◆Middle06◆伝説の樹の下で

 倉庫で発見したのは、ガートルードの写った無数の写真と、生徒会長自作のポエム。

 そして、彼が証拠の隠滅を図ったとおぼしきダンジョンの制御ログと、ID―――。

 菫たちは真相をたしかめるべく、動いた。


GM:さて、では次のシーンにいこうか。えーと……。

菫:生徒会長を呼び出して問い詰めます! なんでわたしたちを殺そうとしたのか! 実はいい人だと思ったのに!(笑)

クロウ:もし、しらばっくれたら……このポエムを最大限に活用させてもらう!(笑)

ルイン:うむ、呼び出そう! やはり下駄箱に手紙を入れるしか!(笑)

フジヤマ:いっそのこと、ガートルードさんに頼んで……(一同爆笑)。

クロウ:いや、待て。それは最後の手段だ。ここは俺がメイクをして彼女に変装し、生徒会長を伝説の樹の下で待つ(一同爆笑)。

フジヤマ:げろげろげろ。

ルイン:では、ガートルード様は呼ばずに……。

菫:え、待って。五行さんが真犯人だって自供した時、わたしたち以外の人がいた方がよくないかな。わたしたちだけの証言を、ガートルードさんが保証してくれれば……。

クロウ:なるほど、証人を作ろうって作戦か。それでいこう。

菫:ありがとう! それじゃあ、ガートルードさんを呼び出します。

GM:……OK。彼女は、戸惑いながらも菫の言葉に応じ、キミたちの部屋まで来てくれた。「協力できることがあれば、できる限りのことはするわ」

菫:ありがとう。状況を説明して、ガートルードさんに五行さんへの手紙を書いてもらう!

GM:「……えっ?」(一同爆笑)


 話を聞いて、ガートルードは渋い顔を見せた。

 だが、前にクロウが彼女に協力を取り付ける判定に成功したことが決め手となり……

「大切なお話があります。放課後、伝説の樹の下で待ってます♡」

 ―――という文面を、彼女は見事に書き上げたのだった。


菫:さっそく、下駄箱に入れてくる!(パサッと手紙を下駄箱に入れる仕草)(笑)

GM:―――なお、ガートルードはさめざめ泣いている。「エレイン先生……なにこのハートマーク……あたし、汚れちゃった」「ういー、ひっく」(一同爆笑)。

フジヤマ:先生、まだ飲んでマスっ!(笑)

ルイン:なんでいつもいるんだ、この先生(笑)。

クロウ:ふふふ、ガートルードさんの献身のおかげで、みさとさんは助けられるはず。

フジヤマ:では、さっそく伝説の樹のある校舎裏に行って……隠れマス。

GM:OK。では、酔っ払った先生とガートルードも連れて……クロウ以外は隠れ、固唾をのんで時が来るのを待った。

クロウ:(考え込み)……でもよく考えたらさ、ホントに来るかな。あからさまに怪しいから、警戒されてもおかしくな……。

GM:「……ガートルードさ―――ん! どこですか、ガートルードさん!」(一同大爆笑)

ルイン:あっさり来たよっ!(笑)

GM:そりゃ、本物の書簡だからな。……時刻は夕刻。柔らかな風の吹く時間、夕日がすべての風景を白とオレンジに染め上げて―――。

菫:いい雰囲気だ!

GM:左手には開封された手紙を、右手に薔薇を持った少年が、伝説の樹へと駆けていく。はたしてそこには、彼の望むとおり……赤い髪とスカートを風になびかせる人影があった。

クロウ:その人影は……俺だ!(一同爆笑) もちろん、俺は(ひどい意味で)すごい化粧をして、夕日の中に佇んでいる。


挿絵↓(お手数ですが下記URLをコピーして、ブラウザに入力してください。イラストを閲覧できます)

http://www.fear.co.jp/kakuyomu_gazou/21illust06.jpg


GM:なお、茂みに隠れて見ているガートルードは文句でもあるのか、涙目になって飛び出そうとしているが……「いいからいいから! 面白いから、もうちょっと見ていましょう!

