◆Middle03◆ゴブリン

 初めての異世界、初めての戦闘―――菫の胸の鼓動が高鳴る。

 だが、不安はない。なぜならその手には親友から受け継いだ剣が、その胸の奥には女神より託されたたしかな力があったからだ。


●第1ラウンド

▼行動値

フジヤマ      12

菫         8

クロウ       8

ゴブリンABC   7

ルイン       5

戦闘図版↓(お手数ですが下記URLをコピーして、ブラウザに入力してください。戦闘図版を閲覧できます)

http://www.fear.co.jp/kakuyomu_gazou/03M03_R01-01battle.jpg


GM:(テーブルの上にコマを配置しながら)キミたち全員で1エンゲージ、そこから5メートル離れた位置にゴブリンが3グループだ。まずは、セットアッププロセス。タイミングがセットアップのスキルが使えるよ。

フジヤマ:特になし。

菫:わたしも特にないみたい。

クロウ:よし、そこの長耳!

ルイン:私のことかっ!?(笑)

クロウ:識別系スキルがあるなら、今のうちに使ってくれ。楽になる。

ルイン:なぜ私が《エンサイクロペディア》を持っていると……!(笑) では、ゴブリンに対して《エンサイクロペディア》! 【知力】は7。(ダイスを振る)出目は6で合計13。

GM:ゴブリンの識別値は10なので、識別は成功。分類は妖魔、レベル1のモブだ。防御力は【物理防御力】の方が高い。【行動値】は7。また、《ゴブリン集団》というスキルを持ち、モブのゴブリンの数が多いほど強くなる。

クロウ:つまりこいつらは、ゴブリンが三部隊いる分、強くなっているということだな。

GM:3グループいるので、命中判定+3、ダメージ+6だな。

菫:じゃあ、集中的に1グループずつ確実に倒していった方がいい?

クロウ:いや、この行動順番なら……俺たちの勝ちだ。まず猫耳が敵集団に突っ込んで《ワイドアタック》、続く結城さんも《ワイドアタック》。これで終わる。

菫:ほんとにっ!?

 菫がどこか疑惑の眼差しを向ける中、戦いは始まった。


 クロウの指示どおり、ゴブリンの群れの中に躍り込んだフジヤマが、《ウェポンクリエイト》で生み出した短剣を左手に握って、二刀にしてのち《ワイドアタック》を繰り出す。

 短剣は、的確にゴブリンたちを捉え……17点の【HP】をもぎ取った。


GM:次は、【行動値】が8の菫とクロウだな。

クロウ:よし、結城さん……いけ!

菫:わたし、どうしたらいいのかわからないので……。

クロウ:敵に突っ込んで全力で《ワイドアタック》だ。具体的には、ムーブアクションで移動、マイナーはなにもせず、メジャーアクションで《ワイドアタック》を使えばいい。

菫:わかった! まずゴブリンが固まってるとこまで移動! ええと、5メートルですね!

クロウ:そうそう。敵と同じ場所にいるキャラクターのひとかたまりを“エンゲージ”と呼びます。他のキャラクターと同じ場所にくることもエンゲージする、とか言いますが。

菫:じゃあ、5メートル移動して、敵とエンゲージする!

GM:OK。キミが大地を蹴って走り出して……自らの動きに驚く。身体が軽い……! 地球にいた時よりも、明らかに軽やかに動けていると実感する。

菫:こんなに重い武器と防具を持っているのに!

GM:敵をすぐ眼前に捉えた時、その腕は剣をすでに振り上げていた。まるで身体が覚えていて、自然と動いた……いや、心の中の光がキミにすべてを教えてくれたかのように!

菫:(レコードシートに使った【MP】を記入しつつ)……あとは、命中判定をすればいいんですよね! ええと……そうそう。3D+5!

GM:菫が振るった剣の軌道が、三〇匹のゴブリンがいる空間を一気になぎ払う!

菫:(ダイスを振る)出目をぜんぶ足すと13。命中は18です!


 菫の放った渾身の一撃は、すべてのゴブリンを的確に捉えた。

 直撃と同時に《ピアシングストライク》を重ねてダメージを増加……たたき出したダメージは22点! これでゴブリンたちの受けた累計ダメージが34になり―――。


GM:ぐへ、ゴブリンの【HP】は28だから……今の一閃で三〇匹からなるゴブリンの群れが一斉にその場に崩れ落ちた!

