第24話 答え
「ジーダさん、あんなところに置いてけぼりで平気かな。本当のことをみんなに話して命を取られちゃったりしないかな」
「大丈夫だろ」
「そっか、ジーダさん魔法使えるもんね。ふふ……ユーマ、ボロボロだし」
わざとらしく口元に両手をやってニヒヒと笑うエミリア。
あまり目の当たりする機会が少ないユーマの疲弊した姿を見て、少しばかり興奮気味に言った。
「うるせえ」
すかざず反論して、ユーマはそのまま体ごと魔導車のソファに投げ出した。
「ユシカが目立ちすぎていただけなんだ。あの人だってマルステンの街を愛してた。そしてそれを快く思っていた人ももちろんいた。それに、あの街の人間はみな、根は優しい人だってのはお前も知ってることだろ?」
「……でも、ジーダさんに身内を殺された人たちは黙っているはずがないよ」
エミリアは眉をひそめて口を尖らせて言った。
「だろうな。これから何日も命を狙われ続ける日々が続くかもしれない。それでくたばるようなら、あの人はそこまでだったってことだ。ジーダはもう地獄に片足……いや、両足を突っ込んだんだ。むしろ、そうやってマルステンを復興させなきゃ、あの人の面子も、プライドも、そしてユシカへの愛も全て偽りだったことになる。本人だってそれを望んじゃいないはずなのさ」
「なるほどね。アタシにはよくわからないけど──」
「それで、結局お前がやりたいことは出来たのか?」
エミリアの言葉を遮って、操縦部からマオが横槍を入れた。
ユーマはソファに座り直し、窓から空を見上げる。清々しいほどの快晴だ。空のキャンバスに、周囲の木々が緑色を加えて一つの絵と成している。
仮にマオの問に答えるとすれば……それは完璧ではない。
他にもやっておきたいことはまだいくつかあった。いつかお世話になった人に挨拶をしておきたかったし、本当ならこの騒動の結末まで全部見届けて置きたかった。
だが、出来る限りのことは出来たはずだ。
そう考えて、
「──あぁ」
ユーマの声は空に溶けた。
絶好の小春日和だった。
日は暖かく大地を揺らし、風は木々を踊らせる。森の動物は活発に動きまわっていた。
そうして視界を埋める自然な風景にしばし心を奪われていると、ユーマは自分の衣服が張っているような感覚を受ける。唐突に、ユーマはそこで魔導車の新たな乗員のことを思い出した。
「なぁ、マオ。この子、本当にお前の力の欠片ってやつなのか?」
上半身を起こし、キルナの頭に手を乗せつつ、ユーマは問うた。
「おぉ、それをいい忘れていたな。正真正銘、私の力だ。そやつは」
「はー、不思議なもんだな」
「ユーマ! 小さい女の子にセクハラはNGだよ!」
「うおっ、あぶな!?」
キルナの全身を見回していたユーマの顔面をエミリアのダガーナイフがかすめた。
切れた髪がハラリと舞う。ダガーナイフはユーマ背後の壁にストンと吸い込まれる。
しかし、ユーマ自身の目を奪ったそれはユーマのものではなく──ユーマの隣に座る、キルナのものだった。
「無事か!?」
「は……はいっ」
きょとんとしたキルナの表情はコンマ数秒後、恐怖に染まった。
キルナの頭部のその横──魔導車の壁からは、淡く光を発する無骨な剣が生えるようにして突き刺さっていた。
その剣の意味する事、今すべき事。
「エミィ! 人数の確認、それとキルナを頼む」
「うん!」
ユーマは言いつつ床を蹴り出していた。
一目散に操縦部にいるマオの元へ向かう。
コンマ数秒の差が命取りになる可能性がある。宙に身を投げつつ、同時にユーマは叫んだ。
「マオ! 魔導車を解除しろ、今すぐ!」
「わ、わかった!」
飛び出したユーマの手がマオの体を抱え込む。その瞬間、足場となっていた魔導車の床が霧散し、マオの握る立方体の中に吸い込まれていった。
