的は一緒なんだからおばあさまに入ってもらっちゃダメなのかな?」
「凍太ちゃんまで――――」
シシリーは閉口し、逆に雪乃は口の端を吊り上げた。
「やっぱり、あたしの孫とその仲間だ。こんな頭の固い高慢ちきより、よっぽど話が分かるってもんですね」
「導師もおねがいします」
ぺこりとシシリーに頭を下げた皐月と凍太を前にして、本人はため息をつくことしかできなくなった。
「ふう―――――仕方ありません。今回は特例として雪乃に協力をしてもらう事とします」
「最初からそう言えばいいんですよ。シシリー」
勝ち誇った雪乃の顔が道にも鼻持ちならなかったが――――シシリーは流して話を進めた。
「では、雪乃には鬼族の相手を。私たちは盗賊団を相手とします。一対一の状態を作ってあげますから、存分におやんなさいな」
「ああ――――それで構わない。面白くなってきましたよ」
シシリーの言葉ににやつく雪乃。
戦力の大幅なアップはされた形になったが――――同時に不安がぬぐえない陣容になったのも確かであった。
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