◆Opening03◆闇の中に響く鈴

 深い深い闇の中。

 両腕を茨に絡め取られ、吊るされている少女の姿があった。

 少女の足下には、淡く、妖しい光をあげる魔法陣が描かれている。彼女の瞳に生気はなく……まるでその生命力を闇に吸い出されているようで―――。


菫:あ……その子って、みーちゃん!? その子は、ちゃんと服着てる?

GM:倫理規定に違反しない程度に着てるよ(笑)。


 このエリンという世界では見たこともないような衣服に身を包んだ少女。

 瞳を開けてはいるがそこに光はなく、生気も感じられない。

 少女の傍らに立っていたのは、黒い人影だった。その者は、ほくそ笑みながら少女の髪を愛おしそうに撫で……しかし天を仰ぐように誰かと言葉を交わしていた。


クロウ:話を? 誰と?

GM:相手はわからない。室内にいるのに、その視線は遥か虚空を見つめているようだ。

「現在、準備は順調に進んでいます。

 このまま何事もなく計画が進めば、この娘はやがて“鈴”の役目を立派に果たしましょう。

 あとは、“竜”や“獣”の時のように、邪魔をする輩が出ないことを祈るだけ」


フジヤマ:“竜”や“獣”?

GM:『スキルマスターズ』や『アイテムマスターズ』の話だな。


『アリアンロッド2E リプレイ・スキルマスターズ 七人の冒険者』『アリアンロッド2E リプレイ・アイテムマスターズ 刀鍛冶の用心棒』は、共に株式会社KADOKAWAより好評発売中である。興味ある方は手を伸ばしていただければ幸いだ……っ!


フジヤマ:『~マスターズ』リプレイシリーズとこのリプレイ、実は話が繋がってる……?

GM:なお、会話の相手の言葉は聞こえない。その人影の受け答えだけが空虚な室内に響く。


「もっとも……すでに異界より邪魔者が“かの女神”により送られてきました。が、彼らはこの世界では新参者。この“鈴”に近づくことはおろか、探し出すことすらできますまい。

万が一、たどり着くようなことがあれば排除するだけのこと―――」

菫:……っ! 悪い奴だ!


「……もう少しで、“鈴”の音色がこの世界で奏でられ、闇にたゆたう眷属に届く。この娘が秘めたる魔力の資質は高い。異界よりわざわざ呼び寄せたかいがあったというもの」


菫:みーちゃんを、なにかの計画に利用してる? だから連れてこられた?

GM:そうだ。そして人影は少女を……みさとを見据える。その指を彼女のあごに這わせ、そっとなぞって妖しげにほくそ笑んだ。

クロウ:ここここいつっ! 彼女はいったいなにをされたんだっ!? おそらくは倫理規定に抵触しない程度にひどいことをされたはずだが……気になるっ!!(←最高の笑顔)

フジヤマ:熱いおでんを食べさせられたとか……っ!

菫:なんてひどい!(笑)

GM:あほ(笑)。では、最後にみさとの姿が闇に溶けて消えたところで……菫は、夢から目覚めて跳ね起きた。

菫:わたしの夢だった! え、これって……。

GM:おそらく、この世界のどこかにいるみさとの意識が、思念が、肉体を抜けだしてキミの心に投影されたものだろう、うん。では、ここでオープニングフェイズを終了する!


挿絵↓(お手数ですが下記URLをコピーして、ブラウザに入力してください。イラストを閲覧できます)

http://www.fear.co.jp/kakuyomu_gazou/20illust05.jpg

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