そのままマオを庇いつつ、地面を転がる。
同じく背後にはキルナを抱えたエミリアの姿があった。
「大丈夫か、マオ」
「あ、あぁ。しかしこれは……」
腕を開放して頭を出したマオが辺りを見回して言った。
街道の脇の左右を挟む森から四人を囲む喚ばれ人達の姿が迫っていた。
召喚魔法には決められた範囲が存在する。召喚術師と召喚されたものがそれ以上離れすぎてはいけない範囲というものが。
それはつまり、周囲を取り囲んだ喚ばれ人達はジーダ邸にいたものとは全くの別物、しかも彼らを呼び出した術師はそれほど遠くにいるわけではないということだ。
「持ち物奪いに来た賊なのか、それともマオの追手なのか知らねえけど、喚ばれ人の顔は見飽きたぜ。エミィ! 息を合わせろよ!」
「わかった!」
お互いの視線を交差させ、頷き合う。
そして大地に触れた足に力を込める──。
「の……『ノイシュリー、ヨート、ノルテル』!」
「バアアアアァッ!?」
「……な!?」
一呼吸の元、相手の懐に飛び込もうとした途端、向かい合った喚ばれ人達がユーマの横から降り注いだまばゆい光に包まれて絶望的な悲鳴をあげる。その体は瞬く間にその姿形を失う。喚ばれ人達が手に持っていた武器までもがその肉体と共に塵と化していく。光は次第に輝きを衰えさせ、二度まばたきする間に景色は喚ばれ人達の姿を除き、全て元通りになっていた。
「あ……あれ、敵は?」
状況をいまいち把握しきれていないエミリアが辺りを見回して頭に疑問符を浮かべる。その詠唱、そして放出される光を目の当たりにしていたユーマはそれがキルナの仕業であると理解して静かに剣を収めた。
キルナの魔法からは、マオには及ばないなりにも近い魔力を感じる。胸では駆動するマオの心臓のおかげなのか、あまり馴染みのない魔法に対して理解が深まった感がそれなりにある。たったいま感じた魔力のそれが、キルナがマオの力の欠片であるという裏付けに少なからずなった。
「なかなかやるのね。さすが魔王に手を貸すだけはあるわ」
こちらの様子を伺っていたらしく、街道の脇の木陰から大柄な男と魔術師風の女が現れる。男の着こむ甲冑にどこか見覚えがある気がしていたが、ユーマにそれを思い出す術はなかった。
「なんだなんだぁ? 後からぞろぞろと」
「…………」
ユーマはしかめっ面で文句を垂れる。エミリアはキルナを連れてジリジリとユーマの元へ歩み寄りつつ身構えた。
戦いの様子を伺っていたのなら、あの喚ばれ人達を召喚した本人の可能性がある。いやむしろその可能性が真であることだろう。
「こいつらは……王都騎士団!」
「……だろうな。そろそろ来るとは思ってたぜ」
冷や汗を流しながら笑うユーマ。
王都騎士団──大陸の最大正義執行機関がついに追手として来る様になったということは、つまり魔王復活が大陸全土に知れ渡ったのも同然だ。魔王の姿を見たことがある者の数が極めて少ないとは言え、噂は早馬のように伝わる。街を自由に歩くことさえままならなくなる可能性もあるということだった。
「隊長も人が悪い。あの時すでにわかっていたのならもっと早く用を済ませられたのでしょうに」
「あの時……?」
「私は一度こいつらと会っている。マルステンを抜ける前、火の手が上がる直前だ」
マオは唇を噛み締めて身を隠すようにユーマの後ろ手に回る。
マオの言葉を信じるなら、すでにマオと騎士団の面々はすでに顔を合わせていた。それはマオをとてつもない危険を晒していたということだ。
しかし、なぜその隊長とやらは、その時に魔王としっていた相手と一戦交えるようなことをしなかったのだろうか。単に敗北を危惧していたか、はたまたよりよいタイミングを見計らった酔狂の類かのどちらかだった。
