砂漠渡り 2
「あの、ルゥロ様とセイテ様とレック様の属性は何ですか?」
夜ご飯を食べ終え、砂漠の夜は寒いからとさっさと寝袋に入ると、寝付けないのかサラがそんなことを聞いてきた。
ルゥロはサラの方を向きながら「風だ」と言った。
「あ、だからおぶわれたときに風を感じたんですね」
納得したようにサラは言った。
「俺は地だよ」
「セイテ様は地、なんですね」
次はレックの番だとサラは耳を澄ませた。
サラとレックは一番離れた場所にいる。
「闇」
サラは背筋に痺れを感じた。
『闇』
レックはそう言ったのだ。
すっかり黙り込んでしまったサラにルゥロは眉間に皺を寄せた。
「サラ? どうかしたのか?」
声を掛けると弾かれたように声が飛ぶ。
「いっ、いえっ。……闇って珍しいですよねっ。闇を持つ人って本当にいたんですね……」
語尾がかすれるのを聞きながらルゥロは「闇って珍しいっけ」とレックに尋ねる。
「さあ」
素っ気ない返事にいつもの事かと呆れたようにため息をつく。
それから寝てしまったのか、サラが黙っている。
サラが微かに震えているのも知らぬまま、ルゥロは眠りに付いた。
目が覚めると案の定寒い。
ルゥロはもそもそと自分を抱きしめるように再び眠りに付こうとすると話し声が聞こえた。
かろうじて聞こえる音量の声が風に乗って耳に入ってくる。
相手にばれないように、彼は風の方向を探り当て、風を強くした。
次第に声は大きくなる。
「はい…、第一王子、第二王子、側近、友人二名の五名です。間違いありません。友人二名の内、一名は私とそう歳の変わらない女の子です。全員、属性も分かっております」
何かの報告のようにつらつらと言って見せる少女。
ルゥロは何も聞こえなかったことのように静かに目を閉じた。
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