菫:ぜんぶやっつけた! わあっ、気持ちいい!(笑)

GM:(笑)。これで戦闘終了だ。なお、このゲームでは、敵を倒すとドロップ品という戦果を得ることができる。エネミーごとに決まっている表を(基本的に)2Dして、なにを落としたか決めます。3グループ倒したので三回、誰が振ってもいいよ。


 その結果、得られたドロップ品は……「折れた短剣(5G)」×2だった。


GM:これで一〇Gの儲けだな(笑)。

菫:戦闘の跡を見て……これは、現実? とつぶやきます……(笑)。

GM:現実と捉えるしかない。菫は恐るべき身体能力を発揮し、クロウはゲームでの知識がそのまま通用することを実感した。

クロウ:俺のゲームの知識どおりだな。では、戦闘が終わったことを確認してから…………近くの木のうしろに隠れます。

一同:は?

GM:先ほどまでの彼はどこへやら、その太い木の背後には、ビクビクした態度の少年がひとり……うん、彼はたいそう人見知りのようだ。

ルイン:さっきの颯爽とした彼はどこに……。

フジヤマ:それはそれとして、このあとはどうしたものか。このボーイとガールは、目的のゲイシャガールとちがうようデェス。

ルイン:しかしこのふたりも放ってはおけん。彼らは見たところ、転移したばかりの模様。

フジヤマ:転移してきた者を保護するのもミーたちの役目。しかし聞いておこう。おふた方。こんなゲイシャガールをご存じないデスか? と、描いてもらったイラストを見せます。

菫:見覚えありますよね?(笑) ……この服、みーちゃんだ! はぐれたわたしの友達!

ルイン:ご友人? フォモールに連れて行かれたという話だったが。

菫:フォモールって?

フジヤマ:人間が邪悪化した存在で、妖魔に分類される奴らデス。

菫:じゃあ、こんなことをしている場合じゃない! 助けに行かなきゃ!

フジヤマ:(少し考えて)いや、まずは街へ行く方がGOODではないかと。

GM:それがいいな。今頃、街では捜索隊が組まれている頃合いだし。

フジヤマ:今、やみくもに森の中を探すより、一旦学園に戻って集まった情報を聞いた方が効率がよいかと。この広い森の中、ひとりで探せマスか?

菫:……う、言っていることはたしかにそのとおりか。

ルイン:それに、エリンには「マミー取りがマミーになる」ということわざが。

フジヤマ:「腹が減ってはノーウォー」とも。

菫:なんかどっかが間違ってるよっ!?(笑)

クロウ:(びくびくしつつ)お、俺は結城さんが決めた方でいいし……?

フジヤマ:なぜあなたは目を合わせないデスか!?(笑)

クロウ:べ、別にそんなことないし? お前、うちの猫に似てるから、きっといい奴だし?

フジヤマ:ペット扱いっ!?(笑)

クロウ:まあ、おどおどしつつも……みんなの話を聞いていて、俺の心は躍っている。そうか、ここはリアルなエリンディル大陸のようだな、と。とうとう俺は……理想の世界へやってきたっ!(一同大爆笑) 俺が願っても叶わなかった世界が現実になった!(笑) ちょうど「アリアンロッドMMO」でやることもなくなっていたしな!

GM:レベル1から、上げ直しだけどな。

クロウ:それはまったく苦にならない! どうやら、新しいゲームの始まりのようだ。

フジヤマ:では、街に案内……しようとして、自己紹介をし忘れていたことに気づきマス。失礼、ミーはフジヤマ・グレイスと申しマス。

菫:……い、意外と、日本的な名前なんだね……(笑)。

クロウ:俺の名前はクロウ。“ブラックフェザー”と呼んでくれてもいい。

フジヤマ:なにその恥ずかしい名前。

クロウ:お前に言われたくねえっ!(笑)

ルイン:私はルイン・シュレディンガーだ。神に仕え、教えを広めようとしている。

菫:わたしは結城菫。よろしくね!

フジヤマ:では、菫さんとクロウさんにあらためて言いましょう。


「―――ようこそ、母なる大地・エリンディル大陸へ!」

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