そうこうしていると、
「────ッ!」
エミリアの背後、その上方から人影が短刀の刃をきらめかせて降ってくる。
舞い降りた人影は首筋を掻き切るコースで舞い降りる。それを見切ったエミリアは、その場から一歩前進し、それを回避した。
「ジーシーは奇襲に失敗したよー」
攻撃を仕掛けてきたのは、エミリアと似たような黒っぽい衣服に身を包んだ少女だった。
力のない間の抜けた声で残念そうにうなだれる少女。
その手には、ちょうどその少女の肘から指先程度の長さを持った直刀が握られていた。人を両断するには、少女の腕力も刃の重さも足りないだろう。おそらく急所を狙い撃ちする予定だったはず。
「ちぃッ」
奇襲を回避したエミリアに対し、安堵すると同時にユーマは唇を噛み締める。
魔王を封印していた王都騎士団の目的は、当然の如く魔王の再封印に違いない。だが、こちらも安々とそれをさせる訳にはいかない。そのためには自分を囮にしてでもマオを逃がす必要があった。
「エミリア、こいつらの狙いはマオだ。なんとしても逃がせ!」
「ユーマ!」
嫌な予感を全身で感じ、ユーマは叫ぶ。
その言葉にすぐさまマオは強く反対する声を上げた。
「……わかった」
「まかせた」
ユーマと瞳を交じりあわせたエミリアはその真意を一瞬で理解し、静かに頷く。
暗殺者の少女と相対しながらにじりにじりと後退るエミリアはマオの隣にいる少女──キルナに視線を送る。もちろんその意味は『援護しろ』。
「……っ! 『ノイシュリー、トラ、エルザード』!」
「うわー」
「幻惑!?」
「くっ!」
キルナはエミリアの視線の意図を即座に理解し、両手を前に突き出しながら『幻惑』を意味する魔法を唱えた。マオの追手達は見事にキルナの呪文を受け、それぞれ目を覆って悶え始める。
「い……今、です!」
呪文の詠唱を終え、細かく震えながら言うキルナ。
エミリアは対峙したジーシーに背を向けてマオとキルナの手を取り走りだした。
「うあー、ジーシー逃がしちゃったー」
いち早く『幻惑』の魔法から開放された暗殺者の少女は、周囲を見渡して言った。
マオ達の姿はすでに森の木々にかくれて見えない。エミリアが共に行った。そう簡単には追いつかれることもないはずだ。
ひとまずの安心を感じ、ユーマはほっとため息をつく。
「……で、追わなくていいのか?」
顔を上げたユーマは剣に手をかけ挑発的に追手らを煽った。
「あちらを追いかけて欲しいの?」
「そら困るな」
ユーマの挑発を魔法使いらしき少女は気にもとめず聞き流し、オウム返しで言葉を返す。めげること無く、ユーマはあくまでポーカフェイスを貫く。
「心配しなくてもいいわ。私たちはあなたに用がある。魔王はその後」
「…………?」
追手が告げる謎の言葉。
自分が標的? 身に覚えがない。
「隊長が不在では話が始まらないですね」
魔術師の少女の傍らに立つ大男が困ったように言った。
「俺に何の用があるっていうんだ? 暗殺者と召喚術師まで連れて、騎士様よぉ」
「それが私達も知らされていないもので……困ったものです。あ、一応名乗り上げておきましょうか? 私の名前はフレック・ダギム。王都騎士団に属する、いわゆる手駒の一つですね」
ユーマの問いに対し、真摯なまでに素直な現状を説明するダギム。
「貴方への用件というのを説明したいのも山々なのですが……どうにも私には説明できないので隊長に直接聞いてほしいのです。まぁ、少々お待ちいただくことになるでしょうけど」
ダギムと名乗った騎士が残念そうに言う。追手の王都騎士団メンバーを見渡しても、その風貌、見た目から推測した年齢からして彼が隊長であることは一目瞭然だった。
