◆Middle09◆実験塔は夜の闇にそびえる
人気のない場所で、弱い明かりに照らされた実験塔は、夜の闇の中に黒々とそびえ立っていた。鉄の柵に囲われたそこに、当然ながら人の気配はない。
そして塔の正面にある鉄門は、来るものを拒むかのように固く閉ざされていた。
GM:それじゃ、まずは実験塔に向かったアーシアン組からいこうか。
菫&クロウ:はーい!
菫:……でも、二手に分かれてよかったのかな。本当に副会長さんが犯人なら、みんなで行った方がよくなかった?
フジヤマ:いやー、ミーもそうしたいところデスが……第七校舎に呼び出したのは実はダミーで、そっちにおびき寄せておいて、実験塔の方でなにかしようとしてた可能性が……。
クロウ:たしかに。副会長は、パソコンやネットワークに強かったからな。さっきの情報削除もあの女の仕業の可能性はある。でも、俺たちが実験塔のことを突き止めたから……。
ルイン:ああ、慌てて「今から会いたい」と連絡してきた。つじつまが合っている(笑)。
菫:じゃあ、こっちにヒルダさんがこっちに来る可能性も……。この塔ってどんな施設?
GM:この真っ黒で巨大な塔は、かつてオーカーがこの地に落ちた当初、エリンの技術を研究するためのものだったらしい。当時は、多くの実験をしていたが、今は使われなくなって閉鎖されている。当然、立ち入り禁止の扱いだね。塔の近くにはあまり外灯がなく、周囲には人の気配もまったくない。
菫:うわー……不気味。
クロウ:なるほど。周辺にはひとっこひとりいない感じ?
GM:(少し考えて)……ない。ただ、塔の近くには警備の詰め所があるな。
クロウ:説明するのも面倒臭いな。警備に見つからないよう、塔をぐるっと一周しよう。
菫:うんっ。みーちゃんがいないかどうか、確認しながら。
GM:では、キミたちは塔に近づいていく。真っ黒に塗られたそれは、暗闇よりもなお黒く……ふたりの眼前に静かに佇む。
菫:なんだか、まがまがしい……。
GM:ではふたりとも、【感知】を振ってもらおう。
菫:えい!(ダイスを振る)9だから、13!
クロウ:よっ!(ダイスを振る)7だから、12だ。
GM:高いな! 10いってるからふたりとも気づく。耳が痛くなるほどの静寂が満ちる中、耳を澄ませば聞こえてくるこんな声。(しわがれた声で)「あ、あああぁぁ……」
菫:えっ、怖いっ!?
クロウ:なんだこの『呪怨(ホラー映画)』で使われるようなうめき声は。
GM:「ああぁぁぁ……ああああああぁあ……っ」
菫:いや―――っ!? 怖い怖いっ!? 幽霊っ!?
クロウ:大丈夫。幽霊なんてものはいない。だいたい風の音とか自然現象だから。
菫:そ、そんなこと言われても~っ!?(笑)
GM:(いきなり無駄に低い声で)「ねぇ……」
菫:ぎゃ――――――っ!?
クロウ:俺もびっくりしたっ!?(笑)
菫:やだやだ怖い怖い……っ!! 実はホラー、ぜんぜんダメなんですっ!!(一同爆笑)
クロウ:GM、やめろよ! うちのギルドマスターはピュアなんだぞ!(笑)
GM:と、とにかく! 菫は背後から肩をたたかれた。
クロウ:問答無用で《エアリアルスラッシュ》をぶち込む……っ!
GM:「ぎゃ―――っ!?」と、悲鳴が上がった。ふたりが振り向けば、そこには詰め所の人が仰向けに倒れていた(一同爆笑)
菫:待って待って! 詰め所の人だよクロウくんっ!(笑)
クロウ:お、お、驚かせるんじゃねーよっ!?(笑)
GM:(無駄に不気味な声で)「むしろ驚いたのはこっちの方なんだけど。……こんな時間に、こんなところでなにしてんの、キミたちぃ……」
菫:あっ、あっ、あのっ……!(笑)
クロウ:しまった(笑)。なんとかごまかさないと。……すみません。エレイン先生とちょっと待ち合わせしてるんです。先生が来たらすぐ帰ります。
菫:あっ、うまいな、クロウくん! 助かった!
GM:「……じゃあ、詰め所においでぇぇ~」
クロウ:お、ありがたい! 誰かが来たらすぐわかるように、外の様子が見られる状態で、詰め所で待機させてもらっても?
GM:「どうぞどうぞぉぉ~……お茶でも出すよ~」
菫:いい人だった……声が怖いけど(笑)。
GM:「……ははは、よく声がホラーだって言われるんだ」(一同爆笑)
クロウ:にしても、さっきの変な声はなんだったんだ。ちゃんと調査もしないとな……。
だが、結果としてみさとに関する手がかりをふたりは得ることはできなかった。
その上で役に立つと思える情報は……この塔は基本的に、理事長の管理下にあり、ただし例外として、有事のために生徒会もその鍵を保持している―――その事実だけだった。
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