第一話 冒険者になるための一〇の知識
PREPLAY
◆Preplay01◆新たなPC①のプレイヤーを探せ
さて、『アリアンロッドRPG 2E 改訂版』である。
このゲームを宣伝する意味も兼ねて、「リプレイも出そう!」という話が確定したのは二〇一五年秋のことだった。
そのプレイヤーも四人のうち、すでに三人までは心に決めていた。
だが、主役であるPC①に関しては、やはり各方面より仕様や希望というもの飛んでくるもの。とりあえずひとり、心当たりはあったのだが……確信には至っていなかった。
私はまず、「その人物の大親友」に連絡を取った。
幾度かのコール音ののちに、電話は繋がった。
「あ、もしもし? お疲れ様です、菊池です」
「あ、お疲れ様です、味里です~」
その「大親友」の名は味里さん―――フリーで活動する女性声優さんである。
……わかる人には『艦隊これくしょん』の武蔵や伊8、伊19、『うぽって!!』のえる (L85A1)、『デート・ア・ライブ』の崇宮真那などの声の人、と言う方がいいだろうか。
二〇一四年~一五年にかけて、私の書いたリプレイ『聖弾のルーチェ』シリーズにプレイヤーとして参加していただいた人でもある。
あ、『聖弾のルーチェ』は現在、第一巻の内容が分割されてストリエで連載中だ。
無料なので、ぜひとも覗いてやっていただきたい!
https://storie.jp/official/dragonbook/10672
受話器の向こうで、彼女が問うた。
「……で、どうしました? ひと狩り行こうって話ですかー?」
「いやいや!(笑) 春に出すリプレイのプレイヤーについてご相談がありまして」
「ああ、現代人ができるようになる『アリアンロッド』ですね!」
「そうそう。今、リプレイのPC①をやってくれる人を捜してるんですが……これがまた、いろいろ各方面から要望や仕様みたいなものを言われまして」
「要望?」
「そう。具体的には……これまでのリプレイに登場しておらず、明るくて発話が多くて面白く、常識とプロ意識があってゲームが好きで約束が守れて前向きに協力的してくれる人」
「ほー」
「でもってボードゲーム等のアナログゲームは好きで遊んだ経験はあるけど、TRPGに関しては興味がありつつも遊んだ経験が少なく、できれば経験は0がいい。ラジオ等のことを考えると物怖じせずにトークができる……そんな女性の方がいいという」
「/(^o^)\」
「いや、オワタじゃなくて」
「そんな生き物、いるんですか?」
「庄子裕衣さん……いけませんかね?」
「あー! 庄子ですか! あの子はまともです! 保証します! いいと思います!」
「あっさり太鼓判がっ!?」
「ああ、そういえば前に“ゲーム会”で会ってましたね」
―――それは二〇一五年初夏の話だった。
KADOKAWAの編集さんの中に、不定期にアナログゲームを遊ぶ会を開く方がいる。人狼や各種ボードゲーム、TRPG……参加者が遊びたいゲームをただ遊ぶという、実にお気楽な会合だ。参加者は、編集さんやイラストレーターさん、作家さん、ゲームクリエイターさん、メーカーさん、声優さんなどなど、仕事関係者ばかりである。
その日、私は『アリアンロッド』のGMをしたわけだが……参加したプレイヤーの中に、庄子裕衣さんの姿があった。開口一番、彼女の放ったセリフが……
「む、昔、きくたけさんの書いた『ダブルクロス』のリプレイにドハマリしてました!」
―――である。
これがもう、楽しそうに話すこと話すこと。
TRPGのセッションそのものはあまり経験がないらしいが、こんなゲーム会に来ていることを考えれば、アナログゲーム全般は大好きであるとわかる。
そしてセッションが始まれば……これがまた楽しそうなこと。この世の春と夏が一気に押し寄せてきたかのような楽しみっぷり。よくしゃべってよく笑う。戦闘に入れば、真剣に戦術を考えつつもキャラ視点での発話も自然と飛び出す。
その時から、「あれ、リプレイのプレイヤーにいいかもしれんぞ」と脳内は観察モードに切り替わっていたのはここだけの話である。
かくして太鼓判を獲得した私は、庄子さんに連絡を取ったのだった。
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