しかし、ここでデタラメを言ったところで、無駄な時間を食うだけだ。自分を手駒と称したあたり、少なからず完全に上からの指示を全うするだけの人間には思えなかった。
ダギムの言い方から、追手の隊長はこの場に不在であることが読み取れる。これを好機と受け取り、この場で全員を斬り伏せてエミリアを追ってしまおうか、という考えが脳裏をよぎったが、冷静に状況を判断して一瞬で打ち消した。
背後に立った暗殺者の少女は、無防備に得物をちらつかせているように見えて、いつでもこちらへ投げ放てる状態にある。召喚術師の腕前がどのようなものか推し量ることは出来ないが、王都騎士団員だと名乗ったダギム、それと暗殺者の少女の三人に囲まれた状況下でむやみに行動を起こすことは愚かだと言えた。
「隊長とやら、まだ来な──」
精神をすり減らすような緊張にさらされたユーマが、しびれを切らして口を開いた瞬間、この一方的な窮地に新たな人影が紛れ込む。
「あー、来たー」
それと同時に暗殺者の少女が後ろで覇気のない言葉を吐く。緊迫した状況に颯爽と現れた白い影は、無防備なユーマの様子にも構うこと無く、眩しく剣閃を煌めかせて斬りかかってきた。
「くっ──!」
とっさに一度剣を抜き、体を反転させる。回転の動作に合わせ、左手を刃に添えるように体の目の前にかざす。金属が細かく震える振動が伝わり、そのすぐ後には体全体にのしかかる重さがやってくる。後方からの剣撃を見事にその刀身で受けることに成功したはいいものの、相手は剣に込める力を増し、受けるユーマの剣をギリギリと押しこんだ。
「ひさしぶりだなあ! ユーマぁ!」
「お前は!」
鍔迫り合いの最中、投げかけられた声にユーマの記憶が蘇った。
マルステンでの数少ない知人。姉の剣術を共に学んだ弟弟子。
「──ディータ!」
刀身に左手を添え、相手の剣を押し返す。距離を取ったユーマの顔は一層険しくなっていた。
最悪だ、ユーマは毒づいた。
ディータと再開するのは、実に数年──ユーマがマルステンを出てからそれ以来のことだった。だが、ユーマは懐かしい友との再開にも妙な感情に囚われることもなく静かに歯を噛み締めた。
ユーマはディータが苦手だった。人間として、受け付け難い人間だったのだ。姉貴に剣を教わっていた時、暴れ出さないのが不思議なくらい。
粗暴で、危険。それがディータの印象だった。
風のうわさで、ディータが王都騎士団に入ったと聞き、過去のような直情的な性格も和らいだようだとは考えていたが、たった今対面してみて、そんな様子は微塵も感じられない。
ユーマとは同じ師で習った仲だ。姉から教わった期間がユーマのほうが長いとはいえ、ある程度、剣術の型というものは見切られやすい。その上ディータはもうひとつ、暗殺の術を身に着けていた。エミリアと共に、ルキ・ヴァイスの元で。
純剣術と、混合剣術。身のこなしも剣こなしも違う。ユーマからすれば戦いにくいことこの上なかった。
「王都騎士団に入ったとは聞いてたが、まさか隊を率いるほどになってるとはな。驚いたぜ、ディータ」
剣を肩に担ぐように持ち、ディータを揺さぶりに言葉を投げかけてみる。あの頃から成長しているなら、会話の一つや二つくらい返せるはずだ。そうすれば時間も稼ぐことが出来る。マオやエミリア、キルナ達を逃がせる程度の。
「それは時間稼ぎのつもりか?」
ディータは腕をぴんと伸ばし、剣をユーマの顔面にピタリと向けた。
ディータの剣はその刀身から薄いもやをじわりじわりと溢れさせている。その刃の光沢、文様、刻まれた魔術文字。大陸の誰もが一度は耳にしたことがある。
それは──
「まさかその剣、勇者の剣か?」
ユーマはある一つの答えを導き出した。
