◆Middle12◆策略を巡らして

 生徒会長・五行清秋にとって、もっとも努力をした夜は終わった。

 窓から差し込む朝の光を浴びながらコーヒーを口にし……満足感に浸る。

 その苦労が、徒労に終わることも知らずに。


GM:では、ルイン以外の三人が、生徒会長のところにやってきた場面を始めよう。シーンの舞台は、生徒会長室だ。さて、キミたちがそこにやってくると、目の下にくまを作った生徒会長がおもむろに立ち上がって不敵な笑みを浮かべた。「ふふふ、待っていたよ、諸君」

菫:かいちょーう! お願いがあります!

GM:「キミたちの用件はわかっている。安心したまえ」

フジヤマ:おお、わかっているなら話は早い!

GM:「すでに手配は終わっている! 私はひと晩をかけて各方面を説得、許可をもらい、難色を示す者はこの弁論をもって片付けた!」

菫:はい?

GM:「喜びたまえ……っ! キミたちに―――外出許可を与えようっ!」

フジヤマ:そこはもうどうでいいわ―――っ!(一同大爆笑)

クロウ:…………うん。それ、もういいや。

GM:「…………は?」

フジヤマ:あ、そうか……会長は、そこで話が止まってマシタ……忘れてた。

菫:あ、あの……本当に申し訳ないんですけど外出許可の話はもういらなくなって……。

GM:「キミがなにを言っているのか、僕にはさっぱりわからないんだがっ!?」(一同爆笑)

菫:ごめんなさい―――っ!(笑)

フジヤマ:それにはいろいろと事情があるのデス……(笑)。

クロウ:まず、落ち着いて聞いてほしい。ひとつ事件が起きたんだ。

GM:「いやいやいやっ、もうこれ自体が事件だろう……っ!?」(一同大爆笑)


 というわけで、三人はいきさつを説明した。

 副会長のヒルダが重傷を負ったこと。彼女がなにか学校の陰で蠢く陰謀の情報を握り、その隠蔽のために襲われたらしいこと。また、実験塔周辺で現代世界から来たと思われる少女の目撃情報があること。そして、塔の中から不穏な唸り声が聞こえてきたこと……などなど。


GM:生徒会長はこめかみを引きつらせながらも話を聞き……しだいに落ち着きを取り戻していく。そして、しばらく考えたあとに言う。「ふむ。たしかに最近、実験塔周辺にそんな噂があるのは事実だが―――」

菫:最近? 最近の話なんですか、その噂って。

GM:「そうだ。具体的には、お前たちがエリンにやって来た頃からだな」

菫:えぇ……っ!

クロウ:ビンゴっぽいな。ちゃんと調べてなかったけどさ……あの塔ってなんなんだ? この学校が転移してきた時に使われていた実験施設、とか聞いたが。

GM:「……科学、魔術を駆使して多くの実験が行なわれたが……最も力を入れていたのは“召喚術”だな。当然だろう? それを研究すれば、地球へと帰還する方法が見つかるかもしれないからな。しかし結果は出せず、研究は一時的に凍結された」

菫:召喚……。

クロウ:その時の実験器具とかはまだ塔の中にあるのか?

GM:「ある。あきらめたわけではないからな。ただ、技術が追いつかない。学校と大量の人間ごと地球へ転移するには、膨大な魔力やその資質を持ったを触媒が必要らしくてな」

一同:…………。

菫:どこかで聞いた話が……。

フジヤマ:あのー……その触媒っていうのは人間でもよいノデ?

GM:「もちろんだ。もっとも、現状の技術ではそんな膨大な魔力や強い意思など扱いきれるものではない。扱おうにも、装置の稼働段階で魔力の大半が漏出……必要な出力に達しないそうだ」

菫:魔力や意思が漏出……?

クロウ:なあ、漏れ出した意思って……それって人の夢に干渉したり、幽霊のように実体となって現われたり―――しないよな?

GM:「可能性はある。事実、過去にもそういう事故があったそうだ」

一同:それだ――――――っ!(笑)

菫:じゃあ、わたしが見た夢も、街の中で見かけたみーちゃんもそれが原因っ!? 会長に、その話を伝えておきます!

クロウ:ビンゴだな。みさとさんは、あの塔の中で何者かに触媒にされていると見ていい。会長、あの塔は生徒会の管理なんだろ? 鍵はあるか?

GM:「ああ。すべての生徒会管理の鍵は……ここにある」と言って、彼は壁のキーボックスを開く。「ええと、実験塔、塔……む? ……塔の鍵がない」

菫:ええええええええ――――――っ!?(一同爆笑)

クロウ:おーい! ちゃんと管理しとけよぉっ!?(爆笑)

GM:「おかしいな……誰かが持ち出したのか?」彼はパソコンのキーボードを叩き、記録を閲覧する。「……記録がない。いや、その部分のデータが抹消されている」

クロウ:予備のキーは? ますます塔の中を調べたい。

GM:「理事会に申請すればマスターキーを出してもらえる……が、少し時間がかかる」

クロウ:……となれば、まず黒幕を確定させる方が優先か。

GM:「……副会長の件といい、実験塔のことといい……なにかよからぬ陰謀が進行している可能性が高い、か。すると、例の件も……」

菫:例の件?

GM:「ああ。近く、この周辺に多くの転移が発生する可能性が示唆されていてな。我々は、このオーカーが転移してきたのと同じ規模の事象がありえるとして、準備中だったのだ」

フジヤマ:うわー、それはきっとアーシアンの転移じゃないわー。

GM:会長は、少し思案してのち声をあげる。「……ふむ、明日からの武闘大会は即刻中止とし、緊急事態に備え……」

クロウ:いや、大会はそのまま運営してほしい。

一同:え?

クロウ:絶対に黒幕は前と同じことをしてくる。奴の行動が、そう物語ってる。だから会長……あんたに頼みたいことがある。


 ―――そう告げるクロウは愉悦に満ちた表情を浮かべた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援した人

応援すると応援コメントも書けます

ビューワー設定

文字サイズ

背景色

フォント

一部のAndroid端末では
フォント設定が反映されません。

応援の気持ちを届けよう

カクヨムに登録すると作者に思いを届けられます。ぜひ応援してください。

アカウントをお持ちの方はログイン

フォロー機能を活用しよう

カクヨムに登録して、気になる小説の更新を逃さずチェック!

アカウントをお持ちの方はログイン

フォロー機能を活用しよう

カクヨムに登録して、お気に入り作者の活動を追いかけよう!