ひっく」先生に、口と身体を押さえつけられ動けないようだ(一同爆笑)。

フジヤマ:先生……(笑)。

クロウ:生徒会長が声を掛けてくるまで、俺は黙ってうつむきながら立っているが……。

GM:生徒会長は、すぐにキミのうしろ姿を見つけて、駆け寄ってきた。「……待たせてしまったかな?」

クロウ:(かわいらしい声を作り)ええ、待ってた……(と、突然ドスのきいた声になり)……そう、待ってたわあっ!? この時をよおぉぉぉおおおおぉぉおおっ!!(一同大爆笑)

GM:振り向いたクロウを見て。会長は現実が認識できない。「……あれ、ガートルードさん。今日は、その、声と顔が優れないようだね」

フジヤマ:声と顔ぉ!?(一同爆笑)

GM:一方、その頃のガートルード。「もがもが、もごもごっ!?」「今、面白いところだから!」(一同爆笑)

クロウ:残念だったな、その手紙を出した張本人はこの俺……クロウだぁああっ!!

GM:と、キミが言った直後。「死ねいっ!!」と生徒会長が剣で斬りつけた(一同爆笑)。

フジヤマ:あの……助けません?(笑)

ルイン:いや、一発ぐらいはいいんじゃないか?

菫:そうですね!

クロウ:お前ら―――っ!?(一同爆笑)


 ―――五分後。

 そこには、目の周りに青あざを作ったクロウと、生命よりも大事なものを失ったかのような表情を見せる生徒会長の姿があった。


GM:「ええい、これはなんのマネだっ! 僕をこんな目に遭わせて、なんのつもりだ!」

クロウ:お前に、聞きたいことがあるんだよ。

菫:そう、質問があるんです。あのダンジョンの設定のこと……知らないっておっしゃってましたよね? じゃあ、このログはなんですか?

GM:プリントされたログを一瞥し、会長は毅然と答える。「……知らんな。記憶にない」

クロウ:しらを切るのか?

GM:「知らんと言ったら、知らんな」

ルイン:まあ、すぐには認めないか。

フジヤマ:いいデスよ? しらばっくれるなら……この写真とポエムを、そこの茂みに隠れているガートルードさんに見せ……(ちらっ)。

GM:「ふははははっ、話を聞こ――――――うじゃないかっ!?」(一同大爆笑)

一同:食いついた―――っ!!(大爆笑)

GM:と言ったその時。うしろからガートルードが声を上げた。「なになに!? なにがっ!?写真!? ポエムってなにっ!?」(一同大爆笑)

菫:(超わざとらしく)あっ、あっ、ガートルードさんがー! 大変ー、この写真もポエムも見られちゃうなー! ガートルードさんこっち来てるー! どーしよー!(笑)

ルイン:キミが潔白を証明できないのであれば、これをガートルード様にお見せするが?

GM:「ま、待てっ! 待ってくれ! ねつ造のログとやらを公開されても、僕は痛くもかゆくもないが……その愛のポエムはちがう! キミたちの話はなんでも聞こう!」

菫:あれ? ねつ造? 嘘をついてる? どっちなのかわかんない……。

GM:「そのログとやらは、ねつ造だ。キミたちのダンジョン攻略中は僕の周りにはスタッフもいたから、必要なら彼らに証言をしてもらってもいい」

ルイン:なるほど、アリバイは証明できるわけか。

菫:ガートルードさんの前で、誓えますか!? 本当に五行さんじゃないんですよね!? 彼女の前で、はっきりと誓えますか!?

GM:「え、えっと……古来より、人間とは想い人の前では、素直になる生き物である……僕は、ここに嘘偽りのないことを誓おう……!」

菫:シロだった、よかった~! ガートルードさんありがとう~!(一同爆笑)

GM:彼女は「えっ? な、なに? なにが? その写真はなに? なにが起きてるの?」と混乱している(一同爆笑)。

ルイン:ところで我々は、なんのためにこんなことをしたのだったかな?(笑)

菫:学校の外に出る許可を得て、みーちゃんを探しにいくためです! というわけで! わたしたちが捜索に行くこと、許可をもらえますよね?

GM:「うっ……ま、前向きに考えて……やらんでもない」

一同:やらんでもない?

クロウ:写真やポエムが偶然、不幸な事故で流出するかもしれんなあ……?(笑)

GM:「お前らは鬼かっ!?」(一同爆笑) 「僕だって友を捜したいというその気持ち、理解はできる! しかし、規則というものがある! ダンジョンのクリア以外に、せめてもうひとつくらい実績がほしい! とりあえず今晩、生徒会を説得してはみるが……」

ルイン:ぬう、実績がある方が確実、か。

GM:「会議が終わったらこちらから連絡する。今日はこれで……許してくれ」(一同爆笑)

クロウ:わかった。だが、俺はまだ疑っている。せいぜい身の潔白が証明できるといいな。

GM:「いいとも。一〇〇%潔白だと、証明してみせようじゃないか」と言い残し、彼は薔薇を持ったまま走り去った……といったところで一旦、シーンを終了しよう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る