本当にそうだとすれば、その剣にはとんでもない魔力が内包されていると聞く。魔石千個に匹敵、いやそれ以上のものだ。
だが、ディータは全くたじろぐ様子もなくその事実以上に驚くべきことを告げた。
「驚くことじゃねぇだろ? てめぇも勇者の剣を持ってんのに」
「なに?」
思わず問い返すユーマ。
「勇者の剣っつーのはその名の通り、勇者がその柄を握って一振りしちまったことでとんでもねぇ魔力を秘めた剣のことを言う。世間体には俺の持つ『
「……つまり、その剣を手に入れる前から使っていた剣こそが、『勇者の剣』と呼ぶにふさわしいと?」
ディータの狂気じみた笑みに軽いいらだちを覚えつつ、ユーマは戦闘を長引かせる事を念頭に会話を続ける。疑問形で返したのは、ディータの口による説明を増やし、みんなの逃走時間をかせぐためだった。
「正解だ! それこそが、お前の持つ『
「なん……!?」
「そして俺はアリサを、師を超える。そのためにお前の『
ディータは狂ったように剣を振りかぶる。振り上げた剣の動きをなぞるように、魔力の残滓が舞った。身をかがめ、地を這うように体勢を低くして踏み込む。ディータの体がグンと加速し、ユーマの視界から消える。
『師を超える』と、そう言ったディータに剣の魔力を使う気などない。それは、ディータがあくまで剣術としての超越を目指していたからだ。魔法を使うことは、アリサの教えにはない。アリサの剣術は、そもそも魔法をうまく扱えなかったユーマが強くあるための術だった。
対するユーマは、ピクリとも動かない。まるで固められてしまったかのように、空を裂き、振り下ろされ迫る刃を防ごうとしない。誰かに魔法をかけられたわけではない。突然打ち明けられた事実をすべて理解するには、少々内容が重すぎたのだ。
姉貴が勇者で、今この手に握ったものが勇者の剣。
じゃあ姉貴は魔王を倒して、どこに行った?
死んだわけじゃないならまだ、会えるかもしれない。
魔王──マオは、いやあの黒フードは、自分を勇者の弟だと知ってマオを預けに来たのだろうか。それなら、なんとなくドンピシャで自分がそんな役割を任されたのもわからなくもない。
だが、文献にも残っていない勇者の経歴を、どうやって知り得たのだろうか。そもそも、弟がいたということもどうやって情報を掴んだのか。いや、この際はそんなことどうでもいい。
なんだか自分だけ置いてけぼりにされた気分だった。
旅に出て、姉貴は勇者になっていた。大陸で最も偉大に人間になっていた。
旅立った姉貴を否定しない世界に変えたい? そんなことしなくても、姉貴はもう十分に認められていた。
じゃあ、何のために旅にでる? 依頼のため?
いや、違う。
マオはくれた。旅立つ勇気をくれた。
気持ちだけ先立ったまま一向にあの小屋から出られなかった俺を、外へ──旅へ、姉貴の背を追いかけるための勇気をくれた。
そんなマオの願いを守ってやりたい。
義務じゃない。願いだ。これは自分の意志だ。
『やるべきことは、皆わかっているんだよ。でも、それを出来るか出来ないか。それが人を大きく分けるのさ』。姉貴の言葉がフラッシュバックする。
やるべきこと──それは今この場から逃げ延びることだ。逃げ延びて、マオと共に旅をする。
決心がついた途端、体の感覚が頭の先から指の先まで冴え渡っていった。握りしめた剣に同じ血が流れているかのよう──まるで自分の体の一部のように感じられる。
トリガーに指をかける。
そして、視界を埋めるディータの狂笑を睨みつけ、ユーマは高らかに宣言した。
「『イグニション』!」
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