◆Opening02◆世界でいちばん優しい刃 

 生きていれば、つらく苦しいことがある。

 しかし、それゆえに人の優しさを実感するものだ。

 ただ、もっとも厄介なのは、優しさという名の刃を振りかざされた時だった。 


GM:次はフジヤマとルイン……エリン組のシーンだ。舞台は“ブラックロータス”のギルドルーム。ルインが、ガートルードから呼び出されたって場面だ。豪奢な造りの部屋は、相も変わらず一般生徒が近づきがたい優雅な雰囲気を醸し出している。

フジヤマ:天井は金、床や柱は大理石、カーテンはシルクで……。

菫:会員制のクラブみたい……(笑)。

GM:わはは(笑)。そんな室内に今、メンバーが整列している。各国から送られてきた王族、貴族の子弟たちが立ち並ぶ中、ルインは最前列に立ってガートルードと相対していた。「ルイン君、一歩前へ」 笑顔の彼女はメンバーが見守る中、キミにそう告げた。

ルイン:おお、お褒めの言葉でも賜わるのか? いや、闘技大会のメンバーに選ばれた?

GM:彼女は、笑顔でルインの手を取った。「テストダンジョンの件、がんばったわね」

ルイン:いえ。ブラックロータスのメンバーとして、私は当然のこ……。

GM:「あなたのような人材がついていれば、あのふたりの新人アーシアンたち、これからも安心だと思うわ!」

ルイン:え?

フジヤマ:なんかさりげなく……パージされてない?

ルイン:あの、私はブラックロータスの一員のはず……。

GM:「もちろんその事実は永遠に忘れない」

一同:おい待てっ!?(笑)

フジヤマ:まさか呼び出されるなり、永久追放を言い渡されるとはっ!?(笑)

GM:なお、彼女にまったく悪気はない。「それに、アーシアンだけじゃない。すばらしい仲間と出会ったみたいじゃない? 今日も来ているんでしょう? あのヴァーナの……」

フジヤマ:バターン……っ!!(←ドアを開けた) やあやあ、お呼びデスか? 赤いフジヤマ・グレイス、略して赤フジと呼んでクダサーイっ!?

GM:その登場と共に、室内の他のメンバーたちはとヒソヒソと囁き出した。「おい、あいつって、地球かぶれの……?」「ああ、まちがいない」「……え、優秀な仲間?」

ルイン:……フジヤマが仲間と思われたことで今、目に見えない壁ができた気がする。

フジヤマ:ルインさんと肩を組んで、これからがんばっていきマース! と、アピール。

GM:「フジヤマさん、ルイン君をよろしくね」

フジヤマ:ええ、ルインさんはすばらしい人デス。「サークレットなんか買わなくてもいいのだ!」ときっぱりあきらめてくれた立派な……(一同爆笑)。

ルイン:実はあきらめきれてないんだよ! わかってくれよ! ……いや、そんな話はどうでもいい! 私は、ガートルード様の志というものに憧れてだな……!

GM:「大丈夫。生きる場所はちがっても、志は一緒よ」

ルイン:ぎゃ――――――っ!(笑)

GM:何度も言うが、彼女はルインをパージしたつもりはまったくない。菫たちは見込みがあるから助けてあげてほしいと……純粋な想いでやっているのだ。

ルイン:なんだこの流れは!? まるで世界のあらゆる事象が、ガートルードさんとブラックロータスから、この私を遠ざけているかのようだっ!?(笑)

GM:そんなルインの葛藤を知らず、彼女は言う。「あなたたちの当面の目的は、生徒会長、五行くんを説得し外出許可を得ることね。……正直な話、彼のこといまいちいけすかなくて」

ルイン:その気持ちはよくわかりますが……。

GM:「生徒会長としては立派なんだけど、時々、微妙な視線を私に向けてくるのよ」

フジヤマ:もしかして、ルインさんには、意外なライバルが登場なんじゃないデスか?

クロウ:その上で、ガートルードが一番惚れてるのは俺のようだがな!(笑)

ルイン:異世界のヤツらにいい気にさせるわけにはいかない……!

GM:そうこうしているうちにガートルードがルインの門出を励ますための言葉を紡ぐ。「では、前途あるアーシアンたちと、それ助けるべくこの場所より巣立つルイン君、そしてフジヤマさんに剣を捧げる!」その声に応じ、メンバーが同時に剣を掲げ―――。

菫:おお、カッコイイ!

GM:彼らは一斉に、「蛍の光」を歌い出した。

ルイン:やめろぉ!(一同爆笑) 悲しくなるし、もう戻れない気分になるだろうっ!?(笑)

フジヤマ:卒業する時の歌として、みなさんにお教えしておいたのデース。

ルイン:よ、よけいなことおおおおおぉぉぉっ!!(一同爆笑)

GM:蛍の光を背に聞きながら、キミたちは貴族棟を出て行った。……そのあと、室内では「では、武闘大会の決定事項を話します」と話題は瞬時に切り替わった。

ルイン:やっぱり、あそこに私の居場所はなかったんだ。

フジヤマ:落ち込まないでクダサイ。ヤツらを見返してやりマショウ! ガートルードさんも、ルインさんのことを気にしてたみたいじゃないデスか。

ルイン:……ハハ、よせよ(少し元気になる)。

フジヤマ:ま、きっともう帰れないけどナ。

ルイン:ちくしょぉぉおおぉぉおおおぉぉお――――っ!!(一同爆笑)

GM:そんなルインの雄叫びと共にシーンは終わり……次はマスターシーンを挟もう(